《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》ノータリンの擔架 その⑪

「……何が言いたいんです?」

「本來滅びるはずだったものが、ミア・ミザルによって生きながらえるということだな。軍部による制は恐らく長くは続かないだろうな。その後の世界で俺たちがどう生きるか――それを考えた時に、お前たちの側にいた方が都合がいいだろう。俺はそう思っているのだがな」

「僕らに協力的な理由は、それですか?」

「さっきから理由はいくつも言っているつもりだがな。お前も疲れているのだろう、殺人鬼。個人として戦うのと狀況の一部として戦うのでは違い過ぎるからな。早く部屋に戻って休め」

ハリシは右手を上げ、そしてそのままどこかへ行ってしまった。

あの男を信用していいんだろうか?

あの男をミアの傍に置いていていいんだろうか?

いっそミアを連れ出してどこかへ逃げた方が楽かもしれない。

今までやってきたことが無駄になろうが構わないような気持ちさえある。

だけどそれはミアの考えに反することだろう。

だから今は、ミアを信じて戦うしかない。

あーあ、なんだかややこしいことになっちゃった。

僕は玄関口の階段に腰かけて庭を眺めた。

れの行き屆いた立派な庭だ。

小さな人影が僕の目の前を橫切ったのはそんな時だった。

「……ツヴァイちゃん」

「あ、お兄様」

僕の前でツヴァイちゃんが急停止する。

「何してるの、こんなところで」

「かくれんぼなんだよ。あのおじいちゃんに遊んでもらってるの。あたしがこっちに來たことは言っちゃダメなんだよ!」

そう言ってツヴァイちゃんは再び掛けて行った。

しばらくすると、執事服を著たギルさんが走って來た。

「おや、ご休憩ですかな」

「はあ、どうも。おかげさまで。……なんか、久しぶりですね?」

「私は屋敷にいましたが、あなたが留守にされておりましたからな。ところであのお嬢さんを見かけられませんでしたかな?」

お嬢さんというのは、多分ツヴァイちゃんのことだろう。

僕は一瞬迷って、ツヴァイちゃんが去って行った方を指さした。

「あっちに走って行きましたよ」

「ほう、そうですか。今、ちょうどかくれんぼをしていたところでしたのです。よければあなたもご一緒にどうですか?」

「すみませんが、僕はまた明日から出かけなきゃいけないんです。これからし休ませてもらいますよ」

「それは殘念。では、また今度」

立ち去ろうとするギルさんの後ろ姿に、僕は聲をかけていた。

「あの、ギルさん」

「なんですかな?」

ギルさんが振り返る。

「……ミアは大丈夫なんですか?」

僕が言うと、ギルさんは笑った。

「『私は大丈夫』。そう伝えておけと、先ほどミア様に言われたばかりですよ」

「そう、ですか……」

「ご心配なさらず。私やお嬢さんがついています。それに、ハリシは信用できる男ですよ」

「ありがとう、その言葉を信じます」

僕は階段から立ち上がって、屋敷の中へった。

僕がミアにしてあげられることは、どうやら、ミアの命令を聞くことだけらしい。

※※※

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