《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》さよならテオノトナタ その⑩

「えーくん、こんなところで立ち止まってはいられないわ。行きましょう」

ミアが僕の袖を引っ張る。

「行くってどこに?」

「みんなが集まっている場所よ」

「みんなって?」

「……行けば分かるわ。さあ、早く」

僕はミアに促されるがまま、歩き出した。

※※※

そうして僕らがたどり著いたのは、かつてはギルドの集會所だった建だ。

「ここ、勝手に使っちゃっていいの?」

「良いわよ。私たちが買い上げた土地だから―――というか、そもそも冒険者ギルド自が解散狀態なの。治安維持や義勇兵的な立ち位置は軍部に奪われちゃったし、自車みたいな通機関の普及で移が簡単になったから、人の住む領域やそれらの安全も格段に向上したのよ。資材の確保や狩人のような仕事もなくなっちゃったの」

「それで、冒険者って仕事自……」

「ここ數年で――特にこの一年で廃れちゃったってわけ」

「あのさミア、僕がギルドに所屬する予定だったって話したっけ」

「良かったわねえーくん、危うく無職になるところだったわよ」

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「…………」

僕がギルドにることが出來ず彷徨っていたところをミアに出會って、結果的に冒険者って仕事がなくなったんだから、そもそも僕が本來の仕事についていれば―――うん?

なんかわけわかんなくなってきたな。

鶏が先か卵が先か、みたいな話だ。

どちらにせよ確かなのは、今更何を言っても遅いということだ。

「この町自、既に私たち反軍の勢力下にあるの。いわば前線基地のようなものね」

「で、王國を倒す算段はついているの?」

「それはもちろん。それを説明して最終的な調整をするためにグルツさんにもいてもらってるし、こうしてここに各勢力のお偉方に集まってもらったわけだし」

集會所の古びた扉を開けると、中は案外広かった。

木製の機や椅子が雑多に並んでいて、その中心に二人の男が居た。

椅子に座って何かを離していた彼らは、僕らに気付いたようにこちらを振り向いた。

「えーくん、いつまで私たちを待たせるつもりなのよ。すっかり待ちくたびれたのよ」

を著た小柄なが、開口一番僕に言った。

當然のように、僕はこの人に見覚えがあった。

「もしかしてエーデル?」

「もしかしなくても私なのよ」

ジトっとした目でエーデルが僕を見上げる。

そして、エーデルの後ろに居たのは――。

「客を待たせるとはいったいどういう了見だ。呼びつけたのはそちらだろう」

渋い顔をした老人。

元老院ミヌマの座に就く男、アミスだった。

「あなたも來てくれたんですか?」

「呼ばれたら來るよ。俺に取っちゃあんたらも大事な取引相手だからな。それに、首都があんな風に壁に囲われちゃこっちも商売あがったりだ。商売というのは報も立派な経営資源だからな、世間に対してしでも遅れればそれだけ損を生むんだよ」

「ですが、あなたは元老院ですよね? いいんですか?」

「良いも何も、ヒガの爺さんが居なくなった今、元老院による共同統治なんて制は崩壊してるんだよ。今あそこじゃ、ニヒトとその手先であるキュタの恐怖政治が行われている―――となれば、この魔導王國が崩壊する日も近いな。約束は覚えているかい、お嬢さん」

アミスは僕から視線を外し、ミアの方を見た。

ミアが頷く。

「當然です。私の作る王國において、経済は全てあなたに任せましょう。これまで好きなようにあなたの人脈、流通網、ありとあらゆるネットワークを使わせてもらったのですから」

ミアの言葉にアミスは満足げに目を閉じた。

「いい返事だ。実に良い。なあえーくん」

「は、はい?」

「流れは俺たちにあるぞ。この戦い、勝てる」

「は……」

僕がどう返事をしようか迷っている間に、アミスさんは僕の背中を力強く叩いた。

勵ましのつもりらしい。

前から思ってたけど、この人の事ちょっと苦手かもしれない。

と、その時、集會所のドアが勢いよく開けられた。

「主役を忘れてないかい!? えーくん!」

こ、この無駄にハイテンションな聲は!

「れ、レネン、君……!?」

赤い髪にピエロのような化粧を施した、全発系男子。

継承戦で最初に戦った彼のことは僕もよく覚えていた。

その彼が、ドアのところに堂々とした振る舞いで立っている。

だけど君、前に死したんじゃないっけ……!?

「わはははは、君は今頃こう思っているだろう! 『君、前に死したんじゃないっけ……』と!」

「いやまさしくそうだよ。なんで生きてるんだよ。あの時、あの建発に巻き込まれて死んだんじゃなかったの?」

「もちろん君の言う通りさ! だけどえーくん、俺の能力を知ってるだろ!?」

レネン君の能力――【起(トリガー)】。

自分の破させる能力だ。

あの建発から逃れようと思えば――そうか。

「つまり、発を発で打ち消したってこと?」

「その通り! ご明察と言ったところだ、えーくん!」

「確かに君が生き殘ることができた理由は分かったけど、それで君はどうしてここにいるんだ? ここがどういう場所かは知ってるんだよね?」

「彼こそこの場にふさわしいわ」

と、會話に割り込んできたのはミアだった。

「ふさわしいってどういうこと?」

「世間的には軍部に処理されたことになっている彼だからこそ、各抵抗勢力間のつなぎ役として暗躍することができたというわけよ。この會合も、彼の協力なしには実現しなかったでしょうね」

えぇ……?

そんな大役を擔ってたのか、レネン君。

僕は知らなかったけど。

でも確かにあの時も、反分子の會合に參加してくれとかなんとか言われた気がする。

元々そっち側でも活発に活していたのだろう。

そういう下地があったのなら納得できないでもない。

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