《【書籍化決定】拾ったギャルをお世話したら、〇フレになったんだが。》第39話 ギャルとお世話

「センパイ、朝ご飯っす!」

「あ、うん。ありがとう」

「センパイ、洗濯モノ干したっす!」

「あ、ありが──」

「センパイ、掃除したっす!」

「あ、あり──」

「センパイ、ゴミ出したっす!」

「あ──」

「センパイ! センパイ!! センパイ!!!!」

「…………」

圧が……圧が強い。

起きてからというもの、何故か清坂さんにものすごくお世話されている。

俺が何かやろうとすると、先回りして々やってくれるんだけど……なんで?

昨日の酔っ払ったことに罪悪があって、それのお詫び……?

でも今朝本人に聞いたら、覚えてないって言ってたし……ふむ?

しかも、朝から勉強までしてるし……一どうしちゃったんだろう。謎は深まるばかり。

食後のコーヒーをすすり、一生懸命勉強をしている清坂さんを見る。

昨日のことは酔っ払っていて覚えてないみたいだけど……。

『いーこにするから──置いてかないで……』

置いてかないで……どういう意味なんだろうか。

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勿論、ただの寢言の可能もある。

それにもしこの言葉が、清坂さんの幹にあるものだったら……ただのソフレに過ぎない俺が聞くのは、おこがましい気がする。

でも、清坂さんが本當に寂しがっているのだとしたら……俺に出來ることは、何があるんだろう。

「……ん? なんすかセンパイ。私の顔に何かついてます?」

「あ、いや。なんでもないよ」

「そっすか? それよりセンパイっ、他に何かしてしいことないっすか?」

「大丈夫だよ、ありがとう」

「そっすか……」

なんで殘念そうなのさ。そんなにお世話するの好きだっけ。

清坂さんの突然のお世話求に首を傾げる。

「あ、そういえば今日から夏服の移行期間だっけ。暑いし、夏服にしようかな」

「あー、そっすね。私も夏服にしよっと」

クローゼットから夏ズボンを取り出し、俺はリビングで、清坂さんは寢室で著替える。

念の為に長袖のワイシャツを著て、袖をまくった。これなら教室が冷房で寒くても問題ないからな。

しばらくすると、夏服に著替えた清坂さんが寢室から出てきた。

長袖のワイシャツに、膝上がめちゃめちゃ短いスカート。でも寒さ対策なのか、空のカーディガンを腰に巻いて、手首には髪をまとめるシュシュを付けている。

「どっすか? 似合ってます?」

「うーん、ギャル」

「それ褒め言葉っすか?」

「すごく褒めてる」

こんなに制服をギャルっぽく著こなせて、しかも超可いとか反則でしょ。褒め言葉以外のなにものでもない。

……なんか、ちょっとドキドキして來た。

いつもはブレザーっていう厚手の制服だし、家にいる時は俺のシャツを著てるからあまり意識してなかったけど……視覚的に見ても、超デカいお様だ。

え、いつもこんなでっかいの押し付けられてたの、俺。……本當、よく我慢してきたな。自分で自分を褒めたい。

「センパイ、目がえっちです」

「ご、ごめんっ」

「全く……センパイも男の子ですね。……ま、まぁ、センパイがむなら、ちょっとさわってもごにょごにょ」

……? 何をごにょごにょ言ってるんだろう?

首を傾げる。と、急に尿意が押し寄せてきた。

「って、センパイどこ行くんです?」

「ちょっとトイレに」

「あっ、わかりました! なら私が代わりに行っておきます!」

「ありが……え、待って!」

トイレを代わりに行くってどゆこと!?

あ、ちょ、本當にらないで!?

「大丈夫ですっ、私に任せてください!」

「何を!? この狀況で何を任せろと!?」

まあ我慢出來る範囲だから、まだ大丈夫だけど……。

「センパイ、大変です!」

「ど、どうしたの?」

「朝出しちゃったので、おしっこ出ません! これじゃあセンパイの代わりが出來ないです!」

「しなくていいからさっさと出て來てくれないかな!?」

つ、疲れた……朝から何故か疲れた……。

あれから登校時間になるまで、清坂さんは何から何までお世話しようとしてきた。

朝からにお世話されるのは嬉しいけど、気が休まらないんだよな……一、どんな心境の変化があったのやら。

「あ、パイセーン」

「ん? ああ、天さん」

教室に向かう途中、廊下で天さんに出くわした。

もう夏服に移行したのか、先日まで著ていたブレザーはがれて半袖ワイシャツ一枚に。

でも寒さ対策なのか、腰にはベージュのカーディガンが巻かれている。

なんだか、清坂さんと雙子コーデみたいで可い。

……にしてもデカいな。清坂さんといい、天さんといい、なんでこう発育がいいんだ。

「おはおはー。……なんか疲れてない?」

「あー、ちょっと朝から々あって」

「ノロケかよ」

「今のどこにノロケ要素があった?」

「むしろノロケしかなかったけど」

「喧しい」

廊下の真ん中で天さんと話してるからか、じろじろと見られる。

これ、ちょっと居心地悪いな……俺が誰と話そうと俺の勝手だけど、こんなに見られるとは。

「じゃ、俺行くね」

「あ、待って待って」

教室に行こうとする俺を止めた天さん。

スマホを高速で作すると、俺のスマホが震した。

深冬:五分後、四階の空き教室集合!

……え?

「天さん、これってどういう……って、いないし」

えぇ……どういうこと、これ?

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