《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》即死使いの譫言詠唱《ワールドエンド》 その③

手品?

いや違う。

何かのスキルだ。

「これだけでは終わらないでおじゃるよ。ほら!」

二つに増えた石は、次は四つに増えていた。

グルツが手を下に向けると、ばらばらと石ころが転がり落ちてきた。

その數は、八つ。

どれもが、大きさも形も全く同じだった。

「このように、わしはの個數を増やすことができるのでおじゃる!」

「すごいわね。どうして大道蕓人にならなかったの?」

「はっはっはっは、大道蕓人とは面白いことを言うお嬢さんでおじゃるなあ」

大聲で笑うグルツを、ミアが冷ややかな目で見る。

「つまり、僕らがおじさんにお金を渡したら、おじさんが文字通り増やしてくれるってこと?」

「そういうことでおじゃる」

「ふーん、面白そう。ミア、渡してあげれば?」

「こんな胡散臭い人に?」

「でも、多分本當に増やしてくれるよ」

「もし手の込んだ詐欺師だったら?」

「殺してでも(・・・・・)お金は取り返す」

「……分かったわ。グルツさん、あなたを信じましょう」

「あれ? でもミア、財布の中は空なんでしょ?」

「そこに関しては心配しないで」

いうが早いか、ミアは來ていたワンピースの元に手を突っ込んだ。

そして取り出したのは、一枚の紙幣だ。

まさか、に隠していたのか?

でもおかしい。ミアのは、谷間を作れるような大きさじゃないはず……。

どんなテクニックを?

最近はやりの盛れる(・・・)ブラってやつか?

「多機能ブラよ。収納ポケットが付いてるの」

僕の頭の中を読んだように、ミアが言う。

「多機能?」

「そう、多機能」

「隠しポケットがついてるのが多機能ブラなの?」

「そうよ。本當はナイフとかを隠すものらしいわ」

へー、多機能ブラジャーすげえ。

でも、果たしてそんなものが一般に流通しているのだろうか。

……ミア、噓言ってるんじゃないよな?

この人、案外すぐ噓つくからな。

って怖い。

「えーくん」

「何?」

「私のばかり見て、何を考えてるの?」

「ひんにゅ……いや、特に何も」

ふうん、と呟いて、ミアは取り出した紙幣をグルツに渡した。

あの冷たい目から察するに、多分僕の頭の中はミアにはお見通しなんだろう。

「さてさて、いくらぐらいに増やせばよいでおじゃるか?」

「そうね。一月は生活できるくらいかしら」

「よろしい、任せるでおじゃるよ。【倍加(ダブルアップ)】!」

グルツの手の中で、一枚だった紙幣がどんどん増えていく。

いつの間にか彼の手の上には、紙幣の山が出來ていた。

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