《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》能蕓無・ノーライフ その①

「……そんなことして、どうするの?」

「まず第一に、えーくん。君じゃボクに勝てない。【抹消(ホワイト・アウト)】は君を殺さずに消し去る能力だ。君のスキルは発しない」

「つまり?」

「生き返らずに死ぬ……いや、消える(・・・)ってことさ」

「なるほどね。で、シロは僕のためにその能力を封印してくれるというわけだ」

「半分正解で、半分間違いだ。何も君だけのためじゃない。これはボクのためでもある。ボクが生命に、死ぬことに価値を見出すために、ボクはボクの能力を封印するし、君の能力も使えなくする」

こいつ、いちいち話すことが分かりづらいな。

もうちょっと分かり易く言ってくれないかな。

「はっきり言って、どういう意味?」

「この部屋の中じゃ、ボクも君も平等に死ぬ。そして、解毒剤は」

シロは仰々しく、白いシャツのポケットから、コルクの栓で蓋をされた小さな小瓶を取り出し、そしてテーブルの上に置いた。

青みのかかったった小瓶だ。

「解毒剤はここに置いておく。もし君がボクを殺すことができれば、持って帰っていいよ」

「君は僕と毆り合いの殺し合いをやりたいのか?」

「そうだね。いろいろ考えたけど、それが一番公平(・・)だ」

「……僕はここまで君の部下を何人も倒してきてて、すごく疲れてるんだけど。その點は考慮してくれないの?」

「今まで君を消さなかったことで帳消しにしてくれ。ボクも優秀な部下を失ったことは痛手だ」

「僕だって、君たちが仕掛けてこなければ何もしなかったのに」

「ボクたちには(・・・・・・)、だろ? そうじゃなきゃ今頃別の誰かを殺していたはずだ」

確かに、それはそうかもね。

「じゃあ、時間もないし、始めようよ」

「ああ」

シロが椅子を引き、立ち上がろうとする。

その瞬間を待って、僕は懐のナイフをシロめがけて放った。

同時に機の上の解毒剤に右手をばす。

だが。

ぶつっ、と何かを千切るような音がして。

気が付いたときには、僕が投げたはずのナイ(・・・・・・・・・)フ(・)が、僕の右腕に突き刺さっていた。

「抜け駆けは良くないな、えーくん。それに武の使用を許した覚えもない」

平然とした表のシロ。

まさかこいつ、僕の投げたナイフを摑んで、そのまま僕に刺したっていうのか?

「……ダメなものは、最初からダメだって言ってくれなきゃ」

右腕が死ぬほど(・・・・)痛い。

だけど、死ねない(・・・・)。

まったく、僕みたいな能も蕓もない(・・・・・・)人間に、よくこんな特別なステージを用意してくれたものだ。

余計なお世話に心から拍手。

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