《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》雑魚の地球儀 その③
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首都シュルルツと言えば、ろくな思い出がない。
魔導學校だって親に無理やりれられた場所だし、學校では魔法もにつかず、ほとんど無意味に三年間を過ごしたようなものだし。
卒業後も路上生活だったし、挙句の果てにミアみたいなのにも會っちゃうし。
【異能者処理統括機関(ファーバ)】とかいう妙な組織にも目をつけられて、ひどい目にあったし。
ラフィさんにのせられて參加した継承戦では何回死んだか分からないし、エヌに余計な因縁をつけられるし。
最後にはヒガに捕まって、ニヒトに『固定』されて―――三年。
なんだか々なことがあったなあ。
……どうして急に、昔のことを思い出したんだろう。
多分、終わりが近いことをどこかでじているからだ。
もうすぐすべてが終わる。
僕がニヒトを倒すか―――僕らが全滅するか、そのどちらかの結末が、僕らを待っている。
「……思い出に浸っているのかい、えーくん?」
「まあ、そんなところ。それにしても靜かだね。とても反軍との戦闘中だとは思えないよ」
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「ニヒトの能力でシュルルツの全てが靜止しているからね。靜かなのも當り前さ」
言われてみれば確かにその通りだ。
窓から建の中を覗き見れば、今にもき出しそうな様子で人々が固まっている。
鳥でさえ、飛び立とうとする勢のまま微しない。
街自が死んでいるみたいなものだ。
恐らく、ほんのし前――壁が破壊されるまでは、この街でもいつも通りの生活が送られていたのだろう。
それが、一瞬で『固定』されてしまう。
改めて凄い能力だな、ニヒトのスキルってやつは。
そんな敵を相手に―――いや、今はそれを考えても意味がない。
敵だから、倒す。
それだけでいい。
余計なことを考えていると、死ぬのは僕の方になる。
「さあ、えーくん。中央省庁區だ」
僕の前を走っていたシロが立ち止まり、僕も立ち止まった。
そして、見た。
中央省庁區の荘厳な建の前に立つ、痩せた一人の男を。
黒いローブをにまとい、白髪の――それでいて奇妙に若々しい顔つきをした、一人の男を。
男は僕に気付いたように顔を上げ、視線をこちらへ向けた。
その視線に込められた深い憎悪に、僕は思わず息を呑んだ。
「やはり余の平穏を脅かしたのは貴様か」
「久しぶりですね――ニヒトさん、でしたっけ?」
「貴様の顔は二度と観たくないと思っていたのに、こうして再會してしまった。殘念だよ。本當に殘念だ。そして、そっちのお前は政府機関に居た人間だな? 裏切りを許すことになるとは……これだから人間は信用できないんだ。余は一人なんだ」
「あなたの口から信用なんて言葉が出るとは驚きだな」
シロが薄く笑う。
「余の能力が通じていないところを見るに、何かしら細工を行ったようだな。しかし、あのは許せん。あろうことか外國の蠻族を我が神聖なる王國に招きれるとは。貴様たちを処分したのちに対処を考えるとしよう。――ああ、嫌だ。どうしてヒガは余を裏切るような真似をしたんだ!? 貴様たちもだ! 余の王國に何の不満があった!? 平穏な余の王國に混をもたらしたのは貴様たちだ。もはや多くは語るまい。……余の王國に波をもたらした罪、死を持って償うがいい」
「えーくん、行くよ」
「分かってる」
僕とシロは同時にいた。
シロは正面から、僕はニヒトの背後に。
一方のニヒトはかない。
僕らを迎え撃つつもりだろうか。
だとしたら甘く見られたものだ。
僕は魔導學園時代から、護だけは得意だったんだから……!
ニヒトの視線がシロに集中し、僕に対するガードが甘くなる。
よし、完全に背後を取った。
いくら千年生きているとはいえ敵も人間だ。心臓を貫けば死ぬだろう。
ガラ空きのニヒトの背中めがけて、僕は思い切り右手を突き出し―――。
「甘い」
気が付けば僕のは宙を舞っていた。
遅れて、顎に強烈な痛みが走る。
まさか本當に返り討ちにされたのか!?
ニヒトがいたようには見えなかったけど!?
「えーくん、それ以上はマズい!」
シロの聲に我に返る。
そうか、シロのスキルの効果範囲外に出ると僕も『固定』されてしまう。
僕はをよじり、無理やり著地した。
……まだはく。ギリギリ間に合ったらしい。
肩から落ちたせいで関節が鈍く痛むけれど、『固定』されるよりはマシか。
「余のスキルを封じれば勝てると思ったか? それとも、二人掛かりなら勝てると? 余とて伊達に千年生き続けているわけじゃない」
シロもまた、僕と同じようにニヒトにやられたらしく、の端からはが流れていた。
黒いローブを翻しながら、ニヒトは僕の方を振り向いた。
「……簡単に死んでくれれば、僕も苦労しないんですけどね」
「戯言を言ってくれるじゃないか。しかし、やはりアルパとは似ているだけのようだな。貴様は余が恐れたあの男ほどではない。……余の能力を無効化したとは言っても、どうやら制限があるらしい。例えば、範囲の制限だな……。そこから出たら貴様も『固定』されるというわけだ」
【電子書籍化】退屈王女は婚約破棄を企てる
☆2022.7.21 ミーティアノベルス様より電子書籍化して頂きました。 「婚約を破棄致します」 庭園の東屋で、フローラは婚約者に婚約破棄を告げる。 ほんの二週間前、「婚約破棄してみようかしら」などと口にしたのは、退屈しのぎのほんの戯れだったはずなのに――。 末っ子の第四王女フローラは、お菓子と戀愛小説が大好きな十五歳。幼い頃からの婚約者である公爵家の嫡男ユリウスを、兄のように慕っている。婚約は穏やかに続いていくはずだった。けれど、ユリウスが留學先から美しい令嬢を伴って帰國したその日から、フローラを取り巻く世界は変わってしまったのだった――。 これは、戀を知らない王女と不器用な婚約者の、初めての戀のお話。 *本編完結済み(全20話)。 *番外編「婚約者は異國の地にて王女を想う」(全3話)はユリウス視點の前日譚。 *番外編「『綺麗』と言われたい王女と『可愛い』と言いたい婚約者」(全3話)は本編から約2ヶ月後のフローラとユリウスを描いた後日譚です。
8 132【書籍化作品】離婚屆を出す朝に…
書籍化作品です。 加筆修正した書籍のほうは、書店での購入は難しいですがネットではまだ購入できると思いますので、興味を持たれた方はそちらも手に取って頂ければ嬉しいです。 こちらのWEB版は、誤字脫字や伏線未回収の部分もあり(完成版があるので、こちらでの修正は行いません。すみません)しばらく非公開にしていましたが、少しの間だけ公開することにしました。 一か月ほどで非公開に戻すか、続編を投稿することになれば、続編連載の間は公開します。 まだ未定です。すみません。 あらすじ 離婚屆を出す朝、事故に遭った。高卒後すぐに結婚した紫奈は、8才年上のセレブな青年実業家、那人さんと勝ち組結婚を果たしたはずだった。しかし幼な妻の特権に甘え、わがまま放題だったせいで7年で破局を迎えた。しかも彼は離婚後、紫奈の親友の優華と再婚し息子の由人と共に暮らすようだ。 思えば幼い頃から、優華に何一つ勝った事がなかった。 生まれ変わったら優華のような完璧な女性になって、また那人さんと出會いたいと望む紫奈だったが……。 脳死して行き著いた霊界裁判で地獄行きを命じられる。 リベンジシステムの治験者となって地獄行きを逃れるべく、現世に戻ってリベンジしようとする紫奈だが、改めて自分の數々の自分勝手な振る舞いを思い出し……。 果たして紫奈は無事リベンジシステムを終え、地獄行きを逃れる事が出來るのか……。
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