《リターン・トゥ・テラ》24話『死闘』

推進剤の切れたフライトユニットを切り離し、ブレイブ隊に合流する。

そこには高速で戦闘をするマキシ機と見慣れぬ機

サイが告げる。

「データリンクを繋ぎなおします。データリンク、アクティブ確認。敵機の解析を行います……」

そうしているうちにジンから聲がかかる。

「ケイくん!敵の新型が現れた!なんとかここで食い止められないか、俺らで戦中だが、あまりにも人間離れしたきだ!マキシ隊長の戦闘に加わりたいところだけれど、このまま撃をしても、隊長ごと撃ちかねない!」

エドワードからも通信がる。

「敵機のき、人間技じゃないどころか、まるで戦爭を知らねぇみたいなきだ。単獨でそれだけやれる自信があるのか……?どちらにせよあんなに速くかれちゃ、ジンの言う通り隊長ごと撃っちまう。」

そうしているうちにサイが解析を終える。

「コア、ジェネレーター各種はストライカーのモノと合致しました。おそらく火星で建造されていたストライカーを銀河帝國が改造したものと思われます。」

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「いくらストライカーだってあんなきは……」

ジンがそう言いかけた時、空中戦をしていたマキシの機が叩き落とされる。

火星の土埃を巻き上げ、マキシの機は地面に叩きつけられる。

「マキシ!」

僕は通信でマキシに呼びかける。

マキシからは反応はない。

その時だった。敵機からオープンチャンネルで通信がる。

「はぁい。ストライカーのパイロットさん。ごきげんよう。」

若いの聲。おそらくクローンの一人だろう。

「貴方をずっとまっていたわ。雑魚を倒して、ちょっとしたスコアを稼ぐのにも飽きたからね。」

そうしてヒートブレードを抜くと、

「私のスコアの為にここで死ね!」

そう言って高速で突っ込んでくる。

躱すだけで一杯だった。

相手は連続で攻撃を仕掛けてくる。

躱しながら応戦出來るような狀況ではない。

チャンネルは繋がったままだ。敵機のから通信がり続ける。

「貴方なかなかやるわね。さすがA階級のアルファね。」

「全部知ってるのよ。貴方のこと。」

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「皇帝陛下から聞かされたからね。」

「本當にバカな子。」

「貴方を倒せばね、超高得點のスコアが貰えて、私も大人たちと同じ部隊に配屬になるの。」

「だから私の為、銀河帝國のためにここで死んでね。」

攻撃を躱しながら聞いていたが、銀河帝國側は僕の裏切りを知っているらしい。喋ってくれるのはありがたいが、人間離れした攻撃に防戦一方になっている。

その時エドワードとジンから通信がる。

い込め!一人じゃ無理だ!」

「目で追うのもやっとだが、孤立しては駄目だ!協力して倒そう!」

僕はサイに呼びかける。

「パイロットリンクの度を上げてくれ!フィードバックには耐えられる!訓練はけた!」

「パイロット、それではパイロットのが持ちません。」

「それでもやらなきゃ勝てない!」

「否定したい所ですが、パイロットの意見は正しいです。パイロットリンクの度を上げます。」

「パイロットリンクシステム。度上昇。脳にかかる負荷に気をつけて下さい。」

脳にズシンとフィードバックが來る。が、その分機を手足のように扱うことができるようになる。機と呼吸を合わせ、作に沒頭する。

「ジン!エドワード!タイミングを合わせろ!」

ジン機とエドワード機が狙いやすい位置まで敵を導する。

敵機は僕を狙うことしか考えていない。

うまくい込んだ。

敵の突き攻撃が來る。

ギリギリのところで躱し、

「エドワード!ジン!今だ!」

ライフルのアタッチメントに付いてるグレネード弾と、ライフルの掃が敵機を襲う。

敵機の左片腕が吹っ飛ぶ。

きが鈍ったところを追撃に移るが、僕の攻撃は躱される。

敵機がオープンチャンネルで回線を繋いでくる。

「やってくれたわね……!」

「雑魚どもは引っ込んでろ!」

「まずはお前からだ……!」

高速でエドワードの機に迫る。そうして、慣を乗せたままコックピット付近にに蹴りを喰らわせる。

エドワードは

「クソったれ……!」

と一言呟いた後に信號が途絶した。

「エドワード!」

そうんだ僕も機からのフィードバックが重すぎて、し目が霞んでいた。

「パイロットリンクシステム、正常値へ戻します。これ以上は戦闘続行に支障が出ます。」

「サイ!このままではどちらにせよやられる……!大丈夫、もう一度だ……!」

「バイタルを確認しても、持って30秒が限界です。それではあの機を仕留められません。」

「30秒でもいい!このままでは全滅する!」

そこでジンから聲がかかる。

「なら、今度は俺がやる。ストライカーほど出力は無いが、それなりにやれるはずだ。」

「ジン!無茶だ!」

「ケイくんばかり頼っててもダメなんだよ。俺たちはね。じゃあやるぞ……!」

「リンクシステム最大!」

「敵も俺も片腕を失ってる。ハンデは一緒さ!」

そう言ってジン機はエドワード機にとどめを刺そうとした敵機に高速で飛んで向かい、それを止める。

そこから高速で戦闘が始まる。

敵機にロックオンしたまま、敵機のきを伺う。

目で追うのもやっとだった。高速でく2機があげる砂煙でロックオン先の視界が分からない。下手に手出しができない分、もどかしさをじる。

同士がぶつかる音が聞こえ、一際大きな砂煙が舞う。

「殘念だったな!謎のさんよ!」

そう言ったジンの機は敵機を地面に組み伏せていた。

しかし、ジンの機はコクピット付近をヒートブレードで貫かれていた。

「ジン!!」

「ケイくん!もう援護は大丈夫だ!後は、俺がやる。」

敵機からオープンチャンネルで通信がる。

「アンタみたいな雑魚に!なんで私が!なんで!」

喚いているが、ジン機のホールドから抜け出せないようだ。

「ケイくん。さようならだ。」

ジンからの通信はもう途切れ途切れになっている。

今敵機を撃ったら、ジンを助けられるだろうか。

いや、今撃ってもジンごと殺してしまう。

「サイ!助ける方法はあるか!?」

「ジン機、エーテライトオーバーロードの信號信。ここから離れますよ。パイロット。」

「ま、待て!なんとかして助ける方法は……!」

「あの機の狀況を見てももう助かる方法はありません。それにジンさんの生反応を見てもが流れすぎてます。おそらく直撃したかと。ベイルアウトもできそうにありません。」

「パイロット、自縦に切り替えます。ジンさん。ありがとうございました。助けられなかった事を申し訳なく思います。」

ジンから通信がる。

「ケイくん。生きろ。そして、夢を葉えてくれ。」

「あぁ……火星……で散れてよかった。あの空に……還るん……」

発が起こった。放心狀態のまま僕はサイの縦によって、その場から離れていく。

ジンはダウンしてるマキシ機とエドワード機を巻き込まないところでエーテライトオーバーロードを行った。もとからおそらくそのつもりだったのだろうか。

「ジン……。」

僕は泣いていた。

「パイロット。地球軍艦隊から通信が屆いております。」

「こちらセレーネ、ムラクモだ。宙域から銀河帝國軍が撤退を開始した。火星基地の完全制圧もそろそろだ。我々の勝利だ。」

「エレナから話は聞いている。ジンは我々の為に戦ってくれた。ジンの判斷がなければ再び戦線が押し戻され、火星基地奪還は不可能になっていた事だろう。」

「悲しいな……。しかし、悲しくなくする為に戦爭をしなければならない。それすら悲しい事だ。」

僕は戦爭のあり方について、もう何もわからなくなっていた。

「ジン……何もできなくてすまなかった……」

出撃前に言っていた事を思い出す。ジンには火星都市に両親もいると。

報告を聞いたら悲しむだろう。

誰も幸せにならない。

なぜこんな事を続けるんだ。

サイが僕に呼びかける。

「パイロット。それでも戦爭はまだ続くでしょう。戦い抜く覚悟はありますか。」

「サイ、悲しみの連鎖を止めるためには戦い抜くしかない。しかし、あまりにも悲しいことが多すぎる……」

「パイロット。ワタシは必ずパイロットを全力で助けます。ですので、どうか、戦い抜いてください。」

「パイロット、マキシさんとエドワードさんの生反応はあります。助けに行きましょう。」

その時また通信がる。

「こちら空母ツクヨミ、火星基地の完全制圧を確認した。奪還作戦功だ。歩兵部隊、アームド部隊の回収に向かう。各艦、大気圏突開始。」

火星基地の奪還に功した。だが、なんだか他人事のように思える。

今は散っていったジンの事しか考えられない。

しかし、いつまでも後ろを向いてるわけにはいけない。他の仲間を助けなければならない。

僕はマキシとエドワードの救出に向かった。

ストライカーから降りて、二人を治療する。醫療の知識はないが、鎮痛剤のキットを使う事はできる。

比較的にマキシもエドワードも軽癥だった。コックピットに付いている急用エアークッションのおかげだろう。衝撃でし気を失ってる程度だったようだ。

マキシが起き上がり、僕にジンの事を尋ねる。

「おい、坊主……ジンの野郎は……」

僕は答える。

「ジンは敵機と刺し違えて散った。」

マキシは靜かに涙を流す。

「またワシは優秀な部下を殺しちまったんだな……けなく敵にやられてる間に……」

「何もできなくてすまんなぁ……ジン……」

僕はマキシに言う。

「何もできなかったのは僕も同じだ。マキシ、どうか……そんな事言わないでくれ……」

それを寢ながら聞いていたエドワードはこう言う。

「また、死神に逆戻りか……」

「奴とは同期でさぁ。あの一件以來、いい関係築けた途端これだ。」

エドワードは無理して起き上がり、

「チクショウがよぉ!!」

と大聲でぶ。

僕は何もかける言葉が思い浮かばなかった。

その後、無言は続いた

暫くしてセレーネから通信がる。

「火星基地のドックへ著港した。マキシ隊長も、エドワード尉も治療が必要だろう。醫療班をそちらに向かわせる。」

「ケイくんはストライカーを回収して帰投してくれ。サイが出した戦闘データを確認したい。」

部隊の一人が散っても、戦爭という日常は殘酷に続いていく。

僕らには大事だが、この戦爭にとっては、1人の犠牲という形で処理されてしまう。

殘酷な事だ。

ストライカーのコックピットに戻る。

「サイ、二人には醫療班が迎えに來てくれるそうだ。僕らは帰投しよう。」

「パイロット、話は聞いておりました。了解です。」

「パイロット、戦爭は殘酷なものです。それでも我々は前を向いて戦い続けなければなりません。」

「散っていった者達の想いを乗せて。」

そうだ。僕はフィルの時も、今回のジンの時も生かされて託されたんだ。

その想いを無駄にしてはいけない。

なんとしても。

そう思いながら、セレーネへと帰投した。

25話へ続く。

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