《【書籍化決定】拾ったギャルをお世話したら、〇フレになったんだが。》第4話 ギャルとメッセージ

「清坂純夏? もちろん知ってるよ。有名人じゃないか」

「……マジ?」

教室について、親友の鬼頭悠大(きとうゆうだい)に清坂さんのことを聞くと、爽やかな笑みと共に答えが返ってきた。

どうやら清坂さんは、一年の中で既にカーストトップに君臨する、超の付く勝ち組らしい。

常人離れした貌に、綺麗な空の瞳。

誰とでも分け隔てなく接するから、一年生は疎か二年や三年にもファンは多いんだとか。

マジか、全く知らなかった。

「それにしても、どうしたの? 清坂さんのこと、気になっちゃった?」

「あー……いや、そういう訳じゃないんだ」

気にならないと言えば噓になるけど、踏み込む気もない。

「ふーん。なんだ、海斗にも春が來たと思ったのに」

「おい。俺は別に冬を謳歌してる訳じゃないぞ。雪解けを待ってんだ」

「はいはい。でも清坂さんはやめた方がいいよ。一年から三年まで、ライバルは多いからね」

「だから違うって」

ニヤニヤ顔の悠大の頭を叩き、自分の椅子に座る。

と──ん? スマホが鳴って……は?

純夏:海斗センパイ! 夕飯はステーキがいいっす! もちろんお金は払いますんで!

え、清坂さんからメッセージって……え?

海斗:清坂さん、まず聞いていい?

純夏:あ、そうでした。好みの焼き加減はミディアムレアです!

海斗:別に好みを聞きたいわけじゃない。そうじゃなくて、なんで俺の連絡先知ってるの?

純夏:ダメですよセンパイ、スマホはちゃんとロック掛けなきゃ! 変な人に見られたらどうするんですか?

海斗:自己紹介どうもありがとう。

これからはちゃんとロック掛けよ。

純夏:まあ、センパイがコーヒーを淹れてくれてる間にちょちょいと。……怒りました?

はぁ……全く、この子は。

海斗:怒ってないよ。夕飯はステーキね。

純夏:はい! 今日の夜に、近所のスーパーで特売があるそうなので!

純夏:(スーパー特売のスクショ)

お、確かに安い。だけじゃない、野菜も安くなってる。

特売の時間は……授業が終わって走れば間に合うか。

海斗:ありがとう、助かったよ。

純夏:いえいえ! 海斗センパイのお役に立ててよかったです!

最後に清坂さんから照れてるスタンプをけ、スマホをカバンにしまった。

いい子……だよなぁ、清坂さんって。

まあほんのししか絡んでないから、本當の清坂さんとかはわからないけど。

「海斗、ニヤニヤしてるよ?」

「してない」

「してるって」

「しつこい。もぐぞ」

「何を!?」

夕飯の食材を確保し、無事に清坂さんと夕飯を食べ終えた。

「ぷはーっ。ご馳走様でしたっす! 味しかったです!」

「そう言ってくれて何よりだ」

まあ、今日はを焼いただけなんだけど。

汚れた皿を洗うと、いつの間にか隣に立っていた清坂さんが皿を拭いてくれた。

「ありがとう」

「居候させてもらってますんで、これくらい大丈夫っす」

「……そういや、著替えとか諸々は大丈夫なの?」

「はい。晝間のうちに家から持ってきたっす」

「え、學校は?」

「サボタージュ!」

「サボるな」

橫目ピースでウインクされた。

如何にもギャルっぽい。ちょっとドキッとしたけど。

てか學校まで一緒だったのに、あれから學校抜け出したんかい。

「海斗センパイも、學校はサボらない方がいいと思いますか?」

「え? ……あー、そう言われるとどうだろう」

俺は一人暮らしさせてもらう條件があるから、サボらずに學校も勉強も頑張ってるけど……。

「たまになら、サボってもいいんじゃないか?」

「……いいんですか?」

「たまには一人になりたい時もあるだろ。人生の全てが面倒になる時とか。まあ普段からサボりはダメだけど、たまにならな」

「……そっすか」

え、あれ? なんか靜かになっちゃった?

お互いに無言のまま皿を洗い終える。

と、清坂さんが小さく欠をした。

まだ21時だけど、疲れが出たのかもしれないな。

「眠い?」

「んー……はいっす」

「じゃ、寢ていいよ。俺は勉強してから寢るから」

「え。海斗センパイ、勉強してるんすか?」

「まあ。學年で10位以をキープすることが、一人暮らしの條件だから」

「……大変っすね、センパイも」

「はは。慣れたよ」

最初は大変だったけど、今は勉強しないと落ち著かなくなった。習慣って大事だ。

「じゃあ、私は先に寢るっす。おやすみなさい、センパイ」

「うん、おやすみ」

俺の部屋にる清坂さんを見送り、俺は座卓に教材とノートを広げた。

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