「ボクは差別主義者でもないし、生きとし生けるもの全てを平等に尊重したいと思ってる。それが公平(ホワイト)ってものだろう？」

シロは言いながら、機の上のシミに手をかざした。

そして、彼が再び手を元の位置に戻したときには、そのシミはきれいになくなっていた。

「真っ白なものはしいよ。そして、それを汚すものはきれいに消さなくちゃ(・・・・・・)いけない」

「あんたの仕事って、王國の掃除夫か何か？」

「ある意味では正解だ。君のような王國への反逆人を掃除して排除するのがボクの仕事だからね」

やっべえ、こいつ敵だ。

そもそも僕にを買ってくれるような奴がまともなはずがない。

多分、今すぐここから逃げ出すのが正解だ。

「そんな、王國の掃除人が僕に何の用？」

「掃除人が必要とされる場所と言えば、汚れてる場所だけだろう？」

「と、いいますと？」

「君を殺しに來た。そういえば分かりやすいかい？」

「えーと、いつから僕を狙ってたの？」

「魔導學院の卒業生が立て続けに殺されたころからだね。ボクらの仲間も一人やられた」

仲間？

ああ、あのキャラが定まらない黒いコートの男か。

ということは、目の前のこいつは……。

「もしかしてあんた、ファーなんとかっていう……」

「そう、【異能力者処理統括機関(ファーバ)】のリーダーをやっているのがボクだ。こうして君に會える日をずっと待ちんでいたよ」

「わざわざ僕に會いに來るなんて、意外と暇なの？」

「ボクらの仕事は人殺しだ。暇に越したことはないさ。だけど、最近は君のせいで忙しい」

「心から申し訳なく思うよ。できればそのまま暇でいてしかったけど」

「そういうわけにはいかない。嫌でもやらなくちゃならないのが仕事だからね」

僕はカップをシロめがけて投げた。

隙を作るためだ。

コーヒーの茶いがカップから飛び出る。

だけど、相手は僕から目を逸らすことなく、それらを全てけ止めた。

「行儀が悪いな、えーくん……だっけ？」

「……あいにく、親の躾が悪かったんでね」

躾が悪かったって言うのは噓だ。めちゃくちゃ厳しかった。じゃなきゃ魔導學院なんかにれられてない。

もっと甘やかされていれば、こんな白髪ホモに狙われず済んだかもしれないのに。

っていうかこいつ、僕の呼び名を知ってるのか。

個人報ダダ洩れじゃないか。

そのとき、僕は気付いてしまった。

僕が投げたはずのカップが消失していることに。

カップだけじゃない。飛び散ったはずのコーヒーも、すべてが綺麗に失くな(・・・・・・・・・・)っていた(・・・・)。