《【書籍化決定】拾ったギャルをお世話したら、〇フレになったんだが。》第60話 腐れ縁と〇〇フレ

「つーいたー!」

「よかったね……」

天國のような地獄のような三十分がようやく終わってくれた。

清坂さんや天さんとの著で耐が出來てなければ、本當に危ないところだったぜ。

息をついて、ウキウキ顔のソーニャを見る。

余程アクアミュージアムに來たかったのか、それとも俺と來れて嬉しいのか……後者だったら嬉し恥ずかしい。

ショッピングモールに併設されているアクアミュージアムは、プロジェクションマッピングやイルミネーションで煌びやかに飾られていることで有名だ。

テレビでも取り上げられてたっけ。俺も気になっていたデートスポットだ。

デートする相手いないけど。

いや、今回のこれはデートなのか?

……まあいいや。

「ヨッシー、はやく行こー!」

「……おう」

ソーニャは待ちきれないのか、もうチケット売り場に並んでいる。

いつもは憎たらしいのに、今はすごく可いと思う。はしゃぐの破壊力、やばし。

學生チケットを二枚買い、並んで館る。

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水族館というのは不思議な場所で、中にると一瞬で外界と遮斷された気分になる。

にはゆったりとしたBGMが流れ、時間の流れがゆっくりになるじがした。

暗い館だが、七でライトアップされて幻想的な景が広がっている。

「おぉ……綺麗だな」

「こんなに綺麗な水族館、初めて見たかも……」

ソーニャの言いたいこと、わかる。

確かにここまで煌びやかにライトアップされた水族館はそうそうない。テレビで取り上げられるのもわかる。

ソーニャは水槽の一つ一つを見ていく。

その橫顔はきらきら輝いていて、目も魚に釘付けになっていた。

ソーニャって魚が好きなんだな。中學からの腐れ縁だけど、初めて知った。

「おー……わぁー……ほー……」

水槽の中の魚を見るより、百面相のソーニャの方が見てて楽しいな。

一歩後ろに下がり、楽し気なソーニャを見る。

なんとなく寫真が撮りたくなりスマホを構えると、俺に気付いたソーニャが華やかな笑顔を見せ――ぱしゃり。その瞬間を寫真に収めた。

直後、今度はいつものだらしない笑顔になり、それも寫真に収めた。

「ぬへへ~。ヨッシー、何枚も私の寫真を撮るなんて、実は私のこと好きかぁ~? 本格的に付き合う? キスする?」

「いや、一枚目と二枚目の落差半端ねーなと思って。ほら、だらしない顔」

「はぁあん!? どっちもかわいーやろがい! どっちも! かわいー! やろがい!!」

二回言わんでいい。

「あの、お客様。他のお客様もいらっしゃいますので、館ではお靜かにお願いいたします」

「はひっ。す、すみませんでした……」

あーあ、怒られた。

見た目は完全無欠のでも中は変わらんな。

なんとなく居心地が悪くなったのか、ソーニャは俺の手を引いて別のエリアに向かった。

「ま、全く。ヨッシーのせーで怒られたじゃんか」

「いやー面白くてつい」

「面白くねーから。私、かわいーから」

ぷーっと顔を膨らませるソーニャ。

なんとなく頬をつつくと、口からぷしゅーと空気がれ出た。

「ぶふっ」

「ヨッシー!」

「ご、ごめんごめん」

膨らんだ頬って、つい押しつぶしたくなるよね。……俺だけ?

でもソーニャも満更じゃないのか、直ぐに楽しそうに笑って俺の腕に絡みついてきた。

イルミネーションやプロジェクションマッピングで彩られている、薄暗い館

そんな中で、完全無欠の著していると思うと……うん、々と滾るものがあるな。

ここで押しのけるのも可哀想だし、そのまま二人で並んで魚を鑑賞する。

う、ぐ……々とじてしまう。じ取ってしまう。

肘に當たるお様のやいい匂い。電車の中では背徳的にじられたそれも、オシャレな雰囲気と薄暗さでダイレクトに伝わってくる。

なんとなくエロい雰囲気というか、盛り上がるじというか。

「ね、ヨッシー」

「ッ。な、なんだ?」

思いの外近くで囁かれ、ついが固まってしまった。

聲綺麗すぎ。可い。綺麗。甘いじ。

んな思考が渦巻いては消えていく。

清坂さんや天さんとは違う聲質に、俺の中の理か何かが凄い勢いで削られていくじがした。

「ふふ。ヨッシー張しすぎ。かわいー」

「うっせ」

「にひひ。……ねー、キスする?」

「おまっ……!?」

な、何言ってんだこいつっ。俺ら別に付き合ってるわけじゃないのに、そんなこと出來る訳ないだろ……!?

……あー、いや。付き合ってもないのに絶世の二人とソフレだったりハフレだったりする俺が言えることじゃないんだけどさ。

「いーじゃん。誰も見てないよ」

「そ、そういう問題じゃなくて……!」

「キヨサカさんたちとは著してるのに?」

……え?

「な、ん……え?」

「気付くよ。ヨッシーのから、こんなにの子の匂いがするんだもん」

「そ、それは同居してるから……」

「どーきょしてるだけじゃこんな匂いさせないよ。間違いなく、にちじょー的に引っ付いてるよね」

なんでこんな鋭いんだこいつ。

「付き合ってないのに引っ付いてるの?」

「そ、それは、その……」

「じゃ、私とも引っ付けるよね?」

「え、えーっと……」

やばい。どう返事するのが正解なんだこれは。

これ許可していいの? え、いいの? よくわからない。というか許可とか言える立場俺。何様だ。

「くすくす。じゃー、今はこれで勘弁してあげよー」

「え――?」

チュッ。

不意に頬にじたらかい何か。

一瞬チークキスかと思ったが、違う。

これ、チークじゃない。間違いなく、頬にキスをした……だ。

ソーニャがゆっくりと離れ、舌なめずりをして上目遣いで見つめてきた。

「マウストゥマウスは恥ずかしーけど、ヨッシーが私の魅力でめろめろになるまで、これからは會ったら毎回キスをするから。そこんとこ、よろしく」

ソーニャは俺から離れて前を歩くと、しこっちを振りむいた。

「そーそー。こーいうかんけーをなんて言うか、ヨッシー知ってる?」

「……知らない、けど」

「ふふ。この間知ったんだ。こーいうの、キスフレって言うらしいよ」

キスフレ。語呂のじからして、キスフレンド。

キスをするだけの友達……って、こと?

「にひー。じゃ、行こうか」

呆然としている俺を見て、ソーニャは楽しそうに微笑んで歩いて行ってしまった。

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