《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》弱い雑魚オーバーキル! その⑦

「おい、えーくん。信魔法か?」

「……いや、別に。気にしないで」

「気にせずにいられるものか! ミアが俺の救出がうまくいったかどうかを尋ねて來たんだろ? きっと俺の聲が聞きたいと言っているはずだ! そうだろ!?」

現実は非常である。

可哀そうに、エヌ。ミアに邪険にされているとも知らずに。

「靜かにしてよ、一応は獄中なんだからさ」

「案ずるな。俺と貴様が揃っているのだから、中途半端な相手なら簡単に排除できるだろう」

まったく、自信過剰な男だ。

こんな風だから僕に負けたんだろうな、多分。

『――えーくん』

「何、どうした、ミア?」

ミアの聲は先ほどとは違って、どこか焦っているようだった。

「ほらやっぱりミアじゃないか! 俺に代われ! でなければこちらからチャンネルに介するぞ!」

僕は何も言わず、ガラ空きだったエヌの腹部を思い切り毆った。

エヌはを九の字に追って蹲り、し靜かになった。

『何かおかしいの。ジャミング――』

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「え? 何だって?」

『――軍部――敵――気を付けて』

その言葉を最後に信は途絶えた。

気を付けて?

僕らが狙われているということだろうか。

「……魔法を意図的に妨害されているようだな」

エヌが立ち上がりながら言う。

「妨害?」

「そうだ。ほら、俺も似たようなことをやっただろう。覚えていないか?」

「ああ、魔法をジャミングするとか言ってた……」

「あれは単純に、魔力の流れを分斷するようにこちらの魔力を拡散させ――いや、説明しても魔法を使わないお前には分からんだろう」

「今、僕を馬鹿にしただろ、絶対」

「人には得意不得意があるということだ。現に俺は、お前たちの言うスキルとやらは使えないからな。助け合っていこうじゃないか、えーくん」

「……話を続けてよ」

「もちろんだ。それでだな、とにかく俺の使った魔法を妨害する魔法――妨害魔法とでも呼ぼうか。あの技が軍部に渡ってしまった」

よ、余計なことを。

「どうしてそんなことに? なんとかならなかったの?」

「ならなかった。俺の魔法を解析されたのは、俺が貴様に敗れてすぐの話だからだ」

「魔法を解析?」

「結局のところ、魔法というのはイメージだからな。者がどのようなイメージを持っていたかが分かれば――言い換えれば、全く同じイメージをすることが出來れば同じを使うことができるということだ。もちろん、魔法に対する適を完全に無視すればの話だがな。とにかく、俺のイメージを解析されればそれは魔法を解析したことになるんだ。そして俺は、頭の中を見られた――らしい」

「らしいって、どういうこと?」

「そこは俺にも分からん。ただ、脳波パターンとやらのデータを採取されたらしい」

なんかよく分からない話になって來た。

つまり、どういうことなんだ?

「要するに、敵にも強力な魔法使いがいるってこと?」

「いや、恐らくは違う。俺やミアのレベルの魔法を使うのは、ジャギア族でなければ不可能だ。あいつらがジャギア族の者を使うとは思えん」

「じゃあ、どうやって?」

「――恐らくは、機械的なモノだ」

「機械?」

「魔ランタンや水道、その他のインフラ機能が自的に使えるのは、その作がごく単純でイメージしやすいからだ。イメージしやすいからこそ、いちいち人間が作しなくても機械が――魔法を応用した裝置がそれをやってくれる。だから、俺の魔法を機械が再現するのも不可能な話じゃない」

「話が矛盾しているよ。ジャギア族じゃないと不可能なレベルの魔法を、単純な作しかできない裝置が使えるわけなの?」

「俺もそこは分からん。だが、ジャギア族じゃなければ誰も出來ないことを、機械以外の何がやってくれるんだ? ミアが積極的に取りれている外國の機械は、魔法もなしに人間以上の働きをするのだろ? それならば不可能な話じゃない。妨害魔法のイメージをそのまま再現する機械だって現実のものになるさ」

「…………」

「とにかく、俺にもまだ分かっていないのだ。そんなことを考えるより、今は魔法が妨害された先に起こりうる驚異に備えるべきだと思うがね」

エヌの言う通りだ。

そもそも僕に魔法の話が分かるわけないし。

「了解、エヌ。敵は何が狙いだと思う?」

「分かり切ったことを聞くな。ここは監獄だぞ。そして俺たちは獄犯なんだろ」

「僕らのことに気が付いた何者かが、僕たちを止めに來たってことか」

「恐らくは、そうだろう」

「ってことは、次は実力行使かな?」

「だろうな」

僕らの前を歩いていた兵士が不意に足を止めた。

「……どうしたの?」

「こ、ここから先は、危険です」

彼は顔を青くして、歯をガチガチと鳴らしていた。

「危険って?」

「み、見えたのです、あの方の姿が」

「……あの方?」

僕は顔を上げ、通路の先へ視線を向けた。

そして、見つけた。

三年前僕と戦い、僕を破った男。

軍部のトップにして最古の元老院。

ヒガという名の男を。

次回の更新は1月29日、20:00の予定です!

次回もえーくんと地獄に付き合ってもらう。

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