《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》この世界が理不盡だと僕だけが知っている その⑥

「……まあ、良いでしょう」

「え?」

年は僕が予想もしていなかったことを言った。

「だから、良いですよ、別に。それをイチゴさんにきちんと返してくれるのなら」

「それはもちろん返しますよ。僕は下著マニアってわけじゃありませんし」

僕はイチゴさんに両手の下著を手渡した。

よく考えたら僕はミアと同棲しているわけだし、その気になればこんなものいくらでも手にる。イチゴさんの下著にこだわる必要もなかった。

いや、そもそも下著がしいわけでもないし。

「それで、何の用です?」

「何の用……?」

「そうですよ。まさかレジスタンスの拠點までわざわざ下著を盜みに來たわけではないでしょう、あなたも」

死んだ魚のような目で、年は僕を見る。

「あ、あのー、僕、クロノ商會から『瓶の中の小人(ホムンクルス)』の援軍として派遣された者です」

年はさらに訝しげな眼を僕に向けた。

「あなたが?」

「はい、僕が」

「…………」

一瞬の沈黙。

何を考えているんだろう……なんて思っていると、年は大きくため息をついた。

「僕は変態を呼び寄せる才能でもあるんですかね?」

「ちょっと待ってください。それじゃこっちが変態みたいじゃないですか」

の下著を両手に持ってる人なんて、変態以外の何でもないでしょう……」

「すみませんが、僕は男の人に変態って言われて悅ぶ趣味はないのでね。できれば名前で呼んでいただきたい」

「はあ、何とお呼びすれば?」

「親しみを込めて、えーくんと」

僕が言うと、年はもう一度ため息をついた。

僕がどんな悪いことを言ったというんだ……!?

「あなた、変わってる人ですよね?」

「そんなまさか。僕ほどの常識人はいませんよ。もし僕が変だとしたら、僕を変な人に思わせてしまうこの世界の方が間違ってるんです」

ついに年は頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。

よく分からないが、きっと彼も彼で苦労人なんだろう。

心中お察し申し上げる。

「えーと、とにかくこの人は何者なのでございますですか?」

下著に足を通しながらイチゴさんが言う。

あ、そうか。

そういえばこの人今までノーパンだったんだ……。

ということは僕と熾烈な弾戦を繰り広げていた間もノーパンだったんだ……。

何か決定的なチャンスを逃してしまったような気もするし、どうしてこの人はノーパンなのに何のためらいもなくくことができたのだろうという疑問もある。

いや、もしくはこれこそが真の戦士の姿なのかもしれない。

自分がどんな格好をしていてもそれを恥じることなく、ただ戦うことだけに集中する。

そう、まさしく真の戦士……もとい、真の変態だ。

僕が敵うはずがなかった。

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