《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》さよならテオノトナタ その⑧
シロは力なく僕らへ片手を上げた。
髪がずいぶんびていて、白髪で目元が隠れている。
「この男は何者だ? 教えろよ」
エヌが小聲で僕に囁く。
「えーと、端的にいえば白髪の不審者だよ」
「不審者?」
「おいおい、そんな言い方はないだろ。ボクと君はいわば戦友のようなものじゃないか。でを爭ったあの戦いを忘れたのかい?」
「忘れたわけじゃないけど、まさか生きてたなんて」
「嬉しいかな?」
「いやそれは全く」
「……相変わらず元気そうで何よりだ」
力が抜けたように、シロが地面に座り込む。
「そっちはずいぶん疲れているみたいだね?」
「ボクはボクで大変だった。ついこの間まで暗部に追われていてね。何とか逃げ切ったんだけど、代償がこれさ」
シロは右手で前髪を上へやった。
そうしてになったシロの顔には―――右目が、無かった。
「……傷は消せなかったの?」
「ボクの【抹消(ホワイト・アウト)】は存在するものを失くすことはできるけど、失くしたものを失くさなかったことにはできないんだ。おかげでこのたらくだよ」
「一誰にやられたんだ?」
「現元老院、キュタ―――アリク・ジェラート」
「!」
あの年か。
ハリシと相撃ちになった、あの。
「それで、僕らのところに逃げて來たってこと?」
「そんなところさ。だけど、ただ逃げて來たわけじゃない。……ボクはあの壁を壊すヒ(・・・・・・・・・・)ントを握っている(・・・・・・・・)」
「なんですって?」
ミアがを乗り出す。
凄い食いつき合だ。
まるで食魚みたいに。
いや、実際に食魚が獲に食いつく様子を見たことはないけど。
というかそもそも、食魚は人を襲わないという話もある。
まあ、どちらにしても今は関係のないことだ。
「ボクはこういうことはあまり言いたくないけれど、その報が必要ならボクを保護してくれ。それで公平(ホワイト)だろ」
疲れたような笑みを浮かべながら、シロは僕らの方を見た。
「……同じ、魔導王國に敵対するものとしてあなたを保護するのは當然のことだわ。でも、しの間は休めないけれど構わないかしら?」
「大した問題じゃない。これで晴れてボクもえーくんの仲間りってわけだ。よろしく頼むよ」
ミアの、ではなく僕の仲間りという表現に々の恐怖を覚える僕だった。
「えーくん、彼に肩を貸してあげて」
「……僕が?」
「他に誰が居るのよ」
「いやだって、エヌの方が僕より背が高いし」
「私とエヌで彼の傷を治すから、えーくんは運搬係。分かった?」
「わ、分かったよ」
「お手らかに頼むよ、えーくん」
と、僕に手をばすシロ。
……し、仕方ない。覚悟を決めよう。
僕はシロの右肩を支えながら、彼を立ち上がらせた。
「しばらく見ない間にずいぶん強くなったようだね」
「そうかな? 三年は寢てただけだよ」
「いや、ボクには分かるよ、君の長が。でも如何せん、人の心が分かるようになってしまったようだ」
「……そうかな」
「まあいいさ、共は人間が進化の過程で獲得した要素だ。そういう意味では君も進化していると言えるだろう。それよりもね、ボクは君に言っておかなきゃならないことがある」
「何だよ」
「キュタは生きているよ(・・・・・・・・・・)」
「……!」
思わず僕はシロの方を見ていた。
シロはそんな僕に微笑みかけ、
「キュタの本はシュルルツに居る。君たちが戦ったのは彼の作った幻だよ」
「そ、そんな、でも、それなら、ハリシは……!」
「そういうところだ、えーくん」
「何が!」
「人はいつか死ぬ。それが早いか遅いかだけだ。死は『無』に還るだけ……もし君がこの先生き延びたければ、出來るだけ死ぬのを遅らせたければ、人の死にいちいち反応していてはいけない。もはや、きれいとか汚いとか、白いとか黒いとか言っている段階じゃないんだよ。この戦い、生き殘った方が白だ。ボクは君に、白い側であってしい。だから、人の死は割り切るんだ。いいね」
そんなことを言われても。
僕は。
ハリシの淹れてくれたお茶の味を、今もまだ覚えているんだから。
※※※
次回の更新は2月28日です。
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