《リターン・トゥ・テラ》36話『インペリアル・ロイヤル・ガード』
僕らは高速で宇宙を駆ける。
「サイ!後何分で到達だ!?」
「パイロット、後約2分半です。」
「もっと速度を上げられるか!?」
「これ以上は機が持ちません。限界です。」
「持ち堪えてくれる事を祈るしかないか……!推進剤はどうだ!?」
「殘量66%。戦闘宙域に突する頃には、約60%程殘る計算になります。」
「了解だ!間に合ってくれ……!」
これ以上は踏み込めないが、ペダルを踏み込む足に力がる。
*
あんなに遠くに見えた月はもう黙然となっていた。
タイプ・ムーンは……。
外部ユニットを捨てて、タイプ・ヴィーナスと共に1機のサイクロプスと戦していた。
外部ユニットは破損しており、もう高出力のビームは撃てないだろう。
「戦データリンクをストライカー同士で繋ぎます。」
サイがそう言うと、途端に通信がってくる。
「遅いわよ!アンタ、いつも肝心な時に!」
タイプ・ヴィーナスのエミリアだった。
「作戦に沿っていていただけだ。仕方がないだろう。それに、今のタイプ・ヴィーナスはブースターの出力が上がっているのだろう。先にこちらに辿り著いて當然のはずだ。」
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僕の言葉に、エミリアは
「口ごたえしない!今は目の前の敵を叩きなさい!」
とピシャリと言う。
サイが僕にだけ聞こえるように
「言っても無駄です。パイロット。不服かと思いますが、ここは協力しましょう。」
と言う。
僕はとりあえずエミリアに
「了解だ。」
とだけ通信を送る。
そこに通信で聞きなれないの聲がってくる。
「とりあえず、私たち2人で抑える。艦隊に向かった3機を追って。」
おそらくタイプ・ムーンのパイロットだろう。
戦データリンクを繋いだ事で、機の狀況を把握できる。
タイプ・ムーンはかなり被弾した狀況になっていた。
「タイプ・ムーンのパイロットか、機の狀況を見るに酷くやられているが、大丈夫なのか。」
通信が返ってくる。
「はい。この機は頑丈に作られているので大丈夫です。申し遅れました。私、ソフィアと申します。」
その通信に
「言ってる場合か!來るぞほらぁ!」
とエミリアが大聲で割り込んでくる。
「ソフィア、エミリア、ここは任せた!僕は艦隊の防衛をする!」
と言って、ブースターを點火。
艦隊集結の場所まで高速で飛ぶ。
*
祈りは屆かず、艦隊は酷くやられていた。
一応護衛についていたアームドも多數いたのだが、大半が撃墜されているようだった。
サイはセレーネと通信を繋ぐ。
「セレーネ。こちらサイです。損害狀況は。」
ムラクモから通信が返って來る。
「ストライカーか!護衛についてるウィザード隊と対空砲火でなんとか凌いでいるが、まずい狀況なのは変わりない!早急な援護を!」
アルテミス、ヘカテー、セレーネ、ツクヨミは戦中でまだ損傷自はない様子だった。
しかし、ビーム・ブラスターを持った敵機がいる。
アルファ。
奴に近づかれたら……。
そう思っている矢先。
僕がセレーネに向かっている反対方向から、敵機が急速に接近して來るのがわかる。
間違いない。
ヤツだ。
僕はビーム・ブラスターを腰から取り、荷電粒子の充填を始める。
そして、全速力でアルファの機に突っ込む。
アルファはセレーネに向かって、ライフルを構えようとする。
この位置でアルファにビームを撃って、撃墜してしまうと、セレーネも発に巻き込まれてしまう。
それならば……!
「させるか!」
アルファの構えたビーム・ブラスターをロックオン。
「當たれ!」
放たれた閃は、敵機のビームブラスターを貫いた。
「お見事です。パイロット。」
サイに聲をかけてもらったが、応えている余裕はなかった。
ビーム・ブラスターは発。その発を盾で防ぐアルファ。
そのままアルファの乗る機に當たりをかます。
「相手はこの僕だ!アルファ!」
接回線で僕はアルファに通信を繋ぐ。
「また君が立ちはだかるんだね。でも、どうかな。君が僕とやり合ってる間にも。」
アルファから通信が返って來るがそれに合わせてセレーネから通信がる。
そして背後で発が起こる。
「アルテミス、轟沈!ヘカテーも回避行を取っています!」
「空母ツクヨミ、地球付近に向けて後退!スタースピード航行準備!」
そしてまたアルファから通信がる。
「他の2人が君の仲間を潰してる。」
「君も知っての通り、僕ら、インペリアル・ロイヤル・ガードは4人いるんだよ。」
そう言ってアルファは勢を立て直すと、僕の機に蹴りをれる。
蹴飛ばされた僕は姿勢制を素早く行い、ヒート・ブレードを腰から取り、刀を放熱させる。
向こうも同じく、ヒート・ブレードを構える。
僕はブースターを全開にし、慣をのせて敵機に斬りかかる。
敵機はヒート・ブレードでけて、それをけ流す。
時間を稼いでるつもりか?
そこに通信がる。
エミリアだった。
「手こずった!1機撃墜したけど、こっちは思った通り無茶苦茶ね……。」
丁度鍔迫り合いになっていたアルファから接回線で通信がる。
「ガンマがやられたようだね。まぁ、彼は出來損ないだから仕方ないか。」
「加勢するわ!ジ・アースのパイロット!」
戦データリンクが再びアクティブになる。
タイプ・ヴィーナス、タイプ・ムーン両機ともボロボロだった。
「その機では無茶だ!」
「バカ言いなさい!敵は新型よ!それにさっきのヤツですら……。」
そう言いかけたところで通信が途切れる。
データリンクの報によると、別機からの攻撃で腕を損傷したようだ。
一方こちらも鍔迫り合いを押し切られ、けが取れない狀況で、敵機の一刀をまともにけてしまう。
ヒート・ブレードごと、右手を斬られる。
左手でサブマシンガンを抜き取り応戦するも、左手もシールドごと溶斷されてしまう。
「パイロット。焦りすぎです。」
「そうは言っても!」
サイが自でロックオンをかける。
「目眩しにはなるはずです。パイロット、頭部チェーンガンを。」
言われるがまま、チェーンガンをフルオートで撃つ。
敵機の頭部メインカメラに命中。
しだけ敵機のきが鈍る。
「これで!」
僕はのスラスターを最大にし、接近してきた相手に対してさらに目眩しをかける。
そのまま後退する。
戦データリンクを確認し、応戦している2機がまだいている事を確認する。
「エミリア!ソフィア!生きているな!」
エミリアとソフィアから、なんとか生きている。と言う旨の通信が返って來る。
今度はセレーネに通信を繋ぐ。
「ムラクモ!セレーネの狀態は!」
「3人が攻撃を引きけてくれたおかげだ!被弾もない!」
「ガイドビーコンを出さずに3機著艦する!そうしたら、すぐにスタースピードでツクヨミの位置まで後退できるか!?」
「引きけた!聞いたか?格納庫のハッチを開けろ!ストライカー3機がるぞ!」
通信にエミリアが割り込んでくる。
「ちょっと!聞いてないんですけど!」
僕は答える。
「もう時期、こちらにも後退してきたみんなが到著する。だが、こちらももうボロボロだ。」
「萬全に迎え撃つには一度引くしかない。」
サイが応える。
「パイロットの判斷に賛です。このままでは押し切られます。」
「ちっ、しょうがない。アンタのいに乗るわよ!」
ソフィアからも
「その判斷、間違いないと思います。」
と返事が返って來る。
そう言ってセレーネに向けて僕らは後退する。
もちろん後を追うインペリアル・ロイヤル・ガードの3機。
アサルトライフルでの撃をなんとか躱し、セレーネのドックに著艦する。
ムラクモから通信がる。
「ドックのハッチを閉めろ!スタースピードで飛ぶぞ!」
シャッターにアサルトライフルの攻撃がしだけ當たるが、直ぐに止む。
どうやら亜空間にったようだ。
「パイロット、お疲れ様です。」
サイから聲がかかる。
だが、僕は2度も敗退したことを悔やみ続けていた。
37話へ続く。
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