《【書籍化決定】拾ったギャルをお世話したら、〇フレになったんだが。》第3話 ギャルと居候

結局一睡も出來なかった。

いつの間にか雷雨は過ぎ去って日が昇り、ようやく力が抜けて手が離れた。

ねみぃ……流石にねみぃ。

コーヒーを淹れ、朝日を浴びて飲む。

あぁ……染みるぜ。

今日學校なんだけどなぁ……サボりたいけど、一人暮らしの條件として學業はちゃんとすることって言われてるから、サボる訳にはいかない。

けど……あぁ、ダルい。

……いや、頑張れ俺。うん、頑張れ。1年の頃から無遅刻無欠席を貫いてるんだ。ここでそれを潰す訳にはいかない。

マグカップをシンクにれ、歯を磨いて顔を洗う。

そうしてると、寢室の扉がゆっくり開いた。

不安そうな顔でキョロキョロする清坂さん。

俺を見つけると、キラキラ輝く笑顔で近付いてきた。

「海斗センパイ、海斗センパイっ。おはようございますっす!」

「あ、うん。おはよう。よく眠れた?」

「はいっす! こんなに安心して眠れたの、生まれて初めてっす!」

なんか踏み込んじゃいけない話題の予

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話題を逸らそう。

「えっと……コーヒー飲む?」

「いいんすか? じゃあミルクと砂糖増し増しでお願いします!」

「わかった。顔洗って、ソファーに座ってな」

「あーい」

俺と代で、洗面所で顔を洗う。

その間にコーヒーを淹れ、要通りミルクと砂糖をれてやる。

洗面所から出て來た清坂さんは、元気よく「あざす!」と言ってマグカップをけ取った。

「朝飯は?」

「あ、自分朝は食わないんで。海斗センパイは?」

「俺は食うけど、今日はいいかな。調悪いし」

「えっ、大丈夫っすか? まさか昨日の雨で?」

「いや、そうじゃない。それはそうと、清坂さんは大丈夫?」

「はい! 私、の頑丈さだけが取り柄っすから! 頭悪いし!」

そんな悲しいこと自信満々に言わないで。俺も悲しくなる。

「清坂さん、學校は?」

「もちろん行くっす。家には帰りたくないんで」

またサラッと聞きづらいことを。

洗濯機の中の制服やらインナーを取り出したのを見て、洗面所から出る。

俺も制服に著替えるか。

適當な白シャツとワイシャツ。それにスラックスを履く。

うちの學校は男共にブレザーで、男はネクタイ、はリボンを付けることになっている。

まあ、全校集會や公式の集まり以外、付ける人はいないけど。

ブレザーを羽織り、カバンを準備する。

清坂さんは準備出來たのか、ばっちりメイクをして洗面所から出て來た。

ワイシャツは第3ボタンまで開け、スカートは短い。それに腰にカーディガンを巻き、手にはシュシュを付けている。

見るからにギャル。凄くギャル。

「お待たせしましたっす!」

「ああ。じゃあ行くか」

清坂さんと家を出て、部屋の鍵を閉める。

同じ學校の生徒だから一緒には行くが……一つ気になっていたことを聞くことに。

「なあ、家には帰りたくないって言ってるけど、今日はどうするんだ?」

「んー、そーっすねぇ。家には帰りたくないっすし、かと言ってダチの家に転がり込むのもご家族に迷かけますから……あ」

ん? え、何? 俺の顔に何か付いてる?

「そうだ! 海斗センパイ、一人暮らしっすよね!? ならちょっとでいいんで、居候させてくださいっす!」

「……は? 居候?」

「はいっす! 昨日のセンパイ見たじ、貞でチキンで臆病者あったんで、の危険はじないと思って!」

ディスりすぎディスりすぎ。

事実だけに何も言い返せないのが辛い。

「お願いしますっす! ほんのちょっと! 家のほとぼりが冷めるまでお願いっす!」

さて、また俺には選択肢が2つある。

1つ、泊める。

2つ、斷る。

1つ目を選択した場合、俺の生活圏が脅かされる。まだお互いのことを知れてないし、お互いがお互いを信頼するには時間が足りなすぎる。

2つ目を選択した場合だが、多分……。

「もし斷ったら?」

「そんときゃ野宿っすね。それかマッチングアプリで泊めてもらうとこ探すっす」

考えうる限り最悪の答えだった。

橫目で清坂さんを見る。

清坂さんは覚悟と不安と期待を込めた目で俺を見上げていた。

この人……恐らく、自分を人質にしてるんだ。

野宿か別の男の家に泊まる。それはつまり、の危険があるということ。

俺がここで斷ったら、清坂さんは……。

「はぁ……俺の家で良ければいいよ」

「マジすか! いやぁ、頼んでみるものっすね!」

「え、斷られると思ってたのか?」

「まあ、會ったばかりの見ず知らずのっすからね。でも海斗センパイが優しくてよかったっす!」

ちくしょう、やられた。

でもあそこで斷ってたら、本當に野宿か別の男の家に泊まることになってたろうし……仕方ないか。

「今日はバイトも休みで直ぐに帰るから、いつでも來ていいよ」

「あざっすー!」

なんか、面倒な拾いものをした気がする。

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