《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》僕の壽命がこんなに短いわけがない。

「えーと、とりあえずそれはそれとして、君のスキルって何? よかったら教えてほしいんだけど」

「いいわ、見せてあげる。【開示(ヴィジュアライズ)】」

ミアがそう言った瞬間、僕とミアの間に數字の羅列が出現した。

「何、これ?」

「これはあなたという存在を數字で表したもの」

「そりゃ凄いや。で、それで何が分かるの? 寶くじの當選番號?」

「一言で言うなら、あなたのステータスが分かるわ」

「へえ」

「ここがあなたの筋力、こっちが俊敏さ、こっちが……」

「分かった、もういいよ。ありがとう」

思ったより面白くなかった。

僕はベッドから立ち上がった。

だけど、運の悪いことに、そのまま足をらせてしまった。

そしてテーブルの角が僕の眼球に直撃する。

ぐちゃ、と嫌な音が僕の頭の中に響いた。

うわ、死んだな、こりゃ。

真っ赤になった視界が、徐々に暗くなっていく。

そしてミアの悲鳴が聞こえる。

ミアが僕のを起こそうとする。

だけど、ちょっと、遅かった。

そして時は巻き戻る。

「いいわ、見せてあげる。【開示(ヴィジュアライズ)】」

つい數秒前に聞いたはずのミアの聲に、僕は我に返った。

目の前にはあの數字の羅列が浮かんでいる。

「えーと、説明はいいよ。要するにこれは僕のステータスなんでしょ?」

「……どうして分かったの?」

いぶかしげな顔をするミア。

「今から數秒後に、僕はうっかり死んじゃったんだ。だけどこうして生き返って、人生を再びやり直してるってわけ」

ミアの視線がますます鋭くなる。

い系の顔なのに、怖い。きっと裏表があるタイプなんだろう。

「それがあなたのスキルってわけ?」

「そういうこと。話が早くて助かるよ」

「だったら、この數字が何の數字なのかも分かるのかしら?」

「數秒前にミアが教えてくれたからね。こっちが僕の筋力で、こっちが俊敏さ……」

ミアの方に回り込んで、僕は數字をひとつずつ確認していった。

でも、おかしい。

なんか変だ。

さっきと同じシチュエーションのはずなのに、どの數字にも見覚えが(・・・・・・・・・・)ない(・・)。

というか、どの數字もさっき見たものより大きくなっている。

要するに、死ぬ前よりステータスが上昇している。

僕の干し草でも詰まってんじゃないかって頭に電撃が走る。

まさか。

いや、しかしそれ以外ありえない。

「……ねえ、ミア」

「何、えーくん」

「僕を殺してくれる?」

「こ、殺す!?」

ミアが驚いたように顔を上げた。

「そうだ。殺してほしい。別に殺さなくてもいいけど、僕に死にそうって思わせてほしい」

「ど、どうしてかしら?」

「それが僕のスキル【即死(デストラクション)】だからだ」

「で、でも私にはできないわ。だってあなたは私を助けてくれた人だもの」

えーい面倒くさいな。

こんな時に助けた助けてないなんて、関係ないんだよな。

「じゃあいいや、僕が死のう」

幸いにもミアの部屋はアパートの二階だった。

窓から落ちれば十分死ねる。

僕はミアを置き去りに、部屋の窓から跳んだ。

一瞬、が奇妙な浮遊に包まれる。

夜の風が僕の頬を切り裂いていく。

道路の石畳はもう目の前だ。

そして、僕はもう一度死んだ。

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