《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》弱い雑魚オーバーキル! その①
※※※
「……で、これはどういうことです?」
僕がグルツおじさんの屋敷に戻って來た時、ミアはベッドで寢込んでいた。
僕はミアの寢顔を眺めながら、ちょうどお茶を淹れて來てくれたギルさんに訊いた。
「ご安心ください――と言って安心できるものでもないでしょうが、大事を取って休んでもらっているのです、ミア様には」
「でも、この間は大丈夫だって」
「ミア様はお話になりませんが、事態は悪化の一途を辿っているようです。軍部が実力を行使してくるのも時間の問題かと。そのためにミア様は頑張っておられるのです。……刻一刻と変化する勢を有利にするために」
「だけど、肝心のミアが倒れちゃしょうがないでしょ」
「仰る通りです。だから今こうして休んでおられるのです」
「…………」
ミアの顔は青白かった。
まるで死人だ。
「ここにいてはミア様を起こしてしまいます。お茶がお済みになり次第食堂へ參りましょう」
「そうします」
僕は眠っているミアを眺めながら、ギルさんが淹れてくれたお茶を啜った。
窓の外には庭の花壇が見えた。
このままミアを連れ出してどこかへ逃げ出したい――そんな衝が僕のの奧に沸き上がった。
いい加減にしてくれないと、本當にミアを攫って逃げちゃうぜ、僕は。
僕はお茶を飲み終え、ミアの眠る部屋を出た。
後ろからギルさんがついて來る。
「私たちがいくら休むように言っても聞きれないのです、ミア様は。私とハリシの二人係で説得いたしまして、ようやく休暇を」
「ギルさんと……ハリシが?」
「そうです」
殺しの専門家二人が揃ってミアに休みを取らせようとする姿を想像すると、ちょっと面白かった。
それにしてもミアはどうしてそんなに働きたがるんだろう。
僕なら言われなくても休んでいるのに。
「とにかく、ミアがああいう調子じゃ僕もしばらくの間は暇になりそうですね?」
「ところがそうでもないのですよ」
「……と言いますと?」
「ミア様はこのような事態を見越して、既にプランを用意していらっしゃいます」
「……ほんと、働き者ですよね」
僕はため息を吐いた。
せめてしくらい休ませてくれ。僕だってが本調子じゃないんだから。
「仕方ありません。あの方ナシでは、この國の勢力図がり立たないのです」
「どういう意味ですか?」
「現在、我々の勢力と反軍、そして軍部が拮抗していることによりある種の均衡狀態がり立っているのです。ミア様がお倒れになれば、バランスが崩壊し――この國がどうなるか、誰にも予想できません」
「そんなに大ごとになってるんですか、今?」
「最初から大ごとを起こすつもりでやってきたのでしょう? あなたたちは」
まあ、そうだけど。
本來ならこの國がめちゃくちゃになってくれればそれでよかったはずなんだよな。
変なところでを出すからこんなことになるんだよ、ミア。
「で、ミアの言うプランってのは何ですか?」
「――エヌ、という男の事をご存じですか?」
「!?」
思わぬ名前が出て來た。
いつも冷靜沈著でクールなナイスガイである僕も、この時ばかりは驚いた。
「私は詳しく知りませんが、彼の奪還作戦だと聞いています」
「奪還? あの男をですか?」
あの悪意の塊みたいな人間を、よりによって奪還?
奪還ってことは、味方に加えるってことなのか?
そんなことをしてどうするつもりなんだろう。
「準備が整うまで待機して頂きます。自室でお寛ぎください」
そう言い殘しギルさんは、長い廊下をどこかへ歩いて行った。
一ミアは何をどうするつもりなんだろう。
※※※
「お兄様」
部屋でだらだらしていると、ツヴァイちゃんがって來た。
「なんだよ。僕は何もしないをしているところなんだけど」
「ということは暇してるってことなんだよ」
「まあ、そういういい方も出來なくはないかもしれない気がするね。で、何の用?」
ツヴァイちゃんは扉を閉めて僕の部屋にって來て、僕が寢ているベッドの空いているスペースに腰かけた。
「聞きたいことがあるんだよ」
「何を? 僕のスリーサイズならトップシークレット中のトップシークレットだぜ」
「そんなものに興味はないんだよ」
あっそ。
……ちょっとショック、
「じゃあ、何?」
「ラフィ様たちのこと」
「……!」
僕はふとサイカの顔を思い浮かべた。
彼も【人進化研究所(クーパ)】の関係者だと言っていた。
そのことと、ツヴァイちゃんの聞きたいこと、何か関係があるかもしれない。
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