《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》弱者のミカタ その②

「危険分子は――私が排除する」

サイカがく。

どうする、僕。

こんなやつを放っておくと、イチゴさんたちがどうなるか分からない。

だから戦うしかない。

揺らめく視界の中で僕はそんなことを考えた。

「お背中失禮しますですよーっ!」

破裂音が聞こえた。

僕は一瞬で我に返った。

いかんいかん、何か意識が朦朧としていた。

サイカが飛んでくる。

飛んでくるというか、弾き飛ばされたというか、とにかくすごい勢いでこちらへ飛來した。

咄嗟に避けると、相手はそのまま僕がさっき突っ込んだ瓦礫の中に突っ込んでいった。

「あ……?」

なんだ?

何が起こった?

「いやー、危ないところでございましたですね! 変なに絡まれる星の元に生まれて來たんじゃないですか、えーくんさん?」

能天気な聲が瓦礫だらけの街に響く。

そこに立っていたのはイチゴさんだった。

「な、なんでここに?」

「なんでって、それはもちろんえーくんさんのピンチを救うためですよ」

「僕のピンチを?」

「そうですそうです。こっちもあらかた片付いたところでございますから」

背後を振り返りながらイチゴさんが言う。

なるほど、そっちはもう大丈夫ってわけか。

あと、一瞬ツッコミが遅れたけど、僕が変なに絡まれる星の元に生まれついたなんてひどい風評被害だ……あれ、なんか目から涙が。

僕の背後で瓦礫の崩れる音がした。

振り返ると、サイカが立ち上がろうとしているところだった。

「排除――」

頑丈な相手だ、まったく。

「イチゴさん、強敵ですよ」

「そうビビる必要なんてねえんでございますですよ。変態の前に不可能の二文字はありませんですから」

不可能って三文字じゃないのか? ……というツッコミはさておき。

「……なるほど。その理屈だと僕は変態ではないですね。僕に可能なことなんて、酸素を吸って二酸化炭素を出すくらいなものですから」

「そうご謙遜なさらずに。今更否定したってえーくんさんの本は変態でございますよ」

微塵も嬉しくねえ。

「で、どうするんですか。イチゴさんに任せてもいいんですか」

「まあまあそう焦らずに。実は私、軍部の人間の下著ってほとんど持っていないのでございますよねえ」

まるで世間話をするように――今日の空は晴れてますねえ、なんて言うのと同じ調子でイチゴさんは言った。

僕は多なりともゾッとした。

「……本気で言ってるんですか」

「本気も本気。それも白服と言えば軍部の中でも特別階級でございますですよ? 一どんな下著を履かれているのでございましょうねえ」

じゅる、と涎を拭いながらイチゴさんがサイカの方を見た。

僕は別の意味で逃げ出したくなった。

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