《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》雑魚の地球儀 その⑦

「僕の傷は後回しで良いよ。それよりシロを頼む」

「シロ? ……こいつ、生きているのか?」

「傷は消して(・・・)おいたから、多分大丈夫だと思うけど」

シロが死んでしまう前だったから、今こうして眠っているのは失のショックで気を失っているだけだろう。

あの【異能者処理統括機関(ファーバ)】戦の後、僕の傷を治してもらった借りを返しただけだ。

それに、中途半端な策とやらを実行したことについて文句を言ってやらなきゃ気が済まない。

「……ニヒトとやらはどうなった? 倒したのか? いや、今俺がけているということは、お前が倒したのだろうな」

「それはし違うかもね。確かにきっかけは僕たちかもしれないけど、あれは自滅みたいなものだよ」

「自滅だと?」

「そう、誰も信じずに一人ですべてを背負い込もうとしたツケが―――悪意を他人に押し付けて來たツケが回って來たんだよ。それで、千年の時の重みに潰されたんだ」

「俺には分からんな。実際に対峙しなければ分からんものもある―――自分の迂闊さがけない」

「自分を責めるなよ、エヌ。君は君の仕事をやったじゃないか――ギャグ要員っていう」

「貴様、その言葉忘れるなよ……っ! あとで吠え面かかせてやるからな!」

エヌが怒りにを震わせる。

そういうところがギャグ要員たる所以なんだろうけどな……。

「お兄様っ!」

突然、僕のお腹の上に何者かがダイブしてきた。

思わずく僕。

「つ、ツヴァイちゃん……! 僕を殺す気か……っ!」

臓が飛び出るかと思った。

「大丈夫なんだよ。お兄様は死なないんでしょ?」

僕のお腹の上に馬乗りになったままツヴァイちゃんがを上げる。

「それはそうだけどさ」

「でも、生きててよかったんだよ。シュルルツの中に信魔法が屆かなくなったときはミアお姉ちゃんも焦ってたんだよ」

「ああ、ミアが……。あれ、そういえばミアは?」

「私はここよ」

頭の上で聲がして、顔を上げると、ミアが居た。

「えーと……ニヒトを倒したよ、ミア」

「今度は無事に帰って來てくれたわね、えーくん」

ミアが笑う。

笑った。

そのはずなのに、ミアの目から零れた涙が、僕の頬に當たった。

「泣いてるの、ミア?」

「安心しちゃったの。あなたが生きていてくれて、良かった」

泣いているのか笑っているのか分からないミアの顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。

そこには反軍を率いて戦った策士の姿はなく、ただ、寂しがり屋な一人のの子が居た。

「えーと、あたしお邪魔みたいだから、ちょっと離れておくんだよ」

「貴様ら、俺の目の前で何を……っ!」

「男の嫉妬は見苦しいんだよ、エヌ。あんたもあたしと一緒に向こうへ行くんだよ」

「えーくん! このことは後でケートにも報告させてもらうからな!」

そんなことを言いながら、ツヴァイちゃんに引きずられていくエヌ。

ついにはに敷かれるようになったか……。

いや、のおは、それはそれで魅力が……いや、何でもない。

「また余計なこと考えてたでしょ、えーくん」

ミアが僕の隣に座る。

「まさか。僕はこれからのことについて深い考察をだね……。そんなことより、みんなは? 無事なの?」

「ええ。ニヒトに『固定』されていただけだから、無事よ。ツヴァイちゃんの集団との戦闘で傷ついてはいるけどね」

「そう……」

話し聲が近づいてくる。

リジェさんやマニーさん、イチゴさんにハイル君、各勢力の助っ人たちだ。

そして、倒れたシロを抱え起こし、運んであげようとしているあの人は……顔に大きな傷のあるあの人は、誰だっけ……? 見覚えはあるんだけど……。

「『安息』のミジャだよ! 忘れんじゃねえ!」

「あ、ああ、ミジャさん。シロをどうするんですか?」

「拠點に運んで治療する。まだ息があるようだからな」

「よろしく頼みます、ムジャさん」

「ミジャだ!」

そう言い殘し、ミジャさんは數名の反軍メンバーと共にシロを運んで行った。

「……これからどうするの、ミア?」

「新しい國の設立を宣言するわ。そして、誰もげられたり悲しい思いをしたりしない幸せな國を創るの。私たちみたいな人が、二度と出てこないように」

「それは素晴らしいね。ミアならきっとできるよ」

「他人事みたいに言わないで。えーくんにも働いてもらうわよ」

「……まだ僕を戦わせるつもり? 言っとくけど、いい加減僕のにはガタが來てるんだぜ?」

「いいえ、えーくんはもう戦わなくていい。次は私が戦う番。だからあなたは私の傍にいて……私を支えて」

あれ?

これってなんだかあれだな。

言葉ではうまく言い表せないけど、あれだよな。

告白的なやつだよな……!?

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