針の群れが僕へ飛來し、そして、僕の周囲に到達した瞬間、々になって散った(・・・・・・・・・)。

「！？」

ハリシも予想外だったようで、軽く眉に皺を寄せている。

「殺人鬼……何をしたのかな？」

「教えると思いますか？」

「お前なら教えてくれると思ったがな」

「なるほど。では期待に応えてお教えしましょう。スーパーハイパーウルトラバリアといって、僕の周りには見えない壁があるんですよ」

「それは噓だな」

「噓です。……教える気はありません」

「そうか。殘念だな」

要するに、スキルの応用だ。

【切斷(キル・ユー)】の見えない刃を、それ自(・・・・)を追尾するよう設定して発する。こうすることで、刃は永遠にき続ける。

犬が自分の尾を追いかけてぐるぐる回るようなものだ。

その刃を幾重にも重ね、僕の周囲を回り続けるように設置すれば、僕に近づくものを自的に切り刻む壁代わりになる。

上手くいくかかなり不安だったけど、まあ、なんとかなって何よりだ。

「さあ、どうしますか？　これであなたの針は無効化されましたよ」

「そうかな。いや、仮にそうだとしても、関係ない(・・・・)がな」

「関係ない？」

「ああ。お前に攻撃できないの(・・・・・・・・・・)ならば(・・・)、お前以外を攻撃すれば(・・・・・・・・・・)いい(・・)」

「僕以外？」

僕以外を攻撃？

どういうことだ？

「お前を殺せないのなら、お前と一緒にいたあのを殺す。できればお前の前で、できるだけ殘酷に」

「！」

ハリシは懐から無造作に注を取り出し、それを自らの首筋に突き立てた。

「強化薬(ティルフィング)……こいつは、便利な代でな」

「おいおい……」

よせよ。

これ以上強くなられちゃ、ますます手が付けられない。

「この薬で強化された俺の速度に、お前じゃついてこれないだろうな。そして」

ハリシが指を鳴らす。

その瞬間、僕のが今までの分を取り返すような強烈さで痛み出した。

「うっ……！？」

思わず膝をついてしまう僕。

「特別大サービスで教えてやろうかな。俺のスキル【幻痛《ファントム・ペイン》】は痛みをるスキルなんだな。せいぜい痛みの中で足掻くんだな、殺人鬼」

そう言い殘し、ハリシは走り去った。

目に見えないような速度で。

ミアが危ない。

なのに。

なのに、僕のは。

痛みでけない(・・・・・・・)。

両手両足が、串刺しにされているように痛い。

中が引き裂かれるように痛い。

「……ミア……！」