《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》赤錆の非リア その①
「というわけさ、えーくん! ひとまずは再會を喜ぼうじゃないか!」
「あ、ああ。それはもちろん」
「君も々大変だったらしいな!? さっきミアさんは俺の協力がなければと言っていたが、俺はちょっと手助けをしただけさ! この會合をし遂げた真の立役者は君だろ、えーくん!」
「え、僕? 僕またなんかやっちゃいました?」
「とぼけるなよ! 君が各地で々な勢力と接して、かかわりを持っていたからこそこの集まりが実現できたのさ! そうだろ、ミアさん!」
「ええ、そうよ」
レネン君の言葉に素直に頷くミア。
「ふっふっふ、ようやく僕の努力を認めてくれたんだね、ミア」
「あなたにはいつも謝しているつもりよ。もっとも、そのあなたに命令を出していたのはこの私だけどね」
……ん?
なんか今、手柄を橫取りされたような気がしたが?
まあいいか。別に僕は地位や名譽がしいわけでもないし。
「それよりミア、こんな風に悠長にお喋りしている時間はあるの? いや僕は永遠にこのままだらだらと懐かしのキャラたちとお話をしていてもいいんだけどね。そうしているは死なずに済むわけだし」
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「殘念ながらそういうわけにはいかないのよ、えーくん。今は拮抗狀態にあるとはいえ、軍部の力は本よ。あちらの方が武裝も兵士數も上回っているの。だから消耗戦になればこちらの方が不利だわ。だからこそ、一刻も早くシュルルツを落とす作戦を決行しなくてはならないの」
「……だろうね。僕もそのくらいは分かっているつもりだよ」
「なら、早速會議を始めましょう。みんなを集めてくれるかしら」
※※※
ミアの立てた作戦は単純だった。
シュルルツに包囲網を敷いて兵力をおびき出し敵戦力を分散させ、鋭たちによる一點突破で首都への侵を試みる。
同時にレネン君やエーデルが【魔力爐開発統括機関(エナギ)】や水道局のような生活基盤を擔う機関を麻痺させ、首都の機能を停止させる。
その隙を突いてニヒトの居る中樞まで攻めり、敵の首を取って勝利とする。
そういう作戦だ。
「……で、僕は?」
會議の後、僕はミアに呼び出されていた。
僕とミアしかいない小部屋で、僕らは立って向かい合っていた。
「えーくんはシュルルツを覆う壁を除去するために別行をとってもらうわ」
フッ。
みんなは仲良く首都陥落作戦を実行するっていうのに僕だけ仲間外れか。
僕はいつもそうだ。
とはいっても、集団行は僕の最も苦手とするところ。恐らくミアはそこを考慮したに違いない。
「だけど、壁を除去するったってどうするの? もしかして力ずく?」
やってやれないでもないような気がするけど。
「いいえ、違うわ。シロの言っていたことを忘れたかしら?」
「あの、壁を取り除く方法を知っているって話?」
「そうよ。……ここから先は直接本人に話してもらった方が良いわね」
ミアが部屋のドアの方へ視線を向けると、タイミングよくドアが開きシロが現れた。
「やっとボクの出番か。待ちくたびれたよ」
「シロ、えーくんにあの話をしてくれるかしら」
「何、そんなにもったいぶるような話じゃないさ。いいかいえーくん、あの壁をコントロールする施設があるんだ。そしてその施設を守っているのはね、元老院のセンが率いる組織だよ」
そうか、元老院が。
だとしたら強敵になりそう―――ん?
「ちょっと待ってよ。今、センって言った?」
「その通りだ。あの施設はセン―――つまり、ラフィとその部下たちが守っているんだよ」
※※※
かくして僕はメティスの地へと足を踏みれた。
こうしてここへ來るのは二度目だ。
あの時は確か、ハリシと戦った後だった。
……今となってはいい思い出だ。
いや噓だ。
悪い思い出だ。
背の高い草が鬱蒼と生い茂っている様子は、僕の記憶にあるものと大きくは変わらない。
ここに、この先にあるはずの【人進化研究所(クーパ)】の研究所に、壁を管理する設備があるのだという。
グルツおじさんとの再會に始まって、なんだか今まで回った場所を再び回りなおしているような気がする。
ここまで來ると何か因縁めいたものさえじる。
というか、ラフィさんは決著をつけるつもりなのだ。
僕と【人進化研究所(クーパ)】の間に。
リベンジするつもりなのだ、僕に。
そうじゃなければ、わざわざこんなところに壁の制施設を持ってくる必要はないだろう。
だって、首都を守る絶対防の壁なのだから、それを制する設備も壁の中においておく―――そう考えるのが普通だろう。
ラフィさんは敢えてそれをしなかった。
考えたくはないのだけれど、僕らを庇って軍部に捕らえられたというのは、いずれこうして僕らに敵対する算段があったのかもしれない。
「つくづく、僕の周りに集まって來るの人って執念深いよな」
『聞こえてるわよ、えーくん』
「……誰もミアのこととは言ってないよ」
『じゃあえーくんは、さっき言ったことが全く私と関係ないと斷言できるかしら』
いや、それは。
無理寄りの無理ってじだけど。
「そっちはどうなの、ミア? うまくいってる?」
『ずいぶん骨な話題の逸らし方ね。心配されなくてもうまくいっているわ。レネン君が仲介役になってくれた反軍連合はミジャさんやリジェさんが中心になって指揮を執っている。狀況はこちらが優勢で、壁の包囲網ももうすぐ完するわ。そこに、マニーさんやイチゴさんたちの攻撃隊が中央突破を行い、同時にエーデルさんたちによる破壊工作が実施される。あとは――あなた次第よ』
「あんまりプレッシャーをかけられると困るな。僕、そういうの弱いんだよ」
『今までやってきたことと同じことをしてくれればいいのよ。あなたは私たちの敵に勝つ……それだけでいい』
「それだけでいいの?」
『ええ』
だけど、それだと。
「それだと、ラフィさんたちを敵(・)って斷定しちゃうことになるけど?」
『そうね』
ミアの返事はそっけなかった。
「いいの? 一時的にとはいえ、僕らは同じ相手を敵にする仲間だったわけだろ?」
『いいのよ。もちろん、様々なルートを通じて【人進化研究所(クーパ)】にはこちらの意思を伝えたわ。でも、彼らは私の呼びかけに答えなかった。それが彼らにとっての返答のようなものよ』
「つまり、僕たちに協力する気はないってこと?」
『そういうこと。だから遠慮しないで。かつて仲間だったとか、協力してくれたとか、余計なことは考えないで。いい?』
「……分かったよ」
意外と淡泊なんだな。
それとも僕が変わってしまったのか?
気にしなくてもいいことまで気にするようになってしまっただけだろうか。
僕の任務は、壁の制施設を制圧して壁そのものを無効化すること。
ここまで來たからにはやるしかないし、やらなければリジェさんをはじめとするみんなが無駄死にしてしまう。
選択肢なんてものは僕に用意されていなかったらしい。
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