《リターン・トゥ・テラ》36話『インペリアル・ロイヤル・ガード』

僕らは高速で宇宙を駆ける。

「サイ!後何分で到達だ!?」

「パイロット、後約2分半です。」

「もっと速度を上げられるか!?」

「これ以上は機が持ちません。限界です。」

「持ち堪えてくれる事を祈るしかないか……!推進剤はどうだ!?」

「殘量66%。戦闘宙域に突する頃には、約60%程殘る計算になります。」

「了解だ!間に合ってくれ……!」

これ以上は踏み込めないが、ペダルを踏み込む足に力がる。

あんなに遠くに見えた月はもう黙然となっていた。

タイプ・ムーンは……。

外部ユニットを捨てて、タイプ・ヴィーナスと共に1機のサイクロプスと戦していた。

外部ユニットは破損しており、もう高出力のビームは撃てないだろう。

「戦データリンクをストライカー同士で繋ぎます。」

サイがそう言うと、途端に通信がってくる。

「遅いわよ!アンタ、いつも肝心な時に!」

タイプ・ヴィーナスのエミリアだった。

「作戦に沿っていていただけだ。仕方がないだろう。それに、今のタイプ・ヴィーナスはブースターの出力が上がっているのだろう。先にこちらに辿り著いて當然のはずだ。」

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僕の言葉に、エミリアは

「口ごたえしない!今は目の前の敵を叩きなさい!」

とピシャリと言う。

サイが僕にだけ聞こえるように

「言っても無駄です。パイロット。不服かと思いますが、ここは協力しましょう。」

と言う。

僕はとりあえずエミリアに

「了解だ。」

とだけ通信を送る。

そこに通信で聞きなれないの聲がってくる。

「とりあえず、私たち2人で抑える。艦隊に向かった3機を追って。」

おそらくタイプ・ムーンのパイロットだろう。

データリンクを繋いだ事で、機の狀況を把握できる。

タイプ・ムーンはかなり被弾した狀況になっていた。

「タイプ・ムーンのパイロットか、機の狀況を見るに酷くやられているが、大丈夫なのか。」

通信が返ってくる。

「はい。この機は頑丈に作られているので大丈夫です。申し遅れました。私、ソフィアと申します。」

その通信に

「言ってる場合か!來るぞほらぁ!」

とエミリアが大聲で割り込んでくる。

「ソフィア、エミリア、ここは任せた!僕は艦隊の防衛をする!」

と言って、ブースターを點火。

艦隊集結の場所まで高速で飛ぶ。

祈りは屆かず、艦隊は酷くやられていた。

一応護衛についていたアームドも多數いたのだが、大半が撃墜されているようだった。

サイはセレーネと通信を繋ぐ。

「セレーネ。こちらサイです。損害狀況は。」

ムラクモから通信が返って來る。

「ストライカーか!護衛についてるウィザード隊と対空砲火でなんとか凌いでいるが、まずい狀況なのは変わりない!早急な援護を!」

アルテミス、ヘカテー、セレーネ、ツクヨミは戦中でまだ損傷自ない様子だった。

しかし、ビーム・ブラスターを持った敵機がいる。

アルファ。

奴に近づかれたら……。

そう思っている矢先。

僕がセレーネに向かっている反対方向から、敵機が急速に接近して來るのがわかる。

間違いない。

ヤツだ。

僕はビーム・ブラスターを腰から取り、荷電粒子の充填を始める。

そして、全速力でアルファの機に突っ込む。

アルファはセレーネに向かって、ライフルを構えようとする。

この位置でアルファにビームを撃って、撃墜してしまうと、セレーネも発に巻き込まれてしまう。

それならば……!

「させるか!」

アルファの構えたビーム・ブラスターをロックオン。

「當たれ!」

放たれた閃は、敵機のビームブラスターを貫いた。

「お見事です。パイロット。」

サイに聲をかけてもらったが、応えている余裕はなかった。

ビーム・ブラスターは発。その発を盾で防ぐアルファ。

そのままアルファの乗る機當たりをかます。

「相手はこの僕だ!アルファ!」

回線で僕はアルファに通信を繋ぐ。

「また君が立ちはだかるんだね。でも、どうかな。君が僕とやり合ってる間にも。」

アルファから通信が返って來るがそれに合わせてセレーネから通信がる。

そして背後で発が起こる。

「アルテミス、轟沈!ヘカテーも回避行を取っています!」

「空母ツクヨミ、地球付近に向けて後退!スタースピード航行準備!」

そしてまたアルファから通信がる。

「他の2人が君の仲間を潰してる。」

「君も知っての通り、僕ら、インペリアル・ロイヤル・ガードは4人いるんだよ。」

そう言ってアルファは勢を立て直すと、僕の機に蹴りをれる。

蹴飛ばされた僕は姿勢制を素早く行い、ヒート・ブレードを腰から取り、刀を放熱させる。

向こうも同じく、ヒート・ブレードを構える。

僕はブースターを全開にし、慣をのせて敵機に斬りかかる。

敵機はヒート・ブレードでけて、それをけ流す。

時間を稼いでるつもりか?

そこに通信がる。

エミリアだった。

「手こずった!1機撃墜したけど、こっちは思った通り無茶苦茶ね……。」

丁度鍔迫り合いになっていたアルファから接回線で通信がる。

「ガンマがやられたようだね。まぁ、彼は出來損ないだから仕方ないか。」

「加勢するわ!ジ・アースのパイロット!」

データリンクが再びアクティブになる。

タイプ・ヴィーナス、タイプ・ムーン両機ともボロボロだった。

「その機では無茶だ!」

「バカ言いなさい!敵は新型よ!それにさっきのヤツですら……。」

そう言いかけたところで通信が途切れる。

データリンクの報によると、別機からの攻撃で腕を損傷したようだ。

一方こちらも鍔迫り合いを押し切られ、が取れない狀況で、敵機の一刀をまともにけてしまう。

ヒート・ブレードごと、右手を斬られる。

左手でサブマシンガンを抜き取り応戦するも、左手もシールドごと溶斷されてしまう。

「パイロット。焦りすぎです。」

「そうは言っても!」

サイが自でロックオンをかける。

「目眩しにはなるはずです。パイロット、頭部チェーンガンを。」

言われるがまま、チェーンガンをフルオートで撃つ。

敵機の頭部メインカメラに命中。

しだけ敵機のきが鈍る。

「これで!」

僕はのスラスターを最大にし、接近してきた相手に対してさらに目眩しをかける。

そのまま後退する。

データリンクを確認し、応戦している2機がまだいている事を確認する。

「エミリア!ソフィア!生きているな!」

エミリアとソフィアから、なんとか生きている。と言う旨の通信が返って來る。

今度はセレーネに通信を繋ぐ。

「ムラクモ!セレーネの狀態は!」

「3人が攻撃を引きけてくれたおかげだ!被弾もない!」

「ガイドビーコンを出さずに3機著艦する!そうしたら、すぐにスタースピードでツクヨミの位置まで後退できるか!?」

「引きけた!聞いたか?格納庫のハッチを開けろ!ストライカー3機がるぞ!」

通信にエミリアが割り込んでくる。

「ちょっと!聞いてないんですけど!」

僕は答える。

「もう時期、こちらにも後退してきたみんなが到著する。だが、こちらももうボロボロだ。」

「萬全に迎え撃つには一度引くしかない。」

サイが応える。

「パイロットの判斷に賛です。このままでは押し切られます。」

「ちっ、しょうがない。アンタのいに乗るわよ!」

ソフィアからも

「その判斷、間違いないと思います。」

と返事が返って來る。

そう言ってセレーネに向けて僕らは後退する。

もちろん後を追うインペリアル・ロイヤル・ガードの3機。

アサルトライフルでの撃をなんとか躱し、セレーネのドックに著艦する。

ムラクモから通信がる。

「ドックのハッチを閉めろ!スタースピードで飛ぶぞ!」

シャッターにアサルトライフルの攻撃がしだけ當たるが、直ぐに止む。

どうやら亜空間にったようだ。

「パイロット、お疲れ様です。」

サイから聲がかかる。

だが、僕は2度も敗退したことを悔やみ続けていた。

37話へ続く。

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