「ここは逃げましょう。パイロット。新型機3機に集結された場合の勝算がありません。現在地よりし離れたところにデブリ帯があります。そこに逃げ込んで1対1に持ち込みさえすれば、しばかりは勝算が上がります。」

「デブリ帯！？危険すぎる！！そこで新型機とのスピード勝負をするのか！？」

「敵の新型機の速度は7世代機の最高速を遙かに凌駕しています。」

「ですが、先ほどの新型機のきを見るに、速度のコントロールが難しいと判斷しました。デブリ帯の中でなら計算上、しだけこちらの方がきやすいかと思われます。」

「それは最高速度での話だよな……？」

「もちろんです。パイロット。ですが、あなたならやれると信じています。」

「ちくしょう！やるしかないのか！」

「メインブースター、點火。デブリ帯に突します。頑張ってください。パイロット。」

アースゲート基地からし離れたところにあるデブリ帯の中、ひたすらに逃げ続ける。

それを追う敵の新型機3機。

「V-21！どれほどで追いつかれる！？」

「速度を落とせば10秒も持ちません。耐えてください。パイロット。ワタクシの計算ミスでもあるのですが、新型機の速度調整は思った以上にスムーズに行われています。さすが、最新鋭の機ではありますね。」

「V-21！敵の機を褒めてどうする！」

「それだけでなく、搭乗者も相當な手慣れのようです。気を付けてください。パイロット。」

クソッ！と言いながらさらにブースターの出力を上げる。この速度でデブリや小星にぶつかったら僕もひとたまりもない。集中し、デブリをギリギリでも避けながら進んでいく。

「しかしパイロット、このままですと……」

「わかってる！推進剤がなくなるんだろう！」

作戦が始まってからもうかなり時間が経っている。推進剤もなくなりつつあるのもわかっている。ただ、この狀況を打破する方法がないから、逃げるしかないのだ。

「パイロット、前方に大きめのスペースデブリがあります。おそらく轟沈した地球軍の戦艦の一部分だと推測されます。ここに隠れてステルス機能を展開し、敵を撹しましょう。」

「了解した！勝算はあるんだな？」

「パイロット。それは『カミサマのみが知るモノ』という計算結果です。」

「どう言う意味だ。意味がわからない。」

「わかりやすく言っても難しいので、今はワタクシを信じ、そして自分を信じてください。」

「あぁもう！答えになってないぞ！」

そう言って僕はデブリの中にを潛め、グラディエーターのステルス機能を展開させる。

そうすると敵が分かれて行を始めた。おそらくレーダーから消えた僕を探すためだろう。そして1機がこちらに向かってくる。

「1対1ならば、勝算はあるんだな！？V-21！」

「はい。ライフルでは撃墜できませんでしたが、あの狀態から計算すると、対アームド用ミサイルならば、大きなダメージを與えられる結果が出ています。」

「ならば…！」そう言ってミサイルポッドのハッチを展開する。

「V-21！ロックオンを頼めるか！？」

「了解です。任せてください、パイロット。対アームド用ミサイル全弾ロックオン……完了。発タイミングはそちらに委ねます。」

新型機が近づいてくる。タイミングは……今だ！！

「當たれ！！」

敵の新型機に向けてミサイルを5発放つ。

新型機はミサイルのロックオンに気づいて逃げようとしたが、ここはデブリ帯。思うようにきが取れずにいたらしい。そのままミサイルを避けきれずに全弾命中。

力源エーテライトエンジンもしたらしい。凄まじい閃、発と共に新型機1機は木っ端微塵となった。

「やった……！この調子で後2機も……！」

そう思った瞬間、ロックオン警報。

「パイロット、危険です。2機からロックオンされています。」

「戦データリンクであの一瞬のうちに僕の位置座標を転送したのか……！？」

「やはり敵のパイロットもそうとう手馴れでしたね。」

「クソ……ッ！」

敵機が2機向かってくる。

「パイロット。この狀況下でパイロットが助かる方法がありました。」

敵機はもう白兵戦の準備をしている。対アームド用ダガーではなく、見慣れない長剣を裝備している。

「策があるのか！？V-21！？」

「しかしこの提案を話した所で、パイロットには確実に反対されると思います。ですのでここからは、ワタクシに任せて下さい。」

「どう言う事だV-21！？」

「パイロットリンク遮斷。AI自縦に切り替え完了。」

「何をしているV-21！？」

「パイロット、あなたは生きてください。あなたはおそらくクローン兵の中でも特別な存在です。あなたと言う存在はここで失ってはいけないとワタクシの"何か"がそうワタクシに告げています。」

「オーダー000自力。パイロット強制ベイルアウトまで5秒。」

「V-21やめろ！」

「ありがとうパイロット。あなたと歩んだ3年間はワタクシにとっても大義なものでした。」

「さようなら。パイロット。いや、相棒。決して諦めるな。その命、大切にしてください。」

モニターにありがとう、さようならと言う文字が映し出されたと同時に背面ハッチが空き、コックピットブロックの一部ごと出される。

「相棒ーーッ！！！！！」

僕がそうぶ頃には

乗っていたグラディエーターが敵機1機に組み付き、それに近づいてきたもう1機を巻き込んでエーテライトオーバーロードを行っていた。

エーテライトオーバーロード、それはエーテライトエンジンを最大稼働させ臨界させる。自とも言うらしい。

閃、そして轟音、そして発。

V-21が計算して出してくれたのだろう。それに巻き込まれる事なく、僕はその景を目の當たりにする。

冷たい宇宙空間。僕は座席からシートベルトを取り外し、力なく漂う。

「相棒……」僕は目から溢れる熱いモノを止められずにいた。これは、この正はなんだろう。教えてくれる相手はもう、いない……

5話へ続く。