《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》僕がセボネを折られたら

『えーくん、聞こえてる?』

ミアの聲に我に返った僕は、また建の影に立っていた。

「聞こえてるよ。今日パンツ履いてないんだろ」

『履いてるわよ! 確認する?』

「帰ったらね」

『えっ、本気なの?』

慌てたようなミアの聲。

「……冗談だよ」

99.9%本気だったんだけど。

しかし、ミアのパンツを見ようが見まいが、今の事態は何も変わらない。

逃げ続けることは可能だけど、それじゃいつまでも敵は倒せないままだ。

どうにかしてあの黒い鎌を潛り抜け、僕が死なないうちに敵を殺さなくては。

「ねえミア、僕とあいつのステータス差は?」

『わずかにえーくんの方が上だわ。もしかして、また死んだの?』

「まあね。……じゃあ、とりあえずやってみるよ」

男の足音が近づいてきている。

やろうと思えば、相手は多分今の距離からでも十分僕を殺せるだろう。

せっかちだとか時間の無駄だとか言いながら、向こうは僕を嬲っているわけだ。

なら、その慢心を、僕は殺す。

「ミア、敵の位置は?」

『近づいて來てるわ。えーくんからもあとしで見えるはず』

「オッケー。引き続き位置案よろしく」

僕は僕の背後の建を見上げた。

そう高くはない。

このくらいなら登れる(・・・・・・・・・・)。

僕は建の壁を(・・・・・)駆け上がった。

実際、壁を走ることは理論上可能だ。

自分のが落下する前に、次の一歩を踏み出し続ければいい。

死に続け、ステータスが上がり続ける中、僕はこの妙技をに著けていた。

……もしかしたら、サーカス団とかに転職したほうがいいかもしれない。ちょっと本気で考えておこう。

のレンガ造りの屋までたどり著いた僕は、屋の上によじ登り、そこから敵を見下ろした。

それほど高くはない。なくとも、落ちて即死するほどの高さじゃない。

上手く壁をり降りることができれば、気づかれる前に相手を殺せる。

だけど、さっきから何かが引っかかってる。

僕の中に、僕の気付かない何かがある。

それを確かめるためにもやっぱりここから降りるしかない。

僕は、いつも學校の教室でやっていたように最大限気配を消して、壁をり降りた。

夜の冷たい空気が僕の頬を掠めていく。

男はまだ僕に気付いていない。

殺れる。

僕はナイフを構えた。

そして、僕のナイフが男の首筋に突き刺さる寸前。

男は僕を見上げた。

「……クソガキが!」

男が僕のを払いのける。

空中じゃ躱しようがない。

當然僕のは地面に叩きつけられた。

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