《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》あぶな荘のデットな即死 その①

まったく不幸だ。

僕らを見下してきた奴らに気持ちよく復讐していたら、ファーバとかいうなんだかよくわからない奴らに目をつけられてしまった。

それだけじゃなく、ミアまでやられてしまった。

挙句の果てには、解毒剤を賭けたゲームに付き合わされる羽目になるなんて。

まったく、僕はついていない。

不幸すぎます。

でもまあ、いいさ。

相手は王國の一機関。エリートの集まりだ。

僕みたいな底辺ザコクズ人間に壊滅させられたってことにでもなれば……きっと面白いことになるだろう。

結局僕はそういうところにしか楽しみを見出せない暗野郎なんだな。

『えーくん、止まって』

信魔法を介に、ミアの聲が僕の頭の中に響く。

「ここが敵の拠點なの?」

僕の目の前にあったのは、閑散とした街並みにぽつんと立つ、古びた酒場だった。

いや、古びたというのもちょっと飾った表現かもしれない。

その酒場は廃墟同然で、シロアリやネズミの巣の方がよっぽど立派なんじゃないかと思えるほどだった。

『そう。私の調査とグルツさんの証言から考えられるのは、そこしかないわ』

「すごいところに住んでるんだね、あの人たち」

『その見た目は、多分カモフラージュよ。反分子を裏に処理する機関があんまり目立つところにいちゃ、不都合でしょ?』

「それはそうだね」

僕は酒場のり口らしきから、その中へ足を踏みれた。

酒場の中は薄暗く、一歩進むごとに床がきしみ、そしてやはりというべきか客は一人もいなかった。

さすがにこんなところにお酒を飲みに來るような好きはいないってことか。

こういう気臭いところなら、僕は常連になってもいいくらいなんだけど。

僕以外の足音が聞こえたのは、その時だった。

僕が顔を上げ、音のした方を見ると、そこには一人の男が立っていた。

「よお、お客さんかい?」

髪を一部だけ赤く染めた男はバーテンダーのような制服を著て、カウンターの側に立っていた。

「あ、店員さん? ええと、この店、解毒剤とか売ってる? 僕に食べをくれるの子が通りすがりの暗殺機関にやられちゃったんだ」

「そりゃ大変だったな。まあ、こっちに著て座れよ。飲みは何がいい?」

「ああ、殘念ながら僕はお酒が飲めないタイプで。ミルクある?」

「……お前、本気か?」

「何が?」

「俺が店員なわけねえだろ! こんなボロ酒場がまともに酒場をやってるとでも思ったのか? まず疑え! 俺を!」

なんだこいつ。

なんなんだこいつ。

意外と。

意外と――まともじゃないか。

びっくり。

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