《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》弱い雑魚オーバーキル! その④

※※※

ミアの部屋へ行くと、彼はベッドの布団にったまま上半だけを起こして、ぼんやりとした表で窓の外を眺めていた。

は以前よりしマシになったようだ。僕はそのことにし安心した。

「……ミア、僕だけど。話があるって何?」

僕の聲に気付いたのか、ミアがこちらを振り向く。

「ああ、えーくん……あのね、話したいのはエヌのことなのよ。とりあえず座って」

ミアの赤い瞳はどこか虛ろだった。

休んだと言っても數日だろうし、それだけで取れるような疲れじゃなかったってことだろう。

僕なんか年がら年中休んでいても休み足りないくらいだし。

とりあえず僕は、ミアの言う通りに彼のベッド脇に置かれた椅子に腰かけた。

こじゃれた彫刻のついた木の椅子だ。

「エヌの奪還作戦をやるんだろ。ギルさんに聞いた。だけどミアは大丈夫なの?」

「私は大丈夫。やるべきことを果たすまで私は大丈夫だから」

「あのさ、ミア」

僕は改めてミアの顔を見た。

……しばらく見ない間に、なんか老けたな。

あの毒々しい棘だらけの薔薇みたいな、だけど妙なところで素直なの子はどこにいったんだろう。

今僕の目の前にいるのは、すべてに疲れ果てたような、虛にあふれるの人だ。

「どうしたの、えーくん。……泣いているの?」

「え?」

思わず僕は聞き返していた。

ミアは僕の顔を覗き込みながら、僕の頬に手を當てた。

ひんやりと冷たい右手を。

「ほら、だって、涙が」

「涙……?」

僕は自分の目元をった。

確かに濡れているような気がした。

―――ああ、これが涙なのか。

僕は泣いているのか?

どうして?

「大丈夫? トーブの街で辛いことがあったの?」

「いや、あの街では何も無かったよ。ちゃんと『瓶の中の小人(ホムンクルス)』を手伝ってきた」

「それならどうして泣いているの?」

「そんなの――」

分かるわけないだろ。

そう言おうとして、言えなかった。

何か溫かいものが僕の頭を包んだからだ。

「大丈夫よ、えーくん。きっとあなたもし疲れたのよ」

ミアだ。

僕はミアの両腕に抱かれていた。

僕の顔は彼に埋められている――はずだけど。

はずなんだけど。

本當はこういうの子のってらかいはずなんだけど。

「ミア」

「何?」

「ミアってさ、ほんと――、ないよな」

ぎゅっ、と嫌な音がして、僕は凄い力で自分の首が締まるのをじた。

「え? 何ですって?」

「ご、ごめん、ちょっとしたジョーク。だからそれ以上首を絞めないでくださいお願いします」

ミアが僕の首から手を離す。

……ふう、死ぬかと思った。

「よりによって今言うセリフがそれなの? 本當にデリカシーのない男ね」

「最初からこうだったろ、僕は」

「ええ、最初からそうだったわ、あなたは」

ミアが小さく笑う。

僕も片頬を上げて笑った。

「このまま二人で逃げようよ、ミア。軍部が相手だろうとニヒトって男が相手だろうと、僕が君を守るよ。この國をぶっ壊すだけなら僕がいつだってやってあげるよ。だからミアが無理する必要なんてないんだよ」

僕が言うと、ミアは首を振った。

「壊すだけじゃいけないの。弱い人も強い人も、スキルを持っている人も持っていない人も、魔法が使える人も使えない人も、ジャギア族もそうでない人も安心して生きられる世界を創り上げるの。それが、私の――この國に対する復讐なのよ、えーくん」

※※※

ミアの回復に伴って、エヌの救出作戦が開始された。

エヌが収監されているのは、首都シュルルツ郊外のアルパ収容所という場所だ。

名だたる犯罪者たちが収監されていると聞くが、よく考えたら僕の周りも殺人者ばっかりだ(僕含め)。ある意味で僕らも犯罪者の集団なわけで、別にビビることはなかった。

それで――まあ、やはりというべきか、僕は単獨でそのアルパ収容所という監獄へ潛し、エヌを救出することになっていた。

とはいえ、僕がやるべきことは監獄へ行ってエヌと一緒に帰って來るだけだ。向こうには通者が居て、その通者からエヌを引きければそれで任務完了、というわけだ。

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