《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》とある弱者の瀕死目録

それから生き返った。

「……やっぱり私には殺せないわ」

気づけば僕は、やはりミアのベッドの上にいた。

「いや、もう殺してくれなくていい。目的は達した」

「どういうこと?」

「ステータスを見てくれれば分かる」

表示されたステータスは、さっきよりもさらにその數値を大きくしていた。

これで【即死(デストラクション)】の隠された能力が明るみに出たことになる。

つまり、『死ねば死ぬほどステータスが上昇する』能力が。

これで僕が最近チンピラと戦えるようになった理由も分かる。

筋力や反神経、その他諸々が強化されていたからだ。

でも、それに気づいたからと言ってどうだというんだろう。

『死ねば死ぬほどステータスが上がる』なんて、周りの人にどう説明したらいいんだ?

理解されないスキルなんて、スキルが存在しないのと同じだ。

もっと分かりやすい、敵を発させるスキルとか怪我をしないスキルとか、そういうのがよかった。

「……ねえ、えーくん」

「なあに、ミアちゃん」

「……いきなりちゃん付けで呼ぶの、やめてくれないかしら」

「ごめん」

「話を戻すわ。えーくん、私の背中を見ても何もじなかったの?」

「非常に前衛的なデザインだなあとは思ったけど」

「そう。斬新な意見をありがとう」

「で、ミアの背中がどうしたの?」

「いままでこの呪印を見た人は、みんな私から離れていったわ。それだけこの國ではジャギア族が疎まれているの」

「うん、まあ、魔導學校でもそう習ったよ。ジャギア族は忌むべき敵だって」

「だけどあなたは逃げなかった。どうして?」

「どうしてって、僕は別にジャギア族に親を殺されたわけでもないしね」

むしろ殺してほしいくらいだ、ああいう親ならば。

「もう一つだけ聞くわ。えーくんがギルドにれなかったのはどうして?」

「僕のスキルがゴミクズ同然だと思われたからだ」

「そうよね。それって、えーくんが悪いのかしら」

僕は一瞬言葉に詰まった。

そして、口を開いた。

「……ミアは、誰が悪いんだと思う? 僕がギルドにれなかったことと、ジャギア族が疎まれることの原因は何なんだ?」

ミアは、僕に言葉を返す代わりに、ぞっとするような笑みを浮かべた。

マジで、小さな子供が見たらトラウマになるレベルの笑みを。

「全て、この國が悪いのよ。この魔導王國グラヌスが。この國の生きとし生けるもの全てが」

「……ふうん。で、仮にそうだとして、君はどうするんだ」

「私のみは一つだけ。ねえ、えーくん。私と一緒にこの國を滅ぼさない?」

ミアが僕に顔を寄せてくる。

白いに赤く輝く瞳。

僕は答える。

「すっげー魅力的な提案だね、それ」

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