《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》能蕓無・ノーライフ その⑦

「死を自分とは関係のないものだと思っているから……死ぬことを甘く見てるから、自分が致命傷をけたことにも気づかない。君の皮がもうし敏だったら、結果は違ったかもね」

「なるほどね。さっきの派手な攻撃は、ボクを刺し殺すための罠だったってわけか。命を懸けたブラフ……さすがだ、えーくん」

シロは薄い笑顔を浮かべたまま、し目を細めると、音もなくその場に倒れた。

勝った……んだよな?

あとはミアの解毒剤を持って帰るだけ。

長い戦いだった。

何度死んだか分からない。

早く帰って寢たい。

僕は橫たわるシロに背を向け、解毒剤の置かれた機の方へ足を踏み出した。

踏み出した、けど。

「……あれ?」

から力が抜けていく。

無意識のうちに僕は床に膝をつき、そのまま倒れこんでいた。

この覚は、知ってる。

死ぬ直前の覚だ。

指先一つかない。

やっぱりダメージをけすぎてた。特に、最後の自攻撃が効いてる。

まあ、あれだけやらなきゃシロの気は引けなかっただろうし、仕方ない。結果オーライ。

……というか、この狀況、かなりヤバいんじゃないのか?

僕がいるのは部屋の中――つまり、スキルが発しない場所だ。

ということは、僕の【即死(デストラクション)】は発しない。

ここで死ねば(・・・)、本當に死ぬ(・・)。

ま、マズい。せめて部屋から出なければ。

でもかない。

徐々に意識が遠のいていく。

あれ?

僕。

本當に死ぬのか?

噓だろ?

床の冷たいを最後に、僕の意識は完全に消え去った。

※※※

そして、再び目を覚ました。

を起こす。

「生きてた……?」

あたりを見渡すと、僕が意識を失う直前に見たものと変わらない、あの真っ白な部屋だった。解毒剤も機の上に置いてある。

ただ、一つだけ。

一つだけ、変わっている點があった。

「シロ、いないじゃん」

僕のすぐ後ろで倒れていたはずのシロの姿が、そこにはなかった。

そして、僕のの傷はすべて、跡形もなく消えて(・・・)いた。

ということは、僕は一度死んで生き返ったのではなく……。

いや、いいや。

深く考えるのはやめよう。

とにかく僕は勝利したんだ。

立ち上がり、機の上の解毒剤を持ちあげる。

シロのことだ、これが偽ということはないだろう。

僕は解毒剤のったその小瓶をポケットの中にれた。

さて、あとは帰るだけ。そしてミアを治すだけだ。

どうやって帰ろう。

……まあ、歩くしかないんだけどね。

※※※

半壊した部屋のドアを潛り、廊下に出る。

曲がりくねった通路を抜けた先の壁には、あの鉛の球が貫通した跡が殘っていた。

そして、僕が切り刻んだドアを抜け、ボロボロになった酒場へ。

そこにあったはずの死もまた、消えて(・・・)いた。

「…………」

なんだか、もう何日もここに居た気がする。

外に出ると、もう辺りは薄暗くなり始めていた。

さらば、【異能力者処理統括機関(ファーバ)】。また逢う日まで。

もう二度と會いたいとは……思わないけど。

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