《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》ノータリンの擔架 その⑨

「いずれはそうなるはずだったんだろ? 最終的にはあの人たちを倒さなきゃいけないんだし、気にしなくてもいいんじゃない?」

「このままではまた全面対決になるわ。本當なら、軍部に私たちの活が知られた時點で、私たちは彼らを瀕死にまで追い詰めておくはずだったのよ」

「なかなか思い通りにはいかないさ。特に僕の場合はね。大、思い通りに事が進められるような人間が國を滅ぼそうなんて考えないだろ?」

ミアはため息をついた。

長いため息だった。

「……とにかく時間がないの。えーくん、次の目標はトーブの街よ」

「トーブの街? 聞いたことがないけど」

「ここからだと東に位置する、それなりの規模を持った都市だわ。今あの街では『瓶の中の小人(ホムンクルス)』と呼ばれるレジスタンスが活しているの。これは、『安息』、『弱者の牙(ファング)』に続く実力を持った組織なのよ」

「で、彼らを助ければいいのか?」

「ええ。彼らに対し、軍部は量による殲滅作戦を決行しようとしているの。トーブの街はかつて軍部が東部の拠點として要塞化していたこともあって……」

突然ミアがふらついた。

僕は咄嗟に彼の肩を支えていた。

「ねえミア、大丈夫? 疲れてるんじゃない?」

「今が一番大切な時なのよ。ここで悪手を打てば私たちが今までやって來たことは全部無駄になるわ」

息を荒くしながらミアが言う。

どうやら大丈夫ではないらしい。

し休んだ方がいいよ。僕が傍にいようか? グルツおじさんに渉事は任せてさ」

「気にしないで、えーくん。今まであなたが私のために戦ってくれていた分、今の私が戦っているだけの話だから。國の魔法産業とも連攜が取れている。軍部に対する資の流通爐は五割以上私たちの企業が押さえている。海外の技が生活インフラに組み込まれ、國におけるそれらの元締めはハルフォード財閥――つまり、私たちなの。順調なのよ。あとは経済面から軍部を疲弊させて、そこを武力で叩いてしまえばいいの」

ミアの赤い瞳には狂気のが浮かんでいるようにも見えた。

「ミア……」

「とにかく私は大丈夫。あなたは今日休んで、明日になったらトーアの街へ移して」

「ああ、うん……」

ミアは僕の腕の中から離れ、屋敷の中へ戻って行く。

僕はその後姿を見送ることしかできなかった。

「よう、殺人鬼。大変そうだな」

と、そこへ見慣れた人影が近づいて來た。

「……大変ですよ、ハリシさん。暇そうなあなたと違ってね」

    人が読んでいる<外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください