《【書籍化決定】拾ったギャルをお世話したら、〇フレになったんだが。》第68話 叔母と會話
「ここか……」
徒歩で歩いて三十分。
炎天下の中、ようやく純夏の実家に辿り著いた。
和風モダンな家で、表札にも【清坂】の文字がっている。
そうか。純夏は養子だったのか。
清坂家の前で數回深呼吸をし、覚悟を決めてインターホンを鳴らした。
ピンポーン。
待つこと數秒。
『……はい』
來た。この聲、おばさんの聲だ。
「恐れります。先程お會いした、吉永海斗です」
『…………』
「純夏さんのことでお聞きしたいことがあって參りました。しだけお時間よろしいでしょうか?」
『……純夏はそこにいるのですか?』
「いえ、いません」
『……しお待ちください』
インターホンが切れると、鍵が開いておばさんが出てきた。
「どうぞ。外は暑いでしょうから」
「ありがとうございます。突然お邪魔してしまってすみません」
「いえ。そろそろ來るだろうとは予想していました。……一人で來るとは思いませんでしたが」
冷たい氷のような視線が俺を貫く。
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まあ、純夏についてのことを、俺一人で聞きに來るなんて思わないだろう。
でもこのことは純夏は聞きたくないんじゃないかって、そう思ったんだ。
スリッパを出してもらい、中にお邪魔する。
広い家だ。ここで純夏は育ったんだな。
リビングに案され、冷たい麥茶を出された。
「それで、純夏について聞きたい……でしたよね」
「はい。正確には、純夏のご両親についてです」
単刀直に切り込むと、おばさんはぴくりと眉を上げた。
「……何故、あなたがそれを知りたいのですか? 無関係のあなたが」
「関係なくありません。純夏さんは今俺の家にいます。彼が悲しんでいる。なら無関係じゃない……いえ、無関係でいたくありません」
鋭い視線を真正面からけ止める。
絶対に、逸らさない。
睨み合うこと數秒。おばさんはそっとため息をついて、口を開いた。
「……まあいいでしょう。それで、何を聞きたいのですか?」
「失禮を承知の質問でありますが」
「構いません」
「ではまず……さっきも聞きましたが、純夏さんのお母さんが當時のおばさんの彼氏を盜ったっていうのは本當ですか?」
俺の質問に、おばさんは目を見開いた。
眉間がぴくぴくき、怒りを鎮めるかのように目を閉じる。
「……まず私のことは、おばさんではなく桔梗と呼んでください。これでもまだ三十三歳なので」
「え。あ、はい」
そこかよ。
まあ、純夏の年齢を考えたら、そのくらいだって予想はつくけど……全然見えない。もっと若く見えるどころか、二十臺前半って言われても信じられる。
って、そんなこと関係なく。
「それでは改めて、桔梗さん。教えてくれませんか?」
「……ええ、本當です。姉さんは私の彼を……」
「その理由、本當は知っているんじゃないんですか?」
俺の言葉に、桔梗さんは目を見開いた。
この反応、やっぱり知ってるのか。
「……何故そう思うのですか?」
「勘です。桔梗さんの反応を見て、そう思いました」
「……変な子ですね。普通それだけで、こんな風に訪ねてくる人なんていませんよ」
「う、すみません……」
「いえ。それもこれも、純夏のためなんですよね」
今までのきつい空気はどこへやら。
一気に空気がらかくなり、今まで変わらなかった冷たい表が暖かみのある笑顔になった。
こうして見ると、本當に純夏にそっくりだ。思わず見惚れてしまった。
「吉永さんの言う通りです。……姉さんが何故彼を盜ったのか、知っています」
「お聞きしても?」
「大人の事……と言いたいところですが、あの時の私たちも、あなたたちと同じ歳でしたね」
桔梗さんはお茶を飲んで一息つき、當時に思いを馳せるように天井を見上げた。
「なんて言えばいいんですかね。……當時私は、ギャルでした」
「ふんふん。……ん!?」
ぎゃ、お、え!?
ギャル!? え、ギャルっすか!?
改めて桔梗さんを見る。
切れ長の目に筋の通った鼻、シャープな顎。それに髪も染めてる様子のない黒髪だし、どっちかって言うと超優等生ってじだ。
「む、信じてないですね。いいでしょう、今寫真を持ってきます」
「い、いえ、信じてないわけじゃ……!」
桔梗さんは棚にしまっていた金庫のダイヤルを回して開ける。
そこには數冊のアルバムがっていて、その中の一つを引っ張り出すと、俺に渡してきた。
結構古そう。そりゃ十數年も前だと劣化もしてるか。
「ここに載っていますよ。昔の私と……それに、姉さんも」
「は、はあ……」
自分の過去の寫真を見せるのに抵抗はないんだろうか。
……渡してきたってことは、見せていいってことだろう、うん。
桔梗さんの顔をうかがいつつアルバムを開く。と、そこにいたのは……。
「ぶ!?」
「ちょっ、唾つけないでくださいよ?」
「わ、わかってます。けどこれ……」
アルバムの中の桔梗さんと、今の桔梗さんを見比べる。
髪は白よりの金髪でかなり長く、ゆるふわパーマを巻いている。
メイクも濃い。純夏とは違うが、しっかりとしたギャルメイクだ。
それに……なんて言ったらいいのか、ちょっと遊んでそうというか、生意気そうというか……。
「因みに、その寫真の隣に寫っているのが姉さんです」
「これが……」
純夏のお母さん……?
……んー……?
「普通、ですね」
「ええ。普通ですね」
ギャルじゃない。真面目な優等生ってじだ。
純夏そっくり……この人をギャルにしたら、きっと純夏と瓜二つになるだろう。
でもこの中のお姉さんは、どっちかというと今の桔梗さんと同じ空気をじる。
「姉さんは本當に真面目で、優等生で、みんなからされていました。私も當時は素直になれませんでしたが、心の底では姉のことが大好きでした」
桔梗さんは慈しむような目で寫真を見つめ、そっと寫真をでた。
でした、って言ってるけど、きっと今でも桔梗さんはお姉さんのことが好きなんだ。
じゃないと、こんな目はしないよ……。
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