《リターン・トゥ・テラ》5話『出會い』

デブリ帯の中、僕は途方に暮れていた。パイロットスーツの生命維持裝置は1週間ほど持つ予定だが、仮に銀河帝國に救難信號を送って助けてもらったとしても、おそらく処理をされるだけだろう。

だが、相棒が最後に殘した言葉……

「決して諦めるな。その命、大切にしてください。」

この言葉が僕になんとか生き延びようと言う力をくれている。

ただひたすら、このデブリ帯に何か助かる方法がないかを探してパイロットスーツに付いているジェットパックを吹かせる。気がついたら先程グラディエーターで潛伏していた地球軍の戦艦の殘骸にたどり著いていた。

その戦艦の中にる。

「この區畫には、酸素が殘っているみたいだな。」

ヘルメットのインターフェースに空気中の酸素濃度が出ている。ここならバイザーを開けても大丈夫そうだ。

バイザーを開け、探索する。生き殘るがないか。ここに何か殘されていないか。

だが、地球軍の戦艦だ。銀河帝國のものとは勝手が違い、探索は難航する。

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「ここは、醫務室か?」

ここなら醫療キットなど、もしもの時があった時のために確保しておきたい。

醫務室にったが、収穫はなかった。そう上手くはいかないな……肩を落とし、視線を落とす。

そうすると、足元に痕が見えた。

「この痕……かつての戦いで傷ついた人のものか?」

そうは思ったが、違う。これは新しいものだ。その痕は、徐々に大きくなりながら先に続いている。

「追ってみるか……」

そう思い僕は拳銃を抜いて痕の続く先へ進む。

たどり著いた先はCICだった。

恐る恐る扉を開ける。

するとそこには、地球軍のパイロットスーツを著た人が橫たわっていた。パイロットスーツからはが溢れ出ている。

「誰か……誰か居るのか……!?」

男の聲だった。弱々しくそう言う。

そして僕を見るやいなや、驚いた様子でを後ろに引きずる。

「何故こんな所に銀河帝國のパイロットが……!?俺は幻覚を見ているのか……!?」

相手は意識が朦朧とし、衰弱しているようだ。無理もない。あの出量では……

「しかも……子供じゃないか……」

「銀河帝國は……子供に……こんな事をさせるのか……ッ!」

意味がわからない。地球軍には年兵団はないのだろうか。

「子供が……こんな事をしてちゃいけない……」

とりあえず話を聞いてみよう。銀河帝國以外の軍人と會話する機會なんて、當たり前だが今まで無かった。そして、相手は僕に対して哀れみのようなを持っているようにも思える。その理由も気になる。

僕は拳銃をホルスターに納めた。

それを見た地球軍の男は、僕に弱々しい聲でこう言う。

「な、なぁ……俺を殺す気がないのなら、鎮痛剤を打ってくれないか……もう、腕がかないんだ……」

「了解した。」

おそらく彼が醫務室から持ってきたであろう醫療キットが彼の周りに散している。そこから鎮痛剤を探し、彼の腕に打つ。

「すまない……し落ち著いた……俺の名前はフィル……君は?」

「銀河帝國年兵団D-03部隊、K-201だ。」

「あぁ、いや、君の名前を聞いてるんだ……コードネームではなく……」

名前?名前ってなんだ?艦長が持っているようなものか?

「それは、クローン兵には與えられない稱號の事だと推測した。僕はクローン兵だ。その稱號は持っていない。」

「銀河帝國は……なんてところなんだ……年兵を使うどころか、クローンだ……?しかも、名前すら與えないのか……?」

「何か問題があるのか?」僕は純粋に疑問を投げかける。

「問題も何も……いや、価値観が違うんだな……俺たちとは……」

何のことかさっぱりだ。

すると男は何かを察したかのように話始める。

「と言うことは……アースゲートに特攻を仕掛けたのは……」

「僕らの仲間の年兵団、クローン部隊だ。アームドのAIが作戦本部の命令しかけ付けず、それで特攻を始めた。」

「……君は何故助かった。」

「運良くAIが損傷し自で回路を修正した。しかしその後、地球軍の新型機に追われて、AIが獨自の判斷で新型機2機を巻き込んでエーテライトオーバーロードを行った。僕は強制的にベイルアウトし、今ここにいる。」

V-21の事を思い出して、悲しくなる。

そうすると男が何かを思い出したかのように話し始める。

「……!と言うことは……あのグラディエーターに乗っていたのは……!」

男の聲がしばかり震える。あのグラディエーター……?と言うことは……

「まさか、お前が新型機のパイロットか……?」

僕の聲も、し震えていた。

6話へ続く。

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