《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》死なないカモの育て方 その②

※※※

夜が明けて、宿を出た僕らは一通り街を見て回った。

小さなお店らしき建が一軒と古びた家々が並ぶだけの小さな町だった。

し高地にあるからだろうか、風が強く寒い。

「ねえミア、この街の名前は?」

「アニデケオスだって。聞きなれない名前だわ。もっとも、私は地理が得意な方ではなかったから、何とも言えないのだけれど」

「いや、僕も初めて聞く名前だ。有名な街ってわけじゃなさそうだね」

「反対に言えば、怪しい薬を隠れて作るには適した場所だわ」

「確かにそうかもしれない。まあ、行ってみればわかるさ。メティスって場所にね」

寂れた様子の街並みには、人の気配さえなかった。

首都シュルルツからもだいぶ離れてきたし、この辺りはもう王國の辺境といったっていい。

だったら、人がないのも納得か。

ふと僕は、道のわきに立っていた看板に目が行った。

古びた看板で、書かれている文字も掠れている。

「……王國創始者、セン生誕の地……?」

「どうしたの、えーくん?」

ミアが僕の袖を引っ張る。

「いや、あの看板……なんか気になってさ」

僕が看板を指さすと、ミアはそちらの方を見て、

「セン……セン・アルフィツィアね。伝説上の人よ」

「伝説?」

「そう。魔導王國グラヌスの創始者のひとりで、今も元老院の役職に名前を殘しているわ」

「そんな人が、こんな田舎町から?」

「王國ができたのは千年も前だわ。今は田舎町でも、千年前は栄えていたのかもしれない」

本當かなあ?

どちらにせよ千年前がどうだったかなんて確かめようがないし、この町が寂れていること自に変わりはないのだけど。

同じように、僕が千年後どうなっているかなんて想像もつかない。

まさか、死なずに千年後も生き殘ってるなんてこと無いよな……?

それってただの生き地獄じゃん。

無意味に生き殘ることに意味はあるんだろうか。

無意味なんだから當然、意味があるわけないけど。

閑話休題。

いつの間にか僕らは看板の目の前に立っていた。

「で、メティスってのはどこ?」

「ここからし上ったところよ。ほら、看板の裏が地図になってるわ」

ミアの言う通り、ボロボロの看板に裏には、周辺の地図が書かれていた。

「ふーん。じゃ、とりあえず行ってみるか」

なんて。

気楽に向かった先で。

地獄が待っていようとは、僕もミアも想像していなかったのだった……という想像を、僕はしてみたのだった。

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