《【書籍化決定】拾ったギャルをお世話したら、〇フレになったんだが。》第93話 三人とお泊り

「これが2年生の頃だね。ここら辺から、今のヨッシーくらいになってきたんだよ」

「ほんとだ。今の海斗君っぽい」

「ぽいというか、これカイ君なんだけど」

まださが殘るけど、しずつ大人っぽくなってる。

今のカイ君と昔のカイ君を足して2で割ったようなじ。これも好き。

まずいなぁ。カイ君を知れば知るほど好きになる。いやまずくはないけど。これが沼にハマるってことなんだろうか。

カイ君沼、深い。

2年生、3年生とアルバムを見ていく。

年月が経つごとに今のカイ君に近付いていて、めちゃめちゃかっこよくなってる。

そして卒業式。

ここまでくると、完全に今のカイ君だ。

まさか3年間でこんなに変わるだなんて……。

1年生の頃と3年生の頃のカイ君を見て、深冬が「あー」と喋り出した。

「こういうのなんて言うんだっけ。男子3日アバンチュール?」

「あー、あったねそんなの」

確かことわざだったような。詳しくは覚えてないけど。

「でも深冬。アバンチュールってどういう意味?」

「えっとねー……の冒険とか、の火遊びって意味だって」

「て、ことは……男の子って、3日でが冷めるってこと!?」

なんと! 男の子ってそうだったの!?

私なんて、ずーっとの中でカイ君への心が燃え上がってるのに!

「い、いやいや、2人とも落ち著いて。だいじょーぶ、ヨッシーはそんな子じゃないよ。……多分」

「そ、そんなことわかんないじゃないっすか!」

もしカイ君もそんなじだったら、私のこの燃え上がる心はどこにぶつけたらいいの!

「それを言うなら、『男子、3日會わざれば刮目して見よ』な」

「「「あー、それそれ。……え?」」」

……あ、カイ君起きてる。

私たちを見下ろしているカイ君はいつもの笑顔だけど……なんだろう。ちょっと怖い。

私たち、悪いことしてないよねぇ?

「ソーニャ、お前俺のあの寫真見せたのか?」

「見せたよ。ほらこれ」

ゴスッッッッ!!!!

うわ、脳天ゲンコツ痛そ~……。

「いったぁ~! 何すんのさぁ!」

「それお前が言う? 人の黒歴史を勝手に見せるんじゃないよ」

「でも最後はノリノリだったじゃん?」

「うっせ」

あ、恥ずかしがってる。カイ君かわい~。

もう諦めたのか、カイ君は時計を見て「げ」っと聲を上げた。

「もう日付回ってんじゃん……」

「え? あ、ほんとっすね」

アルバム見るのが楽しすぎて、全然気付かなかった。

「今からの子を連れて外を歩くのはさすがに危ないからなぁ……はぁ。俺が寢ちまったばっかりに」

「まあまあ海斗君、どんまい!」

「こんな日もあるっすよ、カイ君! ところで、外に出るのは危ないってことは~……?」

「……すまんソーニャ、今日泊まらせてくれ」

「いーよー」

やったー! カイ君とお泊りお泊り~!

え? いつもやってるって? それはそれ、これはこれ。

◆海斗side◆

まさかこんな形で睡することになるなんて。

純夏がいないと寢れないと思ってたけど、疲れすぎると睡できるんだな。気付きを得た。

……まあ、その代償がソーニャ宅でのお泊りなんだけど。

純夏と深冬は、それぞれソーニャの服を借りることに。

俺は、ソーニャの親父さんの服を借りることになったんだが……。

「なあ、本當にこれしかないのか?」

「うん。うちのパパ、こーいうのが好きだから」

まあ、この家を見たらわかるけどさ……。

まさか寢間著が和服だなんてな。

「カイ君やばばば……!」

「めっっっっっちゃ似合うじゃん!」

コラそこ、好き勝手寫真撮るな。

シックな黒い和服で、赤くらかい腰ひもで留められている。

でも、確かにかっこいい。和服ってほとんど初めて著たけど、意外と悪くないかも。

鏡の前で著心地を確認する。

けど……この下、パンツしか履いてないんだよね。

ちょっと恥ずかしいというか、寢ててはだけたりしないんだろうか。

「さーさー、もう夜も遅いし、ちゃちゃっと寢ちゃおーか」

「はいよ。じゃあ俺はソファーで……」

「何言ってんの? 四人で寢るに決まってんじゃん?」

…………。

「は?」

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