《リターン・トゥ・テラ》15話『ブレイブ隊、初陣』

ブリーフィングが終わり、ついにセレーネが出航する。

ブリーフィングの容はこうだ。

僕らの乗る戦艦、セレーネは火星付近までスタースピードで移

ブレイヴ隊は、火星のラグランジュポイントに存在するスペースコロニー、スターゲイザー14付近で待機。

そして反撃の為に向かってくるであろう銀河帝國軍宇宙部隊の遊撃。

その間に他部隊がスペースコロニーで銀河帝國軍の戦闘力を完全に無力化させる。

この作戦は地球軍の総力戦となる。他の箇所に點在する火星付近のスペースコロニーにも同時刻に解放の為に攻撃を行う事になっている。

ムラクモは出航前の演説で

「本作戦は、火星基地、火星都市解放への第一歩である。制圧されたスペースコロニーでは、銀河帝國の恐怖がはびこり、人々は怯えながら生活していると聞く。その人々の命を救う戦いだ。1人でも多くの命を救え。そして、我々も1人でも多く生き殘れ。」

と言っていた。

スタースピードにる前にはもうアームドに登場しておく必要があった。パイロットスーツに著替え、ハンガーに向かう。

ハンガーでストライカーに乗り込もうとした時、

「ケイ〜!」

と聲をかけられる。サクラの聲だった。

「サクラか。どうした。」

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僕はサクラに尋ねる。

サクラは僕に近寄り、こう話す。

「いや〜ストライカーみたいな新型は修理も大変なのよ。」

「だから、なるべく綺麗なままで戻ってきてくれると嬉しいなって思って!」

そう語るサクラに僕は、

「心配の必要はない。サイと協力し、なるべく被弾は抑えるつもりだ。」

と話す。

サクラはニコっと笑い、僕に向かって右手の拳を突き出す。

何の意味があるかわからない。

「何をしている。」

僕はサクラに尋ねる。

「これはね〜名前は知らないけど、古代から伝わる、信頼してますよ、って言うサインなんだって!」

「ほら、だから、ケイも!」

そう言ってサクラは僕の手を引く、そして拳と拳を合わせる。

「信頼の証か、そう言われたら、なおさら被弾を抑えなくてはな。」

「善処はする。」

そう言って僕はサクラから離れ、アームド、ストライカーに乗り込む。

前ハッチが閉まる前にサクラが僕に何かを告げた気がしたが、ハッチの閉まる音で聞こえなかった。

認証キーを差し込み、起が始まる。

「搭載型AI、『サイ』起。」

サイは起と同時に

「おかえりなさい。パイロット。アナタを乗せる事を心待ちにしておりました。」

と言う。僕はサイに

「ああ、サイ。僕もお前に會えるのが楽しみだったよ。」

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徐々に起が始まる。網投影がスタートしコックピットの視界が開ける。

コックピットのすぐ橫で他の整備兵に顔を赤くして怒っている様子のサクラが見えた。何をやっているんだろう。スタースピードはもうすぐ始まると言うのに。

サイが僕に話しかける。

「パイロットとが変わるかもしれないと言う話を聞いて、ワタシは斷固反対でした。」

「そのようだな。ムラクモも困っていたようだ。」

「ワタシは初代パイロット、フィルの意思を継ぐアナタこそ、ワタシに乗る事が相応しいと思っております。決して他のパイロットなど乗せたくありません。ワタシはワガママでしょうか。」

「いや、ワガママと言う問題では無いと思う。サイの意思が僕を選んだと言うのなら、僕もそれは嬉しい事だ。」

「ありがとうございます。パイロット。パイロットと戦闘の時にしか會話できない事が悲しいです。」

「これからは暇を見つけて乗りに來るよ。僕も戦闘中にしかサイと會話出來ないのは悲しい。」

「ありがとうございます。パイロット。パイロットリンクを接続します。」

サイは本當にを持っているようだ。々喋っている間に完全に起は終わっていた。

にスタースピードの警報が流れる。スタースピードは始まれば、すぐに目的地に著く。

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そうしたら、出撃だ。

ついに戦うことになる。

かつての仲間と、そして上と。

そんな事を思っていると、それを読み取ったかのように、サイは僕に告げる。

「パイロットが悲しくて撃てないなら、ワタシが代わりに撃ちます。」

「それではダメだ。僕はもう地球軍だ。それに、この間、々な人から々な想いをけ取った。それを無駄にする事はできない。」

「パイロット。ワタシはまた、乗っているパイロットが死ぬのが怖いです。」

「わかっているさ。だから戦うよ。ありがとう。サイ。」

そうしているうちにスタースピードは抜けたようだ。艦に別な警報が流れる。

「各員、作戦宙域付近に到達しました。アームドは出撃の準備をお願いします。艦、戦闘態勢へと以降……」

さまざまな思いが頭の中を巡る。その中から答えを導き出す。

地球を守り、生き殘るために戦う。

そう思い、僕はストライカーをかす。

そうして、カタパルトデッキへと向かった。

遊撃隊として宇宙で待機する1番隊は出撃は最後の方だった。

先程、マキシの乗るアームド、ガーディアンのカスタム機がカタパルトに乗って出されるのを見送った。

次は僕だ。カタパルトに乗る。

両脇のコンテナから武裝をけ取る。

他にもハードポイントに武裝が取り付けられる。

サブマシンガンが二丁、両腰に取り付けられたのを確認した。

右手に持つ武裝は、見たことがないものだった。僕はサイに尋ねる。

「サイ、左のシールドはわかる。右のはなんだ。」

「そうですね、説明をしてませんでした。ビーム・ブラスターです。出撃なので説明は後ほど。」

エレナから通信がる。

「進路クリアー、オールグリーンです。発進どうぞ。」

「了解した。ブレイブ2、出撃する。」

カタパルトが始する。凄まじい速度で宇宙空間へと飛び出す。目の前には巨大なスペースコロニー。

僕は姿勢制を行い、マキシのアームドが待機している付近まで移する。

「パイロット、アナタの腕は今まで知り得ませんでしたが、姿勢制などを見ると、なかなか手慣れですね。」

「サイ、ありがとう。これでも一応向こうにいた頃は隊長だったんだ。」

「そうだったのですね。まだ、ワタシはパイロットの事をよく知りません。もっとたくさん會話しましょう。」

「そうだな。それは艦に帰ってからにしよう。話は変わるが、先程の武裝は?」

「ビーム・ブラスターの事ですね。こちらはビーム兵と言いまして……パイロットに分かりやすい言葉で検索中……」

サイが検索してる間に、思い出す。前に戦った時に見たことがあるものだ。

「ビーム兵か、前に乗っていた機のAIが言っていたな。古代の兵だって。」

「パイロット、その通りです。エーテライト粒子を荷電させ、速以上の速度で出します。」

「しかし、アームドのマニュピレーターに合わせて小型化した結果、ジェネレーターの関係でリロードまでは時間がかかります。そして、連は不可能です。」

ふと僕は疑問に思う。

「兵として欠點だらけじゃないのか?」

「パイロット、荷電粒子の威力は絶大です。さらに、高威力、高程なので、敵戦艦などへの攻撃には有用かと。」

「敵アームドに近づかれたらどうする。」

「別な武裝で対応しましょう。」

「そうなるよな。」

その時、管制機から通信がる。

管制機とはアームドの背中に大きなレドームを裝備したもので、主に索敵や追跡そして指揮を行う機だ。

「こちら管制機、プロヴィデンス・アイ、敵艦艇4隻の出現を確認。急な出現から推測するに、スタースピードで抜けてきたようだ。艦種は巡洋艦クラス。さらに敵アームドのスクランブルも確認した。ブレイブ隊、エスパーダ隊、迎撃に迎え。」

マキシから通信がる。

「おいでなすったようだ!オイ!ヒヨッコ共!行くぞ!」

マキシの機はブースターを吹かせ、敵の出現位置へと向かう。

「た、隊長!踏み込みすぎです!」

ジンからの通信が聞こえる。ジンの機もマキシを追っていった。

エドワードは何も言わずに彼らについていく。

「サイ、覚悟が決まったよ。行こう。」

「了解ですパイロット。大丈夫、パイロットならやれます。」

「……行くぞ!」

そう言って僕らもブースターを吹かせる。

そして飛び込む、戦場へ。

ロックオンの警報が鳴る。エンゲージ。まだお互いが高速の狀態で戦闘が始まる。

向かってくるアームドとファーストコンタクト。

グラディエーター、おそらく、年兵団だ。

「昔取った杵柄を見せてやらぁ!喰らえぃ!」

マキシはそう言い、急速に機の姿勢制を行うと、突っ込んで來たグラディエーターにアサルトライフルの弾丸を浴びせる。

不意を突かれたグラディエーターはなすもなく、銃弾を浴び、沈黙する。

ジンから通信がる。

「ファーストコンタクトでやるなんて……流石はマキシ隊長だな。その腕は全く衰えていない……昔の呼び名通りだ……鬼神……」

それを聞いたか聞いていないか、マキシが怒ったように通信がる。

「なにボサッとしてんだ!!死にてぇのか!!」

ジンが今度は通信を返す。

「す、すいません!俺もやります!ロックオン警報…!?何……ッ!?」

ジン機がグラディエーター2機から追われる狀況になる。

ジン機のきを捉えたようで、グラディエーター2機の撃が始まる。

「まずいな。助けるぞ、サイ!」

「了解ですパイロット、荷電粒子、充填完了。いつでも行けます。」

僕は、グラディエーター2機を追い上げながら、ビームブラスターを構え、ロックオンを行う。

お互い高速ではあるが、敵のきは単調だった。

2機のうち1機を完全にロックオンする。

僕がやらなければ、ジンがやられてしまうかもしれない。

この一瞬の判斷を誤れば、仲間が死ぬかもしれない。

僕は、ジンを助けたい。

「すまない……!」

トリガーを引く。

その剎那、閃がロックオンした相手を貫いた。

エーテライトエンジンへの、大発が起こる。

サイの言う通り、ものすごく威力の高い兵だった。

ついに撃ってしまった。そして、殺してしまった。かつての仲間を。

しかし、そうしなければジンを救えなかった。

仲間だけでなく、自分も先程ロックオンされたんだ。

僕はもう銀河帝國にとって敵だ。

ジン機は機を翻し、迫ってきた相手の銃弾を躱し、反撃に出る。

「落ちろっ!」

ジンがぶのが通信から聞こえる。その頃にはジン機が放った銃弾が敵に降り注いでいた。

「ケイ!助かった!」

ジンから通信がる。

それを割ってマキシから通信が

「オイ!ジン!ボサッとしてるからだ!」

ジンが、すいません、と通信を返す前に今度は僕に言葉を浴びせる。

「あと坊主!居住區のあるスペースコロニー付近で敵機を大発させるのをやめろ!が空いたらそれだけで何人も人が死ぬんだ!」

「ビーム・ブラスター持ってんなら遠くの艦狙え!艦!」

艦を狙う……

マキシの言ってる事は正しい。

ここはあくまで地球軍側のスペースコロニーだ。中が解放されたことがわかれば、スペースコロニーに向かって艦砲撃をする事だってあり得る。

しかし、艦を落とす……

それだけで僕は銀河帝國軍の人々を何にも殺すことに……

そこでサイが僕に語りかける。

「やはり、ワタシがやりましょうか?パイロットの心への負擔が大きいと推測します。」

「いや、あの時僕がやらなければジンがやられていたかもしれない。僕は地球を守る。ここに住む人々も。そして隊の仲間も助けたい。その為には……」

そうしていると今度は管制機から通信がる。

「こちら管制機プロヴィデンス・アイ。ブレイブ隊、何をしている。ブレイブ4が4機とドッグファイトを行なっている。いくらなんでも不利な狀況だ。」

それは聞いたマキシは

「あのバカモン!何をやっちょる!」

と言い放つ。

エドワードからの通信は返ってこない。

僕らは敵機の追撃が今のところない事を確認すると、スラスターを吹かせ、姿勢制を行い、反転。ブースター全開でエドワードの戦しているポイントへと向かう。

「仲間を信じられないからって……!クソ……!遠すぎる!」

ジンの獨り言が通信から聞こえてくる。ガーディアンのカスタム機でもそこに到達するまでし時間がかかる。

1秒でも命取りな狀況だ。

「サイ、俺たちならいけるな。」

「パイロット、エーテライトエンジンは溫まっております。フルスロットルで飛びましょう。」

「了解。助けるぞ。」

サイのそれを聞いて僕は足元のペダルをさらに強く踏み込む。

超加速でエドワードの戦ポイントまで突っ込む。

エドワードは4機の攻撃を躱しながら反撃、そして躱しながら反撃と繰り返している。

しかし4機に囲まれた狀況だ。勝率は限りなく低い。

幸い、スペースコロニーからはし離れている場所だ。ここならばビーム・ブラスターを使用しても問題ないだろう。

高速のまま、エドワード機を追う4機のグラディエーターのうち1機に照準を合わせ、完全にロックオンする。

その時、ロックオンしたグラディエーターがエドワード機に向かってアサルトライフルを連する。エドワード機は右足を損傷した。

「エドワード!今助ける!」

僕は通信でそう呼びかける。通信は相変わらず返ってこない。

捻くれ者だろうが、死神だろうが、なんだろうが、大切な仲間だ。何があっても助けてみせる。

そう思い、トリガーを引く。

僕の放った線に貫かれたグラディエーター機は散する。

そこにマキシ機、ジン機も加勢し、2機を相手取り、ドッグファイトにる。

「このエドワードのバカもんがぁ!通信を開けぇ!」

マキシは怒鳴り聲を上げながら敵機を追い回している。

殘った敵機はきがし鈍ったエドワードの機に組み付き、対アームド用ダガーをコクピットに向けて突き立てようとする。

「させるか!」

僕はブースター最大のまま、速度を落とさず接近し、その慣を活かしてエドワード機に組みついていたグラディエーターに飛び蹴りをれる。

エドワード機に組み盡きていたグラディエーターは勢を崩し、離れる。それに向けて僕は腰に裝著してあったサブマシンガンを抜き取り、追撃。フルオートで銃弾を叩き込む。

銃弾の雨を浴びた、グラディエーターはそのままかなくなった。

「大丈夫か?エドワード。」

僕はエドワードに通信を送る。

し間を置いて

「お前はどっちの味方なんだよ……」

エドワードから通信が返ってくる。僕は答える。

「何度も言っている。僕はもう銀河帝國軍ではないと。エドワード。お前はもうし人を信じてみろ。なくとも、僕は、いや僕たちはお前の味方だ。」

ロックオン警報が聞こえる。僕はエドワードに通信で伝える。

「立ち止まっていると危ない。被弾が深刻なら一度、艦に戻れ。援護する。」

し間を置いて

「……この程度で戻ってられっか。」

とエドワードからの通信。

その後に、小聲で

「ガキのくせに……」

と、それだけだった。

僕は、ロックオンしてきた相手の対処に向かう。

エドワードはまた別な敵に狙いを定めて高速戦闘にるようだ。足のバーニアを失ってるのは不安だが、4機に囲まれてしでも耐えていたエドワードの腕なら大丈夫だろう。

まだまだ敵は出てくる。4隻の巡洋艦ということは敵アームドの數は圧倒的に上だ。

おそらくこの戦況を見るに、敵戦艦からは全機スクランブルしてるであろう。

僕はサイに尋ねる。

「サイ。スペースコロニーを解放したら、中から友軍機がこちらの援護に來るんだよな。」

「パイロット。作戦ではそのようになっています。しかし、どれほどかかるかは予想はつきません。」

「了解した。ならば、中での作戦が功すれば。數の不利は無くなるわけだな。」

「そうですね。ブレイブ隊、エスパーダ隊共に練パイロット揃いです。おそらくスペースコロニーの部隊と合流すれば、間違いなく戦況はこちらに有利になるかと。」

「ならば……」

僕は覚悟を決める。

「マキシの言った通り、合流前に敵艦艇を全て片付ける。」

16話へ続く。

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