サイカと名乗ったが僕に接近してくる。

こうなったら遠距離からしずつ攻撃するしかない――いや。

違うか。

敵が近づいてきているのなら、今がチャンスだ。

「【天(ソーラ)】」

「！」

線が敵のを焼いたように見えた。

事実、僕の放った攻撃で街が半壊していくのが分かった。

同時に僕の頭を焼けきれるような痛みが走り、空中から地面に落ちた僕は、すぐには立ち上がれなかった。

「……っ。なんなんだよ、これは……っ」

壁に手をつきながら立ち上がった僕は、ひどい眩暈に吐き気を催した。

もちろんギリギリで踏ん張ったけど。

それにしてもこのじ、以前にもどこかで――ああ、そうか。

前にハリシと戦ったときと同じじだ。

ということは、強化薬(ティルフィング)が切れかけてる？

だとしたら々マズいことになってきたな。

これ以上スキルを使うのは控えよう……。

僕は一度、『瓶の中の小人(ホムンクルス)』の拠點に戻るため回れ右をした。

背中に強い衝撃をけたのはそのときだった。

完全な不意打ちだったから、僕はけも取れず、また壁に叩きつけられた。

壁が崩れ、瓦礫の中に埋められる。

痛いなあ。このままじゃムチ打ちになっちゃうよ。

瓦礫を払いのけ再び起き上がった僕の目の前には、あのサイカとかいうがいた。

服はところどころ焼け焦げていたが、目立った損傷はなかった。

あれだけの威力の攻撃をけてほぼ無傷。

僕が言うのもなんだけど、こいつ本當に人間かよ。

「強力な熱エネルギーを発生させる――エーテル攻撃と――分析。冷卻フィルターにより対処」

……いや、違うな。

本當に人間じゃない。

僕は、サイカのの一部が捲れあがっているのを見つけた。

本來なら筋や管があるべきそこからは、なんだかよく分からない部品のようなものが覗いていた。

「……君、何者？」

「私は――サイカ。【人進化研究所(クーパ)】製強化人間のプロトタイプ」

「【人進化研究所(クーパ)】？」

その名前が出て來るなんて予想もしていなかった。

ミアによると、確か、ラフィさんたちは軍部にされてるって言ってたな。

だとしたらこいつは、軍部の命令でラフィさんたちが造らされた――もしくは、ツヴァイちゃんのように生の人間に手を加えて造り上げられた存在ってことなのか？