《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》弱い雑魚オーバーキル! その⑨
「ちょっと待ってくださいよ。話が唐突過ぎると思いませんか? 自分で言うのもなんですけど、僕はただの落ちこぼれであってあなたの言うような隠されし壯大な過去なんてありませんから」
「いや、貴様があの男でないにしろ、そのを引き継いでいると考えるのが妥當だろう。何よりニヒトに固定(・・)されてもなおこうしてここまで這い上がって來たことが証明だ」
買い被りもいいところだけどな、それ。
アルパって人の名前さえ聞き覚えがないんだから、関係があるわけもないだろうに。
「じゃあ、何ですか? あなたはわざわざここまでそれを言いに來たんですか?」
「そうだ。お前たちと話をするにはこのタイミングしか殘されていなかった」
「話をしたって言うより、一方的に喋られたってじですけど」
「そうじたのならそれでもいい。さあ行くがいい。そしてニヒトを倒せ。あの男を超え、新しい世界を創って見せろ。我々の千年の王國を超える世界を」
「あなたに言われなくてもそのつもりです――なくともミアはね」
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僕とエヌは、立ち盡くしたままのヒガを追い越し通路の先へ進もうとした。
すれ違いざま、ヒガは僕らと視線も合わせずに、
「……もはやニヒトは止められん。元老院のセンを務めるにも気をつけろ」
「え? センって―――ラフィさんに?」
僕はヒガの方を振り返っていた。
「力が――及ばないところまで來ている――急げ。そして、勝て」
あれだけ筋骨逞しかったヒガのが徐々に萎んで――しなびていく。
急激に老化が進んでいるようだ。
「あんた、一?」
「私は、とうに死んでいるべき、人間だったのだ」
掠れた聲が聞こえた。
ミイラのようになったヒガは、そのまま音もなく地面に倒れこんだ。
通路に強い風が吹いて、ヒガのを々にしてどこかへ連れ去って行った。
「……死んだ……?」
「何が起こったんだ、えーくん」
「い、いや、分からないよ。僕に聞かれたって。人がいきなり倒れて死ぬなんて」
だけど。
もしこのヒガという男が、ニヒトの能力で若さを固定(・・)していたのなら。
その能力が解かれ、今僕らの目の前でが千年の時間の流れを取り戻したとしたら。
今僕らが見たような景になるのかもしれない。
でも、それは一方で、ヒガがニヒトの手で能力を解除された――言い換えれば、そうするだけの何かがあったということになる。
だとすれば、本當にヒガは僕たちの味方だったらしい。
それ以上のことは今さら分かりようもないことだけれど。
「この男、俺達に急げと言ったな」
「あ、ああ、うん」
エヌの聲に僕は我に返った。
「ならば、急がなければならないだろう。この男が味方で、今までミアへ直接攻撃をすることを許さなかったのだとしたら、し危ないかもしれない」
「危ないって?」
「お前たちの拠點が軍の攻撃をけるかもしれないということだ。いや、もう遅いかもしれん。とにかく急ぐぞ」
※※※
自車に乗り屋敷へ向かった僕らの目に飛び込んで來たのは、火の海だった。
屋敷を中心にして、すべてを燃えつくすような炎が上がっていた。
「……これは……」
一足遅かったということか?
ミアは? ツヴァイちゃんは? ギルさんもハリシもいただろうに、どうしてこんなことに?
運転手と車を街へ帰し、僕とハリシは炎を上げる屋敷の中へ飛び込んだ。
「任せろ、えーくん」
エヌが水魔法を使い、火を消していく。
が、焼け焦げた屋敷には人の気配がなかった。
「ミア、どこに……」
そういえば信魔法も途絶えて久しい。
――というかあの時、魔法のジャミングをけていたのは僕らではなくミア達だったのかもしれない。
くそ、すべてが後手に回った。
これもあのニヒトって男の仕業なのか?
それとも、ヒガが死んだのが原因か?
いや、原因とか理由なんてことは今関係ない。
とにかくミアを見つけなければ。
「エヌは、信魔法を使えないの?」
「悪いが俺にミアほどの才能は無いのでね。向こうからは何も言ってこないのか?」
「そうだね。一どこにいるのか……」
と、その時、僕らの背後で音がした。
振り返ると、小さな人影がそこに立っているのが見えた。
「お兄様」
「ツヴァイちゃん……?」
人影はふらふらと僕らに近づいてくる。
「なんだ、この小娘は。敵か?」
「ちょっと待てよ。……ツヴァイちゃん、ミアはどこだ?」
「分からない。ちょっとはぐれちゃって」
「そうか。えーと、ツヴァイちゃん。君は僕の何だっけ(・・・・・・・・)?」
足を止め、不思議そうな顔をするツヴァイちゃん。
「何を言ってるの? あたしはお兄様の妹(・)に決まってるじゃない」
「……妹(・)? それで間違いない?」
「うん」
「へえ、僕は――もうし違う関係だと思ってたよ」
「変なこと言わないでよ。それより一緒にミアお姉ちゃんを探そうよ。どこにいるのか分からなくて」
「ああ、いや、ごめん。そうだよな。ミアを探さないとな。だけどその前にさ」
「何?」
「君はここで死ね(・・・・・・・)」
僕は死の鎌を出現させ、めがけて振り下ろした。
「な――なんで――っ!?」
「君は僕の小さな人(・・・・・)だろ。君が言ったのに忘れたのか?」
「――ッ!」
の腕からびた鋭い木の枝が僕らに襲い掛かる。
が、エヌはそれを魔法で焼き盡くした。
全からを噴き出しながらが倒れる。
「……一どういうことだ、えーくん。お前、年下が好きなのか?」
エヌが可哀そうなモノを見るような目で僕を見た。
「ミアを追ってここまで來た君に非難されるような覚えはないけど」
「ふん。それはまた別の話だ。ミアの可さは桁違いだからな」
何言ってんだ、こいつは。
「……暗號だったんだよ、本人かどうかを確認するための」
あの時ツヴァイちゃんが言っていたことを思い出す。
つまりあの子は――自分と同じ姿をした敵が襲ってくる可能に気付いていたってことだ。
その時のために、小さな人なんて変なことを言っていたんだ。
ラフィさんに気をつけろっていうのは、こういうことか?
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