《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》能蕓無・ノーライフ その⑥
一瞬、シロの表に揺が走る。
「えーくん――!」
「卑怯かもしれない。非道かもしれない。だけど、今は、あんたを倒せればそれでいい」
僕はシロの背後に回り込み、彼ごと壁に突っ込んだ。
り口のドア近くの壁は、そうするだけで簡単に壊れた。
いや、壊れるようにしていた(・・・・・・・・・・)。
この部屋の外(スキルが使える場所)から、【切斷(キル・ユー)】でしずつ傷つけることで。
そして、崩壊した壁の向こうでは、あの空気の刃と鉛の球が、僕らを待ちけていた。
稼げる時間は一瞬。
敵が狀況を理解するまでに発生するタイムラグ、その瞬間だけだ。
「【殺戮劇場(サーカス)】……!」
僕はシロからを離しつつ、滯空させていた刃と球の大軍を敵めがけて放った。
「【殺戮劇場(サーカス)】……悪くない名前だ」
シロがそう呟くのを、僕は聞いた気がした。
そして。
全てを切り刻む刃と、全てを貫く鉛の球が縦橫無盡に飛び回り空間を埋め盡くす。
そのいくつかは、當然僕のをも傷つけた。
のいたるところからが噴き出る。
でも、これで奴を倒せるなら。
安いものだ、と、思う。
思う。
思っていた。
しかし。
だけど。
「……【抹消(ホワイト・アウト)】」
一瞬後、シロは先ほどと全く変わらない様子でそこに立っていた。
もちろん、僕のスキルによる傷なんて一つも見當たらない。
シロは僕に向かって薄く笑いながら、
「今のはし驚いたよ、えーくん。なかなかやるじゃないか。こんなに死を実したのは、久しぶりだよ」
「そう? そりゃよかった」
「だけど、ボクを殺すには足りなかったね。どうしてわざわざボクがあげたハンデを無礙にするようなことをしたんだい? ボクのスキルはどんな攻撃も消してしまうって、前に見せてあげたじゃないか」
「……それが慢心ってやつだよ」
「いいや、忠告だ。しかし、一気に不利になってしまったね、えーくん。君は今にも死んでしまいそうな傷じゃないか」
「もう一度言わせてもらうけど、それは慢心だよ。死にそうな目に逢ったのが久しぶりっていうのは本當らしいね。僕の分を分けてあげたいくらいだ」
「えーくん、もしかして君、もう勝負を諦めてるのかい? だったら君のみ通り、今すぐにでも消して(・・・)あげよう」
「諦めるも何も、もう勝負はついてる。致命傷だ」
「君がだろ?」
「いや、あんたがだ」
「え?」
シロが呟いた瞬間、その口から一筋が流れた。
そして、そんなシロの背中には、ナイフが深々と突き刺さっていた。
僕のナイフだ。
【コミカライズ&書籍化(2巻7月発売)】【WEB版】婚約破棄され家を追われた少女の手を取り、天才魔術師は優雅に跪く(コミカライズ版:義妹に婚約者を奪われた落ちこぼれ令嬢は、天才魔術師に溺愛される)
***マンガがうがうコミカライズ原作大賞で銀賞&特別賞を受賞し、コミカライズと書籍化が決定しました! オザイ先生によるコミカライズが、マンガがうがうアプリにて2022年1月20日より配信中、2022年5月10日よりコミック第1巻発売中です。また、雙葉社Mノベルスf様から、1巻目書籍が2022年1月14日より、2巻目書籍が2022年7月8日より発売中です。いずれもイラストはみつなり都先生です!詳細は活動報告にて*** イリスは、生まれた時から落ちこぼれだった。魔術士の家系に生まれれば通常備わるはずの魔法の屬性が、生まれ落ちた時に認められなかったのだ。 王國の5魔術師団のうち1つを束ねていた魔術師団長の長女にもかかわらず、魔法の使えないイリスは、後妻に入った義母から冷たい仕打ちを受けており、その仕打ちは次第にエスカレートして、まるで侍女同然に扱われていた。 そんなイリスに、騎士のケンドールとの婚約話が持ち上がる。騎士団でもぱっとしない一兵に過ぎなかったケンドールからの婚約の申し出に、これ幸いと押し付けるようにイリスを婚約させた義母だったけれど、ケンドールはその後目覚ましい活躍を見せ、異例の速さで副騎士団長まで昇進した。義母の溺愛する、美しい妹のヘレナは、そんなケンドールをイリスから奪おうと彼に近付く。ケンドールは、イリスに向かって冷たく婚約破棄を言い放ち、ヘレナとの婚約を告げるのだった。 家を追われたイリスは、家で身に付けた侍女としてのスキルを活かして、侍女として、とある高名な魔術士の家で働き始める。「魔術士の落ちこぼれの娘として生きるより、普通の侍女として穏やかに生きる方が幸せだわ」そう思って侍女としての生活を満喫し出したイリスだったけれど、その家の主人である超絶美形の天才魔術士に、どうやら気に入られてしまったようで……。 王道のハッピーエンドのラブストーリーです。本編完結済です。後日談を追加しております。 また、恐縮ですが、感想受付を一旦停止させていただいています。 ***2021年6月30日と7月1日の日間総合ランキング/日間異世界戀愛ジャンルランキングで1位に、7月6日の週間総合ランキングで1位に、7月22日–28日の月間異世界戀愛ランキングで3位、7月29日に2位になりました。読んでくださっている皆様、本當にありがとうございます!***
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