《【書籍化決定】拾ったギャルをお世話したら、〇フレになったんだが。》第49話 友人たちとラーメン

「海斗ー、お腹空いたー」

時刻は既に十二時。もう晝飯にはいい時間だ。

確かに俺も小腹が空いた。なんだかんだ、朝飯食ってないし。

「そうだな……どうせなら、外に食いに行くか?」

「お、いいね。この辺だと家系ラーメン?」

「そこでよければ」

「オッケー」

神的に疲れてる時は、家系のこってりラーメンに限る。

財布だけ持って家を出ると、徒歩五分圏にあるラーメン屋に向かった。

清坂さんが來てからは行かなかったし、本當に久々な気がする。

「そういえばさ、海斗は清坂さんに対する気持ちの整理はついたの?」

「なんだ、いきなり」

「この間隨分と悩んでたじゃん。もしかして天さんの方? それとも両方?」

微妙に當たって、微妙に外れてる推理だ。

うん、ある意味で二人じゃないし、ある意味で二人でもある。

でも気持ちの整理と言われると、どうなんだろうか。

「……正直、わからん」

「本當に正直者だね。いつもの海斗なら、なんだかんだ言ってはぐらかすのに」

「お前に隠し事するのも疲れるからな」

ソフレとハフレの件は、マジで言えないけど。

「自分の気持ちがなのかどうかなんて、いまいちピンと來ないんだよな」

「海斗の育ってきた環境だと、それも仕方ないよ。むしろよくグレなかったね」

「ああ。自分で自分を褒めてやりたい」

過去のことを思いだすと、ぶっちゃけため息しか出ない。悠大もそのことは知ってるいる。

でも過去は過去だ。今は、清坂さんたちとの今を大切にするさ。

しばらく取り留めのない話をしていると、行きつけのラーメン屋が見えて來た。

と、そこに見覚えのあるプラチナホワイトの髪の持ち主が。

「へいたいしょー! ラーメン固め濃いめ多めで!」

「あいよー」

それにこの獨特のイントネーションと、ラーメン屋の大將より元気な聲は。

「ソーニャ?」

「あれ、ソフィア」

「んー? おー、ヨッシーにゆーだい! よーっす!」

月藏ソフィア。稱はソーニャ。俺たちのクラスメイトで、中學からの腐れ縁だ。

まさかこんな所にソーニャがいるとは思わなかったな。

ちょうどソーニャの隣が空いていたからそこに座り、俺と海斗はチャーシュー麺を頼んだ。

「二人共、ここ何度も來てるん?」

「うん、海斗の家がこの近くでね。遊びに行くと、大抵ここに來るんだよ」

あ、バカ。

「へー! 私もヨッシーの家行きたい!」

ほらぁ、絶対こいつなら來たいって言うと思った。

ソーニャ一人だったら斷ってたけど、まあ悠大もいるし……別にいいか。

清坂さんも明日まで帰ってこないって言ってたからな。鉢合わせすることはないだろう。

「いいけど、あんまり期待するなよ。本當に何もないから」

「えっちな本は!? ベッドの下は!?」

「無いわ」

「んぇー。つまらーん」

こいつ、一回シバいたろか。

「あ、でもラノベとか漫畫はあるぞ。ゲームは、悠大が持って來てるし」

「まじ? 私、ラノベとかまんが好きだよ! えっちなイラストちょー好き!」

「言っておくが、的な文庫でもエロ漫畫でもないからな」

「つまんな」

こいつ……!

馬鹿正直なソーニャに拳骨をれてやろうと拳を握ると、丁度ラーメンが運ばれてきた。

ラーメンを前に爭いは無駄というもの。命拾いしたな、ソーニャ。

手を合わせ、レンゲでスープをすする。

うん、うん。味い。流石。

しこしこの中太麺も、麺が見えないくらいのチャーシューも、煮卵も、ほうれん草も。全てが相まって最高だ。

「うま! ここのラーメンうまー!」

ソーニャもお気に召したようだ。

そうだ。テストが終わったら、清坂さんと天さんも連れてきてあげよう。……ラーメンとか食べるのかわからないけど。

三人とも替え玉までし、スープまで完飲。

腹が膨れたことで、しイラついてた気分も治まってきた。

「ふぅ……じゃ、家行くか」

「だね。ソフィア、行こう」

「あーい。ごちそーさまでしたっ」

律儀に挨拶したソーニャと悠大を連れ、ラーメン屋を出る。

暑いものを食ったし、しが強いから汗が止まらない。

でも風が吹き、汗が冷えてしだけ心地いい。

「んぁーっ。食べたー」

「ソフィアって結構大食いだよね。男の僕らと同じくらい食べてたし」

「食べるの好きだからねー。いくら食べても太らないんだ、私」

太らない代わりににも脂肪はない、と。

「おいヨッシー。今この上なく失禮なこと思わなかった?」

「気のせい気のせい。じゃ、行くぞー」

自販機でジュースを買い、足早に家へと向かっていった。

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