《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》さよならテオノトナタ その④
「ちょ、ちょっと待ちなさいミア。一どういうことだ?」
「グルツ・ハルフォードという貴族のおじさんに名前を貸してもらってるのよ」
「な、名前を貸して……? いかがわしい関係というわけではないんだな?」
「何を勘違いしているの? ビジネスパートナーのようなものよ。本當に私のこと、何も知らないのね」
「ここでは王國の報などっては來ない。それに、余計な干渉はしないよう取り決められているのだ」
突然、ミアは苛立ったように勢い良く立ち上がった。
「……いいからジャギア族の力を貸しなさい。この國を滅ぼし、新しい――誰もが幸せになれる國を創るために、ジャギア族の魔法の力が必要なのよ」
「私たちジャギア族の魔法は、この國を守るために使われるべきものだ」
「笑わせないで。自分たちを憎んでさえいる國の人たちのために、どうして私たちの力を使わなければならないの? 魔導王國は私たちの敵よ。私がジャギア族だったせいでどんな目に遭ったか、あなたは知らないんだわ!」
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「……ミア、そのくらいにしておきなよ」
反的に、僕はそう言っていた。
ミアは不満げに僕を睨むと、再び元の席に座った。
「部屋を用意してある。長旅と監で疲れただろう。先に休みなさい」
「そうさせてもらうわ」
ケートさんの言葉に、ミアは荒々しく席を立って部屋を出て行った。
……立ったり座ったり忙しいな、この。
「あれと一緒だと、君たちも大変だろう」
「いや全くです」
「…………」
僕が返事をすると、ケートさんは黙ってしまった。
何か言っちゃいけないことを言ってしまっただろうか。
「だが、お前はどう考えているんだ、ケート。本気でこのまま王國に従屬するつもりか?」
「エヌ、さっき私が言ったことに偽りはない。魔導王國に敵対するつもりはないのだ。だが、かといって同族を奴らに差し出すつもりもない。このまま北の地にとどまるというのなら安全を約束しよう。そして、王國を倒すために引き返すというのならそれも止めはしない」
「……あくまでも協力はしないということか」
「君たちが王國に勝っても負けても、戦いが終わった後で帰ってくる場所は必要だろう。この北の地はそのためにある―――私は、そう考えている」
「ジャギア族の力があれば王國に勝てるとしてもか?」
「我々の力は守るための力だ。千年前の誓いは今もまだ生きているのだ、エヌ」
「しかしミアはあんたの娘だろう」
「娘だからこそだ。あの子を守ることができる場所は確保しておかなければならない」
「あんたが守ってやった方が手っ取り早いんじゃないか?」
「ミアが自分で言っていた通り、あの子はもう子供ではない。過保護もまた毒だろう?」
「…………」
親か。
僕の親。
ヒガの言っていたアルパという人が、そうなのだろうか。
―――いや、何を考えているんだ、僕は。
僕の親は瓦礫の下敷きになって死んだじゃないか。
「さて、皆さんもお疲れでしょう。この辺りで休憩にしませんか。先ほど申し上げた通り、皆さんがくつろげるように部屋も用意してあるのです」
ケートさんは立ち上がり、言った。
※※※
「――で、なんでえーくんが私の部屋にいるわけ?」
「え? だって他に行くところないし」
僕はミアの部屋に居た。
それもケートさんが用意してくれたという部屋じゃない。
文字通り、ミアが生まれ育った部屋に。
「よくここが分かったわね?」
「ミアの匂いを辿ったんだよ」
「……そんなに変なにおいしてる、私?」
「いや、冗談だよ。気配を辿って來たんだ」
「それはそれで気持ち悪いわね」
ミアの部屋は必要最低限のものしか置かれておらず、どことなく殺風景だった。
ちょうど、あのアパートに居た頃を思い出した。
あの頃は大変だったなあ。グルツおじさんがいなければ飢え死にしていたかもしれない。
「ところで」
「何かしら」
「あのー、ケートさんと仲悪いの?」
「當たり前よ。あんなに頭の固い人は……いえ、親の話をあなたの前でするのはやめたほうがいいわね?」
「別に。僕は気にしてないよ。大僕が訊いたんじゃないか」
「……そう。でも、いいわ。あまり話したくもないことだし。それよりもどうにかしてジャギア族の協力を得る方法を考えなきゃ。それから、シュルルツの壁を突破する方法を」
「そのためにジャギア族の力を利用しようとしていたの?」
「ええ、そうよ。あの壁は理的にも、魔力的にも強力な防力を備えているわ」
「直接突破しようとはせずに、壁の上から攻撃すればいいんじゃない?」
「無理ね。上空は魔力障壁で完全に固められているから。それを突破するためにもジャギア族の魔力が必要なんだけど」
ミアは何かを考えるように目を閉じた。
天井にぶら下がるランタンのが部屋を照らしていた。
「この部屋」
「え?」
「ミアの部屋なんだろ」
「ええ、そうよ」
「埃が積もってない」
「……何が言いたいの?」
「君のお父さん、いつ君が帰って來ても良いようにしていたんじゃないの?」
神経質そうな人だったから、こまめに掃除していたに違いない。
あんな威厳を醸し出しているような人がはたきや箒を持って掃除をしている姿を想像したら、ちょっと面白い。
「だから何よ」
「君はされてると思うぜ、ミア」
「……!」
「僕の親は、結局僕が帰ってこなくても手紙一通寄越さないまま殺されてるわけだし」
「嫌味のつもり? 親の話は気にしないって言ったじゃない」
「言うことを聞いてあげても良いんじゃないかと思ってさ」
ミアは骨に嫌な顔をした。
「言うことを聞いて私たちが負けて、殺されでもしたらどうするつもり? あなたが想像しているよりずっと悲慘なことになるわよ」
「君は死なないよ。僕が守るから―――君も、ツヴァイちゃんも、僕の周りの人は。それでまたこの北の地に戻って來て、もう一度勢を立て直せばいい」
「あなたらしくないことを言うのね、えーくん。使える力は使わなきゃ勝てない戦いなのよ、これは」
「じゃあ、ジャギア族を戦いに巻き込んで、君の父親が死んでもいいのか?」
「……私だけが何の犠牲も払わないわけにはいかないわ」
「ミアはミア自をり減らしてここまでやってきたわけだろ? いいんじゃない、それ以上頑張らなくても。あとはなるようになるさ。正直な話、僕はミアをここに置いておきたいくらいに思ってる」
ますます嫌な顔をするミア。
「どうしてよ」
「信魔法があればどこからでも命令は出せるだろ。ミアは僕らの頭だ。安全なところにいてくれた方が良い」
「そんなの嫌よ」
…………。
僕の意見はミアの前に一刀両斷されてしまった。
というか、なんだか僕らしからぬことを言い過ぎてしまったような気がする。
恥ずかしくなってきた。反省しよう。
「ちょっと言ってみただけなんだから、本気にするなよ」
「あらそう? 癪だけど、悪くない意見とも思ったわ」
「……冗談でしょ?」
「補給路を欠いた作戦は失敗するのが當たり前だわ。し考えなおす必要がありそうね」
「ミア……」
「ジャギア族が使えなくても、他に手はあるはずよ。えーくん、しの間ひとりにしてもらえるかしら。考え事をしたいの」
※※※
次回の更新は2月20日の予定です!
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