《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》雑魚の地球儀 その⑨

同時に、ミアの首筋に手刀を叩きこんだ。

まるで糸の切れた人形のように倒れこむミアを、僕は抱きかかえた。

こんなに痩せてたっけ、ミア……。

「え、えーくん、何をしているでおじゃるか!?」

「グルツおじさん、僕の最期のお願いです。ミアを戦いと縁のない、靜かなところに連れて行ってあげてください」

「それは君の役目でおじゃろう! ミアさんがんでいるのはわしなどではなく、君だ!」

「ですが―――誰かが殘って足止めしなきゃ、逃げ切れないでしょう」

上空を旋回する撃機や、走行車両と歩兵の軍団を橫目で見ながら、僕は言った。

「し、しかし」

「エヌって男が協力してくれるはずです。シロって奴も……二人とも、強い奴だから。あと、ツヴァイちゃんのこと、よろしくお願いします。それから、もし余裕があればジャギア族の地にも顔を見せてあげてください……って言っても、このじじゃ向こうもどうなってるか分からないか」

「いかんぞ、えーくん! 命を捨ててはいかん!」

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「僕の最期の願いだって言いませんでした? もし聞いてもらえないのなら、あなたも今ここで、ミアごと殺します」

「え、えーくん……」

「本気です」

僕はグルツおじさんと睨み合った。

ししてから、グルツおじさんは憔悴しきった様子で頷き、僕からミアをけ取ると走り去って行った。

さて。

やるか。

撃機が再び接近してくる。

撃の第二陣が來るらしい。

僕はラフィさんからもらった注を首筋に突き立て、中のを注した。

これがどういう効果を持ってるかは分からないけど、僕を殺すような薬品じゃないような気がした。

もし毒かその類なら、ラフィさんと対面していたあの時に使われていたはずだから。

「【天(ゾーラ)】」

撃機が投下した弾に向け、僕は全てを焼き盡くす線を放った。

そしてその線をそのまま上空へ傾け、撃機の編隊ごと焼失させた。

空の上で次々と発が起こる。

直後、僕は激しい頭痛に襲われた。

……まだだ。

まだ、終われない。

戦闘車両の部隊はシュルルツの、すぐ向こうまで迫っていた。

走る。

ヒトを超えた速度で。

ラフィさんの言う通り、これじゃ確かに異常者だ。

シュルルツを飛び出した瞬間、銃弾の雨に曬された。

首都は既に歩兵によって包囲されて居たらしい。

グルツおじさんたち大丈夫だろうか。

まあ、エヌやシロ、ツヴァイちゃんがいれば大丈夫だろう。

「【殺戮劇場(サーカス)】」

【貫通(メーク・ホール)】と【切斷(キル・ユー)】に【追尾(ストーカー)】を重ね掛けし、相手を殺すまで追い続ける死の刃と弾丸をする。

不可視の刃と鉛玉は僕に放たれた銃弾を退け、見たこともない裝備で武裝した兵士たちを次々との塊に変えた。

視界が徐々に赤く染まって行く。

おそらくは、脳への過負荷が原因で、目の奧から出しているんだろう。

武裝車両がき始めた。

砲塔がこちらを向く。

「【抹消(ホワイト・アウト)】」

僕は右手をそちらへかざし、車両の一団を消し去った。

その瞬間眩暈がして、思わず膝をついた。

を吐いたかと思えば、口から零れてきたのは大量のだった。

歩兵が波のようにシュルルツへ押し寄せて來る。

彼らは僕に向けて一斉に銃を発した。

「【死線(デッドライン)】」

銃弾を切り伏せ、再び立ち上がる。

「【天(ゾーラ)】……」

敵の集団を一掃する。

焼けた地面から煙が上がる。

もはや僕は、上下さえうまく把握できなかった。

「まだだ……」

足音のする方へ走る。

銃弾が僕の頬を掠めた。

気が付けば僕は敵兵の真っただ中にいた。

「【砕(クラッシュ)】、【起(トリガー)】」

目の前の男の顔を右手で打ち砕き、その周囲を破する。

背後に気配をじ、振り向きざまに【切斷(キル・ユー)】を放とうとしたが―――発しなかった。

限界だった。

だから左手をばし――摑んだ相手をそのまま地面に叩きつけた。

「僕は、護が得意でね……」

呟いた瞬間、僕の足が弾け飛んだ。

撃たれたらしい。

……ミアたちは無事に逃げられただろうか。

右肩に敵の銃剣が突き刺さった。

僕はどこで間違ったんだろうか。

視界の隅に、煙を上げるシュルルツの姿が見えた。

もしかすると、最初から―――か?

ミアに出會ったあの日から、僕は間違っていたんだろうか。

腹部に大きなが開いた。

をたくさん吐いた。

痛みは、もはやじなくなっていた。

傾いていく視界を最期に、僕は死んだ。

※※※

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