《リターン・トゥ・テラ》18話『キャベツ畑強襲作戦』

セレーネがスタースピードにる。

僕はストライカーの中、起をせず待機をしていた。

乗り込む前、サクラから聲をかけて貰った気がしたが、応えている余裕なんてなかった。

スタースピードの終了の艦放送が流れ、続けて総員戦闘配置の放送がる。

僕はそこでようやくストライカーを起する。

そしてサイが起する。

「パイロット、おかえりなさい。」

僕は返事ができなかった。

「パイロット、合が悪いのですか。」

僕はサイに聞く。

「本作戦容のデータは見ているか。」

サイは答える。

「もちろんです。ワタシは優秀ですので、心配しなくても大丈夫です。」

「銀河帝國軍のクローン生産工場の制圧作戦です。何か問題がありましたでしょうか。」

そう言えば、サイには話してなかった。

「ここは僕の生まれ故郷だ。」

サイはし考えているようだ。間を置いて返事が返ってくる。

「パイロット、苦しいのならワタシ一人で行きましょうか。」

僕は答える。

「そうするわけにはいかない。中にはアームドの訓練基地もある。歩兵の練習部隊も駐在している。思った以上に危険な場所だ。」

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サイはまたし考えて、こう言う。

「パイロット、苦しい気持ちもわかりますが、やるべき事もわかっているご様子ですね。」

「その覚悟がありましたら、パイロットリンクを繋ぎます。」

これ以上サイを困らせるわけにもいかない。

これは、地球を守るためには必要な作戦だ。

「パイロットリンクを接続。機を僕に回してくれ。これは、地球を守る戦いだ。」

そう言うと、網投影、機のフィードバックが始まる。

「パイロットリンク、接続。パイロット、必ずやり遂げて生きて帰りましょう。信じています。」

そう言うサイに

「了解だ。」

と答えて、カタパルトデッキへと向かう。

カタパルト出シークエンスにる。

前回同様に両腰にサブマシンガンが取り付けられる。

そして武コンテナから武け取る。

シールドと、対アームド用アサルトライフルだった。

僕はサイに質問する。

「ビーム・ブラスターではないんだな。」

サイは答える。

「スペースコロニー戦闘になるので、ビーム兵の運用は危険です。貫通力があり、程が長いのと、威力が高いので、スペースコロニー外壁にを開けかねません。それは、パイロットもんでいない事でしょう。」

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確かにビーム兵は貫通力があり、威力も高く、程も長い。それをスペースコロニーで撃ったら敵機を貫通し、外壁まで屆いてしまう。

さらにさせる可能も高い。スペースコロニーで、敵アームドのエーテライトエンジンにさせたら間違いなく大が開くだろう。

「そうか、サイ、ありがとう。」

僕はアサルトライフルに付屬している、対歩兵用のアタッチメントに気づいていた。

それについては何も聞かなかった。

エレナから通信がる。

「進路クリアー、オールグリーンです。発進どうぞ。」

「了解した。ブレイブ2、出撃する。」

カタパルトが作し、宇宙空間へと飛び立つ。

目の前に見えるし小型のスペースコロニー。

こんな形の帰郷など、考えたくもなかった。

護衛する巡洋艦からも、アームドが出撃するのが見えた。

周辺宙域哨戒も含め、合計48機で行われる制圧作戦。

僕はマキシ機が待機する所まで飛んでいく。

マキシから通信がる。

「坊主。何も言わんでもわかる。ヨゴレ役は俺たちオトナに任せろってんだ。」

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ジン機も到著する。

「そうだ。キミはなるだけ施設の制圧に盡力してくれ。勝手がわかるのはキミだけのはずだ。」

エドワード機も到著する。

「掃討はなんとかしておくから、お前は、お前のやれる事やんな。死んだら承知しねぇぞ。また死神に逆戻りは勘弁してくれ。」

僕は部隊のみんなの勵ましを聞き、しだけ気力を取り戻す。

「みんな、助かる。僕はやれる事をやる。」

そこで管制機から通信がる。

「こちら管制機、プロヴィデンス・アイ。周辺宙域に敵対勢力の艦艇は見られず。今のうちだ。スペースコロニー突部隊は制圧を開始せよ。」

各部隊がスペースコロニーのゲートに向かい始める。

自分もスペースコロニーの突部隊となっている。

部隊の先頭隊が港口の外壁をヒート・ソードで無理やりくり抜き、薬で吹き飛ばす。

警報が鳴り響く中、アームドの部隊が突をする。僕もそれに加わり、突を開始する。

スペースコロニーは完全な戦場となっていた。

アームド同士が、スペースコロニーの擬似的な空でドッグファイトを行い、撃墜された敵アームドは地面へと落下し、周辺の施設を巻き込み倒れる。

僕も1機のグラディエーターの練習機と、地上で戦していた。駐在している兵士は言わば訓練兵だ。腕はさほどでもない。

とりあえず攻撃をわしながら、まだし遠くに見える、クローン施設への攻撃方法を考える。

その時だった。サイから聲がかかる。

「機周辺に敵歩兵の存在を確認。導兵からのレーザーポイント照があります。対処に當たってください。」

導兵、対アームド用の歩兵用ロケットランチャーだろう。

戦していたグラディエーターの練習機がこちらに向かってくる。右手には対アームド用ダガーが握られている。おそらく白兵戦を挑もうとしているのだろう。

僕は膝に格納されてる対アームド用ダガー左手で取り出し、左腕についてるシールドで相手の攻撃をけ流し、相手の対アームド用ダガーを弾き飛ばす。

相手のアームドはよろける。その隙を狙って反撃をする。

そのまま相手の機のコックピットに、対アームド用ダガーを突き立てる。

僕はその練習機に対して、

「ごめん、本當はこんな事したくなかった。」

とつぶやく。

グラディエーターの練習機は後ろに倒れ込み、かなくなった。

敵機のきが甘くて助かったと思うと同時に、またクローン、年兵団の命を奪ったことに罪悪を覚える。

すぐにロックオン警報が鳴る。

ロックオンは後ろからだ。

後ろを振り向く、そして視界を拡大させる。そうすると茂みに隠れている歩兵を一人見つけた。

自分と似た顔立ちをした人間。

ロケットランチャーを構えており、すぐにでも撃ってきそうだった。

この距離で撃たれたら、いストライカーでもひとたまりもなく、裝甲を持っていかれるだろう。

自分と似ているとか、考えてる余裕すら與えられなかった。

サイがアサルトライフルのアタッチメントについてる対歩兵用チェーンガンを起する。

銃弾の雨がその歩兵を襲った。速力の高い兵だ、その場に土煙が上がる。

おそらく木っ端微塵になったのであろう。

「パイロット、迷えば死にます。申し訳ありませんが、ワタシの判斷でチェーンガンを使わせていただきました。」

サイが僕にそう話しているが、僕は吐き気に悩まされていた。

パイロットシート後方に積んである鎮靜剤を首筋に打つ。

吐きはしないが、咳き込んだ。

僕はサイに

「すまない。油斷をした。」

と言う。

本當は油斷なんかじゃない。

自分と似た顔をした人間を撃ち殺すなんて、簡単にできることではない。

何故、銀河帝國にいた時は疑問に思わなかったのだろう。

自分と同じような顔をした人間が大勢いる事に。

「パイロット、やはり神的な負擔が……」

僕は、サイの言葉を遮る。

「いや、いい。あれは僕じゃない。僕は僕だ。」

その時、ジンから通信がる。

「ケイくん!施設への通路は完全に占拠した!行ってくれ!そして、施設を止めるんだ!」

施設を止めたら、何人もの作られてる途中のクローン兵が、おそらく死ぬだろう。

中には、僕の顔に似たクローンも大勢いるだろう。

しかし、そんな事を思ってる余裕も無い。

上昇し、主通路へと進む。

主通路を進めば、施設はすぐそこにある。

スペースコロニーのあちこちで戦闘が行われている中、僕はクローンの研究施設にたどり著く。

降りて中を制圧するべきか、いや、それとも、ストライカーで外壁を破壊するべきか。

その時、マキシの機が僕の護衛にる。

「おい!坊主!ボサッとしてんなよ!歩兵が大量に流れ込んできやがった!対処はワシがやる!」

「早く施設を無力化しろ!坊主!」

降りて施設を部から制圧する余裕はなさそうだ。

「……ごめん。」

僕はそう言って研究施設にアサルトライフルをフルオートで攻撃する。

はどんどん崩れていく。

マキシ機はチェーンガンの掃で対アームド用兵を持った歩兵たちを潰していく。

崩れた研究施設から、研究場所らしきものが見える。中の安全を確認し、僕はそこに降りる決心を固めた。

「サイ、見えている研究場所に降ろしてくれ。おそらくクローンの生などはあそこで行われているはずだ。」

クローンの生さえ止めればいい。

殘された命はきっと制圧さえしてしまえば、地球軍によって保護されるだろう。

培養った命までまとめて殺す必要はないんだ。

「了解ですパイロット。パイロットリンク解除、どうかお気をつけて。」

コックピットハッチが開く、その時だった。

管制機から通信がる。

「こちら管制機、プロヴィデンス・アイ。スペースコロニーの様子がおかしい。各所で発を確認している。」

「推測するに、銀河帝國はこのコロニーの廃棄を確定させたようだ!全機、直ちにコロニーから出せよ!崩壊に巻き込まれる!」

僕は慌ててハッチを閉めて、サイに話かける。

「パイロットリンク接続!どう言う事だ、サイ!」

サイが答える。

「銀河帝國側としても、どうやらこのクローン施設が狙われる事は想定していなかったようですね。」

「おそらく、クローン技などを地球軍が奪うと勘違いしたのかはわかりませんが、スペースコロニーを自させるつもりでしょう。」

その時マキシから通信がる。

「ブレイブ隊!聞こえていたな!今すぐ出じゃ!」

僕はマキシに問う。

「中にいるクローン兵達はどうなる?」

「まだ生まれていない命だってある。それはどうなるんだ?」

マキシは怒り気味に

「んなもん知ったこっちゃねぇ!銀河帝國はそのクローン兵ごとこのコロニーを捨てようってんだよ!」

どう言う事だ?

銀河帝國は、ここにいる大勢のクローンの命を捨てる?

生まれてない命すら?

意味がわからない。

サイが補足をれる。

「いわゆる、焦土作戦ですね。技を知られたからにはそれごと、ワタシ達も消すつもりでしょう。」

「管制機が小さな発に気づいたおで、我々には撤退する猶予も生まれました。」

その時だった。コロニーの真上で別部隊が戦していたグラディエーターの練習機がエーテライトオーバーロードを行った。

他の敵機も時を同じくエーテライトオーバーロードを開始する。

スペースコロニーはどんどん壊れていく。

真上には大が空いている。それに吸い込まれる瓦礫や、銀河帝國軍の歩兵達。

僕はそれをただ眺める事しか出來なかった。

「パイロット、逃げなければコロニーの崩壊に巻き込まれます。」

クローン兵の命の価値ってなんだ?

僕は何のために生まれた?

銀河帝國は何故僕を産んだ?

そもそも、僕は何だ……?

ジンやエドワードからも通信がってくる。

「ケイくん!早く逃げるんだ!このままではまずい!」

「クソガキ!オイ!死にてぇのかお前!」

サイは強制的にパイロットリンクを解除して、機を制する。

「パイロットリンク解除、バーニア、スラスター、ブースター正常作。」

「ブレイブ隊、聞こえますか?サイです。パイロットの様子がおかしいです。ワタシが機を制します。」

ストライカーは飛び立つ。そして、スペースコロニーのり口へと向かってスピードを上げていく。

僕は完全に自分を見失っていた。

後ろで発が巻き起こり始めている。

マキシから通信がる。

「オイ!坊主!大丈夫か!?」

僕は何も答えることができない。

その代わりにサイが答える

「ブレイブ1、こちらサイです。パイロットの神狀態が不安定です。ですが、何としても連れ帰ります。大丈夫、この速度であれば、スペースコロニーの崩壊には巻き込まれない予定です。」

マキシは心配そうに

「坊主……とりあえずサイ!頼むぞ!」

と言い、通信が終わる。

後ろで大きな発が巻き起こる。

その頃にはストライカーはもう宇宙空間へと飛び出していた。

サイは崩壊するスペースコロニーを僕に見せないように、そのまま進行方向を変えずに、セレーネに向かって飛ぶ。

「管制機、並びにブレイブ隊へ、サイです。申し訳ありません。パイロットの神狀態が心配なので、先に帰投します。」

その間僕はずっと考えていた。

何のためにクローン兵がいたのかを。

何で僕が生まれたのかを。

19話へ続く。

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