《リターン・トゥ・テラ》26話『ストライカー・セカンド』

コックピット、サイを起する。

アップグレードが行われており、モニターに映し出された機名は、ストライカー type E セカンドとなっていた。

が終わる。

「お帰りなさい。パイロット。機データのアップグレードは完了しております。」

「出力や運能が向上していると聞いたが、どうなんだ、サイ。」

「外裝パーツの取り付けが完了し次第再確認は必要ですが、セカンドの名を恥じない能となっております。」

「それにしても、パイロットの長と共に機長する姿はどこかを覚えます。」

「僕は長しているのか?」

「はい。出會った頃より確実に。あなたがパイロットで良かったと、何度も思います。」

「月面本部では僕も未完で、サイも未完だと言われた。し気にしていたが、僕は確実に長しているんだな。それなら良かったのだが。」

「パイロットのおかげでワタシも長できましたよ?」

「そうなのか、サイ?」

元から完されていたようにも思えていたが、サイも長しているのだろうか。

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「AIの長はわかりにくいですから、パイロットにも理解されていなくても仕方ない事だと思っています。ただ、強がる相手がいないと、強い言葉は言えない。とだけ覚えてて貰えればいいです。」

「よくわからないな。」

「今はそれでいいです。時が來たらパイロットにもわかるでしょう。」

「パイロットだけじゃなく、ワタシも託された想いがあって、戦場に出る決意をしています。乗せたパイロットが死ぬのが怖かったワタシですが、託された想いを背負ってパイロットと共に戦う勇気が湧いていています。」

「あまり上手な判斷が出來なくてすまないな、サイ。いつも肝心なところでは縦を託してしまっている部分がある。キャベツ畑の時も、ジンのエーテライトオーバーロードの時も。」

「人間味がある、という事はこういう事なんだと學習しました。ワタシにとってもプラスな事です。」

「そう言ってもらえるとありがたいが、これからはそうもいかない。肝心な時こそ、けるパイロットでありたいから。」

「パイロット。そう思えるのも長です。ただ、人間味を捨ててはいけませんよ。」

「わかっているさ。たとえクローンの人間で、特殊な長をしていたとしても、僕は人間なんだ。そう、人間なんだよ。」

「そうです。パイロット。確かに戦爭は悲しいことの連鎖ですが、悲しい事の連鎖の中で、人間を失ってはいけません。」

「大丈夫さ、サイ。フィルとジンの想いを背負って、最後まで人間として戦い抜く。」

「パイロット、やはり長していますね。」

サイとの會話も楽しいが、そろそろ本題を切り出そう。

「サイ、セカンドの能を試したい。模擬戦プログラムを起してくれないか。」

「ワタシもパイロットとの連帯で試したいと思っていました。それでは網投影を開始します。」

投影が始まり、徐々にコックピットに燈がついていく。

投影は仮想空間を映し出し、コックピットの景は火星の外の風景になっていた。

「戦闘データにある一番強いアームドを敵として出します。」

サイがそう告げると現れたのは漆黒の機

そう、火星で現れた敵の新型機だった。

「戦闘開始カウントダウンを開始……」

僕は集中してあの機を沈める方法を考える。

「戦闘を開始します。」

サイがそう告げると、新型機は戦った時と同じように白兵戦を仕掛けてくる。

すごい速度で距離を詰められ、ヒートブレードによる連続攻撃が僕を襲う。

あの時は躱すので一杯だったが、スラスターが増えたことにより、微妙な加減での姿勢制が可能になっている。

反撃のチャンスがちゃんとある。

僕は躱すだけでなく、ロックオンし、頭部バルカン砲の牽制を仕掛ける。

敵機の裝甲に効いてる様子はないが、目眩し、そして僅かな隙を生む。

その隙を逃さず、足で敵のヒートブレードを持つ片手を蹴り上げる。

それで片腕を潰し、さらに加速してタックルをれる。

敵機が起き上がる隙に、新しく腕に蔵されたガトリングガンを放つ。

敵機に命中。裝甲にかなりのダメージを負わせたが、敵機は戦線をしだけ離し、勢を整えると、今度は左手でヒートブレードを抜き、襲いかかってくる。

だが、スピードがさらに上がったストライカー・セカンドの逃げ能には相手の機の方が劣っていた。

その場からしだけ離し、反転。ガトリングガンを撃ち込む。

コックピットに命中したのだろう。敵機は沈黙した。

「狀況を終了します。」

サイがそう告げると、そこで網投影が終わり、コックピットの視界が戻ってきた。

「凄いな……」

僕はあの敵機との戦闘でこんなにも違うとは思わなかった。

そしてし、悔しい想いをする。

「あの時、ストライカーが、既にこの狀態だったら……」

ジンは死なずに済んだ。と言いかけたところでサイがこう言う。

「パイロット、それは言っても仕方のない事です。月面本部でこれが完し、屆けられたのは火星基地が解放された後のことです。」

「確かに悔しいことではありますが、それは言わない方がいいです。」

「……そうだな。」

サイのいう事は正しい。

でも、この力があれば、きっと、助けられる命も増えるだろう。

僕のさっき思っていた事は確信に変わった。

しかし、調子に乗って戦場で好き勝手き回るわけにもいかない。

これを上手に制してこそ、パイロットして一人前なのだろう。

「サイ。ありがとう。し休んでくる。」

「大きい作戦の後ですから、ゆっくりと休んでください。休息とはとても大事な事ですから。」

「じゃあまた來るよ。」

そう言ってコックピットの電源を落とす。

コックピットから出ると、サクラを含む整備兵達は忙しそうにパーツを取り付けていた。

僕は眠るために、仮眠室へと向かった。

何日か過ぎて、ようやくストライカー・セカンドが完したようで、テストフライトをする事になった。

みんなが見ている中での1人でのテストフライトだ。しだけ張する。

サイから

「戦闘に行く時よりもバイタルが安定していませんよ。不思議ですね。」

とからかわれた。

セレーネのカタパルトデッキ、エレナから通信がる。

「ストライカー、発進どうぞ。」

「了解。ブレイブ2出撃する。」

カタパルトが作し、高速で機が火星の空をる。

ブースターを全開にし、僕はアクロバット飛行を披する。

管制室とハンガーの通信を繋いだままにしてたが、歓聲が聞こえてくる。

サイが言う

「アップグレードのパッチ通りの出力、運能です。機の制はさらに難しくなると思いますが……」

「習うより慣れろとサクラという整備兵から言われている。しばらくガチャガチャかすぞ。」

そう言って加速、減速を繰り返しながら火星の空をき回る。

今ならどこまでも飛べる気がした。

この機とならば、どこまでも。

27話へ続く。

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