《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》この世界が理不盡だと僕だけが知っている その①

※※※

「お兄さん、あんまりお勧めはしないよ? あそこは今小競り合いが激しいからねえ」

トーブの街へ食料を屆けに行くという男の荷馬車に、僕は乗せてもらっていた。

「いや……その小競り合いに用があるんです」

本當ならミアが用意した経路で目的地まで向かう予定だったのだけれど、なんかちょっとそういうのが嫌になった。

よく考えたら働き詰めだし。

僕は管理されるのが好きなタイプってわけでもないし。

「小競り合いに用? あんたも大変だな」

日焼けしたの目立つ男は、いかにも農民といった風貌をしていた。

「それはあなたの方もでしょ? 乗せておいてもらっているのにこんなことを言うのはアレですけど、わざわざ食料を運びに行くなんてお人よし過ぎると思いますけど」

「こんなときこそは高く売れるんだよ。抵抗勢力だろうが軍部だろうが同じ人間、食べは必要だからな」

「なるほど」

結局、僕らがこの國を滅ぼそうが滅ぼさまいが、こういう人たちにはあまり関係がないのだろう。

この人たちにとって問題なのは作った穀が売れるかどうか、そして明日の分の食べがあるかどうかなのだ。

ミアの部屋に住んでいた頃が懐かしい。あの時は、國がどうとか政治がどうとか、経済がどうとか考えなくても良かった。

「で、あんたは何をしに行くんだい? 戦爭の見かい?」

「よく分かりましたね。おじさん、農業なんかやめて探偵にでもなったらどうですか? そうすれば世界中から犯罪者がいなくなりますよ」

「そうかい? ま、畑が立ち行かなくなったらそうさせてもらおうかな」

わははは、とおじさんが笑う。

荷馬車が丘を越えると、その向こうに見えた平野で火の手が上がっているのが見えた。

瓦礫だらけの街の中から散発的に銃聲が聞こえてくる。

「あそこがトーブの街ですか?」

「ああ」

「あの中に突っ込んでいくんですか?」

「まさか。そんな命知らずな真似はしないさ。もうしいけば抵抗軍の野営地があるんだよ。そっちに回る」

おじさんが手綱を握っていない方の手で指さした方には、確かにテントが立ち並ぶ區畫があった。

「それから?」

「逆方向には軍部の拠點がある。そっちでもを買ってもらう」

確かに、反対側には軍部のものらしい簡易的な建造集地があった。

つまり、軍部と抵抗勢力はトーブの街の取り合いをやっているらしい。

まるで將棋だな。やったことないけど。

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