《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》さよならテオノトナタ その⑥
「おい、大変なことが起こったぞ――って、これは一どうしたんだ?」
そう言って僕らの方へ駆け寄って來たのはエヌだった。
「いや、知らないよ。ちょっとミアの話をしていただけなんだ」
「……見苦しいところをみせてしまったな。それよりもエヌ、大変なこととは何だね。話したまえ」
さっきまでの狂ぶりはどこへいったのか、気が付くとケートさんは威厳ある族長の顔に戻っていた。
エヌも彼のこういう態度には慣れているのかさほど驚きもせず、話を続けた。
「王國の軍隊がこちらに差し向けられたという話だ。恐らくは―――というかほとんど間違いなく俺たちを狙ってのものだろう」
「王國に知らせたつもりはないが……」
「お前を疑っているわけじゃない。どこかから足がついたのかもしれん。俺たちの進路を辿れば、北の地を目指していることなんてすぐに分かるだろうしな。一応報告しておく」
「……ミアは何か言ってるの?」
僕が訊くと、
「あいつはここを出るつもりだ。そして抵抗軍のリーダーたちと會合を開き、今後の作戦を立案するらしい」
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「なるほどね。了解。それなら僕らも集まっておいた方が良いね?」
「だろうな。―――ということだ、ケート。お前もの振り方を考えておくんだな」
「そんなもの決まっている。ミアがここを出るというのなら、君たちを無傷でこの地から送り出そう」
僕はケートさんを見上げた。
「良いんですか? ミアはここに置いていてもいいんですよ? それに多分、あなたがその気になればミアを行かせないことだってできるでしょう?」
「言っただろう、私は族長だ。ジャギア族を守り―――ミアも守る。そしてここから先は、君がミアを守ってくれ」
「……つまり、ミアは僕のものだと?」
「えーくん。王國の軍隊がこちらへ迫っているという急時でなければ、私は君を毆っているよ」
危なかった。
急時萬歳。
※※※
「私たちはこれから北の地を出て、各レジスタンスの幹部と合流するわ」
屋敷のエントランスに集まった僕らは、ミアから話を聞いていた。
「問題はここを無事に出できるか、だけど?」
僕は橫目でケートさんの方を見る。
ケートさんは頷いて、
「確認が取れた。敵は一個中隊規模の戦力で森の周囲を包囲しており、徐々にこちらへ近づいてきている。そこで我々の魔法を持って、君たちの偽を創り出す」
「偽?」
「偽裝魔法は知っているかな? あれで、君たちそっくりに仕立てた者たちを森の中に放ち、敵をかくする」
「大丈夫なんですか、その人たち」
「ジャギア族は全員強力な魔法使いだ。安心したまえ」
「お兄様」
小さな人影が僕に駆け寄って來る。
ツヴァイちゃんだ。
彼は、僕に抱き著いてきて、僕のお腹の辺りに顔を埋めた。
「なんだよ、ツヴァイちゃん」
「あたしとおじいちゃんがお留守番だなんて、嫌なんだよ」
ツヴァイちゃんとギルさんは、ジャギア族の地に置いていくことになった。
特にギルさんは怪我が治り切らず、これ以上の長旅は耐えられそうになかった。
彼は今も部屋で休んでいる。
きっと今までの無理が祟ったのだろう。途中で落することになって申し訳ない、と言っていた。
「いいかいツヴァイちゃん。これからますます危ない戦いになる。ツヴァイちゃんが傷つくの、僕は嫌なんだよ」
「でもあたしは不死だよ。絶対役に立つよ」
「駄目だ。君はここに居ろ。必ず迎えに來るから、それまで大人しくしておくんだ。いいね」
「お兄様……」
もしラフィさんと戦うことになったら―――そう考えると、ツヴァイちゃんは連れていけない。
ツヴァイちゃんそっくりの敵がこれからも僕らの前に現れるだろうし、自分殺しみたいなことはさせたくなかった。
僕はツヴァイちゃんの頭をでた後、彼を引きはがしてケートさんに預けた。
「お仲間の安全は私が命に代えても保証する」
「……協力に謝します、族長」
ビジネスライクな聲でミアが言った。
ケートさんは一瞬辛そうに眉を寄せたが、すぐいつもの顔に戻って、
「同族とその仲間を守るのが族長の務めだ。禮には及ばん」
「一族の繁栄を心よりお祈りしておりますわ」
「そして、諸君らの旅の無事と安全を」
ミアは優雅に一禮して、ケートさんに背を向け僕らの方を振り返った。
「では、行きましょう」
「……気をつけてな、ミア」
ケートさんが呟くのが聞こえた。
「分かっているわ、お父様(・・・)」
僕らの方に顔を向けたまま、ミアが言った。
……まったく。
これだからツンデレは。
ツンデレ親子は。
ちなみに今僕らの居る極寒の地はツンドラ気候……。
まさか何か関連が?
ツンデレは寒い土地に生まれやすいのか?
これは研究の必要があるな……。
※※※
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