《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》底辺ザコ野郎はスローライフの夢を見ない その①

見えない刃(キル・ユー)と鉛の球(メーク・ホール)は既にハリシを包囲している。

喋っている間に仕掛けておいたものだ。

僕はそれを、相手めがけて一斉に出した。

ハリシはそれなりに高い屋の上だ。逃げ場はない――はずだ。

「これがお前の能力かな? 殺人鬼!」

だけど、そんな僕の予想は甘かった。

敵は、躊躇することなく(・・・・・・・・)屋の上から飛び降りた。

「!」

おいおい、それはさすがにただじゃすまない……なんて考えてる間に、ハリシが僕の目の前に著地する。

しかも、傷一つなく。

その背後で、【切斷(キル・ユー)】と【貫通(メーク・ホール)】によって建が破壊される。

「さて殺人鬼、いいのかな? この距離なら俺はお前を確実に殺せるな」

僕を見下ろすハリシの顔を、僕は見上げた。

「やってみたらどうですか?」

「いい返事だな。では、そうさせてもらうとするかな」

剎那、何か(・・)が月明かりで煌めいたのが見えた。

「【死線(デッドライン)】!」

背後に出現させた鎌を振るい、その何か(・・)を叩き落す。

地面に落ちたそれは、思った通り針だった。

いつ投げた?

まったく分からなかった。

その瞬間、僕は腹部に鈍い衝撃をけ、弾き飛ばされていた。

ハリシの蹴りが直撃したらしい。

そのまま背後にあった建の壁に叩きつけられ、僕の背中に刺さっていた針がさらに深く突き刺さる。

「っ……!」

「攻撃を防がれたのはほとんど初めての経験だな。褒めてやってもいいな」

「あなたが今まで戦った人が、あんまり強くなかったんじゃないんですか? それか手を抜かれてたとか」

僕は立ち上がり、背中の針を引き抜いた。

幸い針は肺にまでは達していなかった。

そしてなぜか痛みはない(・・・・・)。

「お前に言う通りかもしれんな、殺人鬼。とは言っても、それを確かめる手段はないがな」

「どうしてです?」

しまった、うっかり聞いてしまった。

答えなんて分かり切っ(・・・・・・・・・・)てる(・・)はずなのに。

「簡単な話だな。これまでに俺と戦った者は全員、既に死んでいる(・・・・・・・)からだな」

あーあ、やっぱり。

そういうことね。

「そう答えられるんじゃないかと思ってましたよ」

「殺人犯同士、通じ合うものもあるということかな?」

「僕を人殺し扱いするのはやめてくださいよ」

さて。

どうしよう。

どう殺す?

そう思いながら、ふと左腕を見た時。

そこには、太い針が突き刺さり、腕を貫通していた。

「……いつの間に?」

ハリシが笑う。

「いい顔だな、殺人鬼。……本當の殺人者は、死ぬ寸前まで相手に死を自覚させないものなのだからな」

    人が読んでいる<外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください