《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》さよならテオノトナタ その③

ケートさんの聲で、彼の隣に並んでいた護衛らしき男たちが、僕らの牢屋の戸を開けた。

「あー、あたしおが痛いんだよ」

うーん、とびをしながらツヴァイちゃんが言う。

その間もミアは黙ったまま、何もしゃべらなかった。

「……父と娘の的な再會って空気じゃなさそうだね?」

僕の聲に、ミアは細めた目でこちらをしの間見ただけで、やはり何も言わなかった。

※※※

僕らが通されたのは、屋敷の客間だった。

北の地に隔離されてるみたいな印象だったから、きっと大変なところに住んでるんだろうなーなんてことを考えていた僕だったけれど、案外街並みも見慣れたじで特別変わったところはなかった。

強いて見慣れない點を言うなら、ミアやグルツおじさんが輸した自車とか自転車みたいな外國製品がどこにも見當たらないことくらいだ。

「まずはエヌよ、三年の間ご苦労だった」

広いテーブルの中心に座ったケートさんは、まず初めにそう言った。

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エヌはケートさんに対してもどこかふてぶてしい態度で、

「俺はただり行きに任せただけだ。それよりも、なぜ俺達を捕らえた? その理由を教えてしい」

「ああ、そのことか……。君たちを牢にれたのは、國に対し忠誠を示すためだ」

「忠誠? 魔導王國にですか?」

思わず僕は聲を上げていた。

ケートさんが僕の方に顔を向ける。

「意外かね?」

「それは、まあ。あなたたちジャギア族は―――追放された部族だと聞きましたから」

「歴史の一面だけを見ればそうだ。しかし、千年前のあの決別は、すべて平和を求めての事だったのだ。魔法の力を悪用しようと我々に接近するような人間を排除するため、私たちは自ら北の地へ向かったのだから」

「……自分たちから?」

「我々の祖先は、建國者であるニヒトと不戦の誓いを結んだ。我々は國に対し抵抗する人間に魔法の力を貸さず、そして王國は我々に平穏な暮らしを約束した。その誓いの元、ジャギア族は千年の時を過ごして來たのだよ」

「それと、俺達を牢に閉じ込めたことと何が関係あるんだ? 教えろ、ケート」

エヌが顔を顰めながら言う。

ケートさんはため息をついた。

その仕草はミアとそっくりだった。

親子というのはどうやら本當らしい。

「王國から、君たちが現れたら捕らえるように言われていたからだ。國家に仇なす反逆者たちが北の地を目指していると。その中にジャギア族と思われる人が紛れていると」

「……俺たちを王國に売る気だったのか?」

「それは違う。態度だけでも従順な様子を見せておかなければ、我々の立場が悪くなる一方だろう。捕らえたという事実を作っただけだ。安心しろ、王國には知らせん。代わりに、君たちが牢から解放されていることは私を含めたごく一部の人間しか知らない。このジャギア族の里を自由に歩き回ることは許可できないが、我慢してくれ」

「ちょっと待ってください、僕らをどうするつもりなんですか?」

ケートさんが僕の方を見た。

「どうするつもりもない。君たちの自由だ。必要以上に干渉したくないと考えている」

必要以上に干渉したくない、だって?

それってつまり、僕らに関して敵対行為もしなければ協力もしないっていうことだよな。

そうなると、ミアの目論見は……。

「そうまでしてこの國に執著する理由は何?」

場の空気を切り裂くような聲でミアが言った。

僕は思わず彼の方へ顔を向けていた。

ミアの顔からはどんな表も読み取れなかった。

なくとも我々に、魔導王國に対して抵抗する理由はない。ジャギア族の安寧は約束されているのだから」

ケートさんも、淡々と答える。

「王國の人たちはジャギア族である私たちを、千年前に王國に歯向かった存在として疎んでいるわ。あなたが王國のことをどう考えているかは分からないけれど、王國がジャギア族を良く思っていないことは確かよ。そんな相手がいつあなたたちを裏切るかなんてわからないじゃない。それなのにあなたたちは王國を信じるの?」

「――だから我々に、國を滅ぼさんとする君たちに協力しろと言うのか?」

「王國にとって私たちジャギア族は敵なのよ。そんな相手に無條件に従い続けるのは間違っているわ」

ミアとケートさんの間に、靜かな火花が散ったような気がした。

「私は族長だ。わけのわからない抵抗活に參加し、むやみに仲間たちの命を危険に曬すようなことはできない。そもそも、君がやっているのはいたずらに死者を出し、國そのものを弱らせることだ。子供のいたずらでは済まない段階に來ていることが分からないのか」

「子供のいたずら? その認識は改めて頂きたいわね。最初からそんなつもりは頭ないのよ。私は――私たちは、本気でこの國を潰すつもりなんだから」

「馬鹿なことを言わずに、もうこんなことはやめなさい。今ならまだ間に合う。黙ってこの地を出て行ったことは不問にするから」

「いつまでも私のことを子供だと思わないでもらえる? 私はミア・ミザルじゃないわ。ハルフォード家の令嬢、ミア・ザナギ・ハルフォードなのよ」

……これってもしかして、規模の大きい親子喧嘩なのか?

気づけばエヌも呆れたような視線を二人に向けていた。

やれやれ。

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