《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》ほぞかみっ! その②

「…………」

ミアの視線が痛い。

「さ、さて、ミア。最後に一つやらなきゃいけないことがあるんだ」

「やらなきゃいけないこと?」

「僕の個人的なことなんだけどね。悪いけど、ちょっと時間を貰うよ」

※※※

「や、やめろ、やめてくれ!」

僕の目の前に中年の男が倒れこんでいる。

だらしなく太った、嫌な目つきの男だ。

僕は答える。

「恐れりますが、それはできません」

「どうしてだ!? 私に何の恨みがあるというんだ?」

「……魔導學校出者だけを襲う殺人鬼がいるという話を、聞いたことがありますか?」

男はわけが分からないといった顔をした。

「ギルド界隈の人間なら誰でも知っている話だ!」

「では……彼(・)の両親がこの街に住んでいるという話は?」

「王國の諜報機関筋から回って來た報だ。だから、この殺人鬼がこの街を訪れるかもしれないと……だから、警戒しておけと!」

「それで?」

「それで、それで私はあの夫妻から報を引き出そうとした。それだけだ!」

「殺すまで拷問にかけて、ですか?」

「殺人鬼の親だ、殺されても文句は言えないだろう。それに、殺したのは私じゃない。ハリシだ。私は悪くない。そして、もし報が得られれば、あの莫大な額の賞金が懸かった殺人鬼を捕える手掛かりにもなる。私の出世にも繋がるはずだったんだ!」

「自分の地位のためにやったってことですか?」

「それの何が悪い!? 相手は殺人鬼なんだぞ!」

「悪人に対しては、どんな手を使ってもいいと?」

「當たり前だ! 君は一何者なんだ? どうしてそんなことを聞くんだ!?」

言いたいことは々ある。

だが、この男――ラギリルがハリシに依頼し、そして僕の両親は殺された。

だとしたら。

「出世のことしか考えられないような人は、自分が殺されてしまうなんて想像はできませんよね」

「どういう意味だ!?」

「こういう意味です」

僕は、ラギリルの顔を思い切り踏みつけた。

骨が砕ける嫌な覚が伝わってくる。

「あ……が……」

「手柄を焦りすぎましたね、ラギリルさん」

【死線(デッドライン)】を発し、鎌でラギリルのを斬りつける。

一瞬後、彼は中からを吹き出して絶命した。

さて。

用事は終わった。

帰ろう。

「えーくん」

離れたところから見ていたミアが、僕に歩み寄ってくる。

「これで気は済んだの?」

「済むわけないだろ。やっぱり、僕の親は僕の手で殺したかった」

「えーくん……」

ミアは何かを言いかけて、下を向いてしまった。

何を言うつもりだったんだろう。

まあ、いいか。

ラギリルの死はそのままに、僕らはその場を去った。

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