《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》弱い雑魚オーバーキル! その②

「実は、嫌な予がするんだよ。お兄様もしは思ってるはずなんだよ、あの人たちの技が軍部で利用されてるんじゃないかって」

「そりゃ、利用はされるでしょ。強化薬(ティルフィング)なんて便利な、使わない方がおかしい」

「それもそうだけど、そうじゃないんだよ」

珍しくツヴァイちゃんは焦ったような顔をしていた。

僕はツヴァイちゃんに向き直った。

「どうしたんだよそんな顔して。らしくないぜ」

「……あたしみたいな人間が量産されたら、お兄様勝てる?」

思わず言葉を失った。

「僕が何と戦ったか、誰かから聞いたの?」

ツヴァイちゃんは首を振る。

「ううん。だけど、もしだよ、あの人たちがお兄様より強い敵を創り出したらどうするの?」

「どうするも何も倒すしかないだろ。それが僕の役目だし、ミアが僕に求めていることだ」

「でもお兄様より強いんだよ? お兄様、死なない?」

「僕は死なないさ。それはツヴァイちゃんも良く知ってるだろ」

「うん、だけど……最近ちょっと心配なんだよ。前は、ただ、あたしたちと國の一番偉い人の戦いだったけど、今はもう違う。あたしたちのよく分からないところで々なものがいているんだよ。だから、どこかで限界が來るんじゃないかって」

「限界?」

「だってそうでしょ? ミアお姉ちゃんだってお兄様だって一人の人間なんだよ? 人間一人に出來ることなんて限られてるんだよ――って、お兄様、どうしてあたしのおでこをるんだよ」

「いや、難しいことを言ってるから、熱でもあるんじゃないかと思って」

ツヴァイちゃんの額は冷たかった。

「もう、お兄様はすぐそうやって話を誤魔化すんだよ」

「癖なんだよ。現実から目を背けるのがね……そうじゃなきゃ正気を保てないだろ、こんな敵だらけの國でさ」

いや、もはや正気じゃないのかもしれない。

というよりも、すべては僕とミアの狂気から始まったことなのだ。

「ねえお兄様、お兄様のことを心配してるのはミアお姉ちゃんだけじゃないってことは覚えておいてね」

「あんなに僕のことを殺したがっていた君なのに、そんなことを言われちゃ笑えるね」

「ん」

ツヴァイちゃんがを顰める。

「どうした?」

「昔のことは昔のことなんだよ。っていうか、あたしは中々いい妹だと思うんだよ。継承戦の時シュルルツに迎えに行ったのもあたしなんだよ」

「それはそうだけど、あの時は食い逃げで捕まりかけただろ。観もさせられたし……」

「そう。あたしは異と仲良くしたことのない可哀そうなお兄様に付き合ってあげる、小さな人(・・・・・)みたいなものなんだよ」

「小さな人?」

「うん。忘れないでしいんだよ。不安になったらあたしにそう訊いてほしいんだよ、君は僕の何、って」

「……あのさあツヴァイちゃん、君、やっぱりおかしいぜ。どうしたんだよ」

「うーん、どうしたんだろ。あたしもなんか不安になっちゃったんだよ」

「何がだよ。……ああ、ミアが倒れたから?」

「そうかもしれないんだよ。だけど、何か……最近妙なんだよ。気が立って仕方ないんだよ」

「それってさ、もしかして」

「心當たりがあるの、お兄様」

「ああ。思春期を過ぎたあたりから、の子は月に數日イライラする時期が來るようになると聞いたことがあるよ。僕はその原因がホルモンと子宮にあると睨んでいるけどね」

「お兄様、一回マジで死んだ方がいいんだよ」

「いや、これは冗談。だけど、気にし過ぎはストレスが溜まるばっかりだと思うよ。軍部が僕らのきを察知してるからって直接攻撃してくるかは分からないし、その攻撃にラフィさんたちの技が使われるかどうかも分からないだろ。そもそも君は不死なんだから気にすることないじゃないか」

はあ、とため息を吐くツヴァイちゃん。

「あたしだけが生き殘ればいいって言うならそうかもしれないけど、あのおじいちゃんとかグルツおじさんとかはどうするんだよ。ミアお姉ちゃんは?」

「みんなを守るためにハリシがいるし、僕だっている。ギルさんもかなりの実力者だし、ミアだって何もできないわけじゃない。安心しろよ、ツヴァイちゃん」

「お兄様……」

僕はツヴァイちゃんの頭の上に掌をのせた。

人の頭をでるのは、もしかするとこれが初めての経験かもしれない。

験だ。

「ラフィさんたちがどんなに強い敵を寄越そうが、僕が何とかする。そもそもあの人たちが積極的に僕らを攻撃するなんてこと、ないだろ?」

「……でも」

「でも?」

「あたしがラフィ様に造られたのは、お兄様を殺す(・・)ためなんだよ」

※※※

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