《リターン・トゥ・テラ》29話『タイプ・ヴィーナス』

電気系統が落ちてしまっているので、通信もできない。サイも再起しない。メインカメラもかないので、外の様子もわからない。

本當の絶絶命だった。

このままストライカーを鹵獲されるぐらいなら、手力でエーテライト・オーバーロードを発させるしかない。

しかし、外できがある様子がない。

敵の言い分だと、このまま水星まで連れていかれるはずだった。

グリムが助けに來た?それともマキシ?エドワード?

でも相手はストライカーだ。危険すぎる。

闇に包まれたコックピットで僕はなんとか、機の再起を試みる。

キーのオン、オフを試す。

回路は焼き切れてないはずだ。何度か試せばきっと……!

いてくれ!サイ!」

そうんだ。

それに呼応するかの如く、サイが再起を始めた。

「パイロット、申し訳ありません。電気ショックによるショートで、數分の間、起することができませんでした。機のコンディションは悪いですが、なんとか回復させます。メインカメラ起。網投影スタート。パイロットリンク、安定。」

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「奇跡的なタイミングだな。丁度サイを呼んだところだった。」

「ワタシたちはトモダチでしょう。トモダチのピンチには駆けつけるものです。」

「サイに聲が屆いたって事なのか?」

「パイロット、それは偶然であり、必然とも言えるでしょう。」

「よくわからないな。」

「ショートしても、パイロットリンクは切れていませんでした。こちらの反応ができないだけで、パイロットの聲は屆いておりました。パイロットがんだタイミングで、機のダメージコントロールの計算を終えて再起できたって言うのがネタ明かしです。」

「にしてもワタシを捨てて手力でエーテライト・オーバーロードをするのはどうかと思いますよ。絶対否決します。ヒドイです。」

「ごめん。それについては何度でも謝るさ。それにしても、戦況はどうなって……」

僕は目を疑った。

の機

その機が敵のタイプ・マーキュリーと遠方で戦闘を行なっている。

よく見るとストライカーの改修前と全く同じ形をしている。

これは……

「パイロット、あれはタイプ・ヴィーナスです。未完と言っていましたが、戦線に上がってくるとは。」

「そのヴィーナスから早速通信がっています。繋ぎますね。」

そう言うと、急に大聲が聞こえてくる。

「聞こえてんの!?タイプ・ジ・アースのパイロット!!」

の聲だ。怒ってる様子だ。

「アンタ!!早く起きて私を助けなさいよ!!改修終わって機能もいいんでしょ!?こっちとら、まだ未完なのよ!!」

僕は冷靜に言葉を返す。

「すまない。電磁ネットを喰らって、機かなくなっていた。電気系統にダメージをけている。まともに戦えるかはわからないが、加勢する。」

「油斷してるからそう言うことになるのよ!!いい機乗ってるんだから、ちゃんと戦いなさいよね!!」

くんなら、早く助けに來い!!以上!!」

そう言って通信が切れた。

「口調がが強いヒトでしたね。パイロット。」

「いいさ、相手は正論しか言ってない。確かに、油斷したのは僕の方だ。」

民間人を殺さない。ストライカー同士なら一対一で勝てる。

そう思い込んでいたのは僕だ。

もう電気を帯びてないネットをダガーで切り、僕は2機が戦闘している場所へとブースターを吹かせる。

「やっと來たわね。ジ・アースのパイロット。」

「すまない。叱咤のおかげで、自分の甘さを再認識した。」

「ふぅん、わかってるじゃない。じゃ、行くわよ。私に合わせて頂戴。」

「了解した。」

敵のタイプ・マーキュリーから通信がる。

「何機増えようとも、我が太神様の元では無力な機も同然。機を持ち帰るのが無理ならば、ここで破壊して差し上げましょう。貴方達はなき暗黒へと飲まれるのです。」

「何言ってんのかさっぱりわからないわ。とりあえずアンタを倒せば信者共はだんまりになるのがわかってるのよ。ここでくたばりなさい。」

「いくわよ!」

そう言って、タイプ・ヴィーナスは肩のハードポイントに搭載しているミサイルを一斉に発する。

敵機はもちろん回避行を取る。

かしたところを取って!ジ・アースのパイロット!」

「了解した!」

足元のペダルを踏み込む、機は加速し、相手を追い込む。

敵はミサイルを避け切るが、僕は相手にもう追いついていた。

アサルトライフルの弾丸をを浴びせる。

敵機はなすすべもなくその銃弾を浴びる。

「ぐっ……!ここでやすやすと死ぬわけにはいきません!信者達が私を待っている!」

「太神様!!私を導いてください!!」

敵機はもうボロボロになっているが、またヒートブレードを構えて僕に突っ込んでくる。

僕は対アームド用ダガーを構え、きが弱った敵機の攻撃をけ流す。

そしてダガーをコックピットに突き刺す。

敵機は完全に沈黙した。

「パイロット、見事です。」

「ありがとう、サイ。そしてごめん。完全な僕の油斷だった。」

「気持ちはわかります。しかし、やはりこう言った宗教は恐ろしいですね。思いもよらない行をヒトに取らせます。ワタシも勉強になりました。」

そこで通信がる。タイプ・ヴィーナスのパイロットからだ。

「急に合わせろって言った割にはやるわね。油斷さえしなければ、案外腕の立つパイロットだったりするのかしら。アンタ、名前は?」

「僕はケイだ。あなたは?」

「私はエミリア。にしても、ヴィーナスの初陣がこんな変な戦いになるとは思ってなかったわ。」

「私は金星の艦隊に連絡して、マーキュリーを討ち取った事を伝えるわ。そして通信を艦隊から宙域のアームドに伝達すればこの戦いも終わるでしょう。」

「アンタはマーキュリーを回収して金星の艦隊まで運びなさい。これは予備のパーツにもなるわ。使わせてもらいましょ。」

サイが僕だけに聞こえるように

「ヒト使いが荒いですね……」

言う。

「そうみたいだね。」

僕もサイだけに聞こえるように一度通信を切って応えた。

金星の艦隊からの通信がる前に、信者達の乗るアームドは糸が切れたようにかなくなったらしい。」

金星の艦にマーキュリーを預けた後、僕はマキシ、エドワード、グリムに合流し、話を聞く。

「それがよ、急にコイツらかんくなってよ、何が起きてるってんだよ。まったくさっきまでの威勢はどこにいったんじゃ。」

「さっきまで馬鹿みたいに特攻したりしてたくせに、急にだんまりしやがった。ま、これで戦闘も終わりってことかね。にしちゃ不気味な景だがな。」

「このままアームドに乗った人々を放置するわけにもいきませんよね。総出で回収することになりそうですが……」

みんな理由はわかっていないらしい。

そこで金星の艦隊から連絡がった。

連絡の容はこうだ。

鹵獲されて捕虜となった信者達の容態から、わかったことがあったらしい。

信者達はみんなヘッドギアを裝著させられ、マインドコントロールで作されていたようだ。

教祖とマーキュリーのAIがその鍵を握っていたらしく、命令の発信源はそこにあった。

その命令の発信源を僕が破壊したことによって、電波が途切れ、信者達は気絶している狀態になっているらしい。

そして、信者達を完全に回復させるには、そのマインドコントロールを行なっている大本のマザーコンピューター、それは水星の太信仰の神殿にあると言う。それを解析し、信者達の混を完全に解く必要があるそうだ。

僕らは一度セレーネへと帰投し、水星へと向かうことになった。

に一番近い星。

水星へと。

30話へ続く。

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