《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》弱者のミカタ その⑥
※※※
拠點に戻ると、ハイル年が僕らの帰りを待っていた。
「あなたのおかげでカタが付きましたよ、この戦いも」
「それはどうも。ようやく僕がただの変な人じゃないってことが分かってもらえたようですね」
「変な人という自覚があったことに驚きですよ」
「はっはっは、ご冗談を」
僕らは同じようなトーンで笑った。
ふと僕はハイル年の頬に切ったような跡があるのに気が付いた。
見られていることが分かったのか、ハイル年は、
「一応僕も戦闘員ですから。しくらいは戦いますよ」
「へえ、そうなんですか。前線で?」
「そんなところです。実はトーブの街に軍部の援軍が來るって報をギリギリのタイミングで摑んだんですよ。それで、回せる人員が居なかったのでね」
「援軍?」
「気にしないでください。敵も伏兵くらいは使ってくるということですよ」
ごとっ、と音がしてハイル年の足元に何かが落ちた。
見るとそれは巨大なライフルだった。
こんなものをどこに隠し持っていたのだろうか……。
ライフルには返りらしき赤い斑點がべっとりと付著していた。
僕は一瞬自分の顔が引きつるのをじた。
「えーと、なんというか、お疲れ様です」
「お互いさまに、ですね。さあ、今日くらいは休んでいかれるんでしょう? 食事を準備していますよ。こちらへ」
ハイル年が僕に背を向ける。
その背中からは、隠しきれない人殺しの気配が溢れていた。
恐らくは、彼も僕と同じように、人を殺すことだけが生きる意味なのだろう――。
※※※
「いやー、お別れが寂しいでございますですよ、えーくんさん」
「そう言って頂けると嬉しいです」
決戦から一夜明け、いよいよ僕が帰るときがやって來た。
「まあ、あなたのことは嫌いではなかったですよ」
と、ハイル年。
「私たちはこの町の復興にも協力しようと思ってるから、もうしばらくはここにいるわ。またいつでも來てね、えーくん」
いつまでも眺めていられそうな笑顔でモモさんが言う。
「それはどうも。でも、僕にも帰る場所がありますから」
「そうでございますか……」
「そんなに悲しまないでください、イチゴさん。たとえ離れ離れになったとしても、僕はあなたのことは忘れません」
うん。
これは本當だ。
こんな下著マニアの変態をそう簡単に忘れることは出來ないだろう。
もしかすると夢にも出てくるかもしれない。
どちらかと悪夢に分類されるような夢に。
僕の立っている反軍の拠點のり口からは、サイカの墓標も見えた。
そこにはあのペンダントがかかっていて、太のをけて煌めいていた。
「それではえーくんさん、お別れの印にこれを差し上げます」
「……何ですか?」
嫌な予をひしひしとじながらも、僕は右手を差し出してイチゴさんのいうお別れの印(・・・・・)をけ取った。
案の定、それはシルク生地の布――はっきり言えばものの下著だった。
「これは私のコレクションの中でもかなりのレアものです。えーくんさんに差し上げます!」
「まさかこれ、市街地で戦ったあのの人のじゃないですよね?」
「そんな死者を辱めるような真似は致しませんですよ。あの後、下著はと一緒に丁重に葬りましたのです!」
ああ、そうだったのか。
僕は何となく、の奧につっかえていたものが取れたような気がした。
「まあ、それはそれとしても、これはけ取れません。勘違いされると困りますから」
「勘違いとは、どういうことでございます?」
「嫉妬深いの子が僕のことを待ってるんですよ。妙な誤解を生むと面倒なことになります」
イチゴさんは不思議そうな顔をした後で、僕の手から下著を取り上げた。
「なるほど、仰りたいことは何となく理解しましたです。では、もしえーくんさんが下著がしくてたまらない、いうなれば下著の中毒癥狀に襲われたときにこれをお渡ししましょう」
「分かりました。その時は必ず貰いに來ます」
そんな日が來るとは到底思えないし、來てしいとは微塵も思わないけれど。
「では、えーくんさん」
「ええ、さようなら。またいつか」
僕はイチゴさんたちに背を向けて、『瓶の中の小人(ホムンクルス)』の拠點を後にした。
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※カクヨムの方に(々)改稿した本作を投稿開始しましたので、そちらもぜひご覧ください!※
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