《【書籍化&コミカライズ】関係改善をあきらめて距離をおいたら、塩対応だった婚約者が絡んでくるようになりました》マリアの悲鳴
(まさかアーネストさまが……? ううん、まさか、いくらなんでも)
ビアトリスの頭に一瞬「アーネストが口封じに何かやったのではないか」との考えが浮かんだが、さすがにそれはないだろうと心の中で打ち消した。
「彼には同じ寮生の友人はいないんですか? その方に聞いたら様子が分かるんじゃないでしょうか」
「いやそれが、あいつ友達いねぇんだよ。元々友達自がねぇし」
「そうなんですか」
ビアトリスは初めてマリアに親近を覚えた。
「では晝休みに私が子寮に行って様子を見てきます。彼の友人だといえば、きっとれてくれると思います」
「ああ、悪いな。恩に著るよ」
「いえ、私も彼に大切な用事がありますから」
今のレオナルドからは、かつて生徒會で會ったときにじた敵意はまるでじられなかった。これはアーネストの指示ではなく、むしろ逆の理由だろう。不正疑の一件でアーネストへの妄信がなくなったからこそ、ビアトリスに対する敵対心も消えたのだ。この調子でマリアも変ってくれたらありがたいのだが。
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マリアのいる子寮の寮監は、「事なかれ主義のジョーンズ」の二つ名を持つ教師で、部外者を中にれることを當初渋っていたものの、ビアトリスがウォルトン公爵令嬢であることや、マリアと同じ生徒會役員であるレオナルドがマリアの友人だと保証したこともあり、結局ビアトリスを寮にれることに同意した。
ジョーンズ史によれば、マリアは二日前にシリル・パーマーに送られて帰って來たあと、「風邪を引いた」と言って自室に引きこもっているという。その際、うつむきがちで顔はよく分からなかったが、足取りはしっかりしていたとのこと。
「食事は隣室の生徒が代で運んでますよ。本人が顔を合わせたがらないので、トレイはいつも部屋の前に置くようにさせています」
教えられた部屋の前に行ってノックすると、中で人がく気配がした。しかしドアが開かれることはなく、中にいる人はこちらの様子をじっとうかがっているようだった。
ビアトリスはしばらく待ってから再びノックしたのち、聲をかけた。
「アドラーさん、中にいらっしゃるんですか?」
答えはない。
「アドラーさん、お元気かどうか、お顔だけでも見せて頂けませんか?」
「……ウォルトンさんが、いったい何をしに來たんですか?」
ようやく返ってきたのは、猜疑心に満ちた聲だった。
紛れもないマリア・アドラーの聲音にをなでおろしつつ、ビアトリスは言葉を続けた。
「レオナルド・シンクレアさまに、貴方の様子を見て來てほしいと頼まれたんです。隨分と心配していらっしゃるようでした」
「レオナルドが……そうですか。風邪を引いて休んでいるだけですから、そう伝えて下さい」
「ドアを開けて、お姿を見せていただけませんか?」
「それは無理です。……その、うつすかもしれないので」
マリアが付け加えた理由は、いかにも言い訳じみていた。こう言ってはなんだが、マリア・アドラーがビアトリスの健康を気遣うとは思えない。
なにか顔を出せない理由でもあるのだろうか。
「風邪がうつるくらい、私は別に気にしません」
「私は気にするんです。……用が済んだらもう帰ってくれませんか?」
「申し訳ありませんが、私も個人的に、貴方にお願いしたいことがあるんです」
「お願いしたいこと?」
「はい。この前貴方にうかがった試験の不正疑の件で、貴方に証言をお願いしたいんです。あれを言い出したのはアーネスト殿下だと――」
「ふざけないで!」
ビアトリスの言葉を、怒りに満ちた聲が遮った。
「ふざけないでください。よくも図々しい……なんで私が貴方なんかのために……それじゃあ見せてあげますよ。貴方のせいで、私がどんな目に遭ったのか!」
ようやく扉が開き、マリアが姿を現した。その顔に、ビアトリスは思わず息をのんだ。
ストロベリーブロンドにらしいハシバミの瞳は相変わらずだが、形の良いの端が切れ、口元に痣が出來ている。まるで誰かに毆られたような痛々しい傷跡だ。
「……それは、アーネストさまに?」
「貴方のせいです。貴方がアーネストさまに余計なことを言ったから……いいえ、今回だけじゃありません。貴方が生徒會に來た時から、アーネスト様はずっと変なんです。本當はとても優しい方なのに、貴方が絡むと、アーネストさまはおかしくなるんです。貴方さえ関わってこなければ、私たちはとても上手くいっていたのに……毎日が凄く幸せだったのに……もういい加減、私たちを放っておいてくれませんか?」
最後の方は、ほとんど悲鳴のようだった。
ビアトリスにしてみれば、マリアの言葉は言いがかりに近いものだった。生徒會にったのはアーネストだし、試験についてもアーネストが一方的に仕掛けたことだ。ビアトリスの方からアーネストとマリアに絡んでいるわけではない。
とはいえマリアの発言をアーネストに対して匂わせたのは、紛れもなくビアトリスの落ち度である。
「申し訳ありません。貴方の怪我は、私の不用意な言葉が原因です」
「自覚はあるんですね。そうですよ。全部貴方のせいです。アーネストさまはこんなことをなさる方じゃないのに、貴方がおかしくさせているんです」
「あいにくですが、そちらは同意できません。アーネスト殿下が酷いことをするのは、アーネスト殿下がそういう方だからです」
「何も知らないくせに、いい加減なこと言わないでください。今まで私たちと一緒にいるときのアーネストさまがどれほど――」
「アドラーさん、信じられないかもしれませんけど、私とアーネスト殿下は元々とても仲が良かったんですよ」
ビアトリスの言葉に、初めてマリアの表が変わった。
「……馬鹿馬鹿しい、そんなでたらめ、誰が信じると思うんですか」
「私はウォルトン公爵家の娘です。嫁ぎ先などいくらでも選べる立場です。いくら王子殿下でも、最初からあんな邪険な態度をとられていたら、婚約なんて結ぶわけがないと思いませんか?」
「じゃあなんで」
「直接的な原因は分かりません。ある時から急に変わってしまわれました。私は自分のせいだと思って、あれが悪かったのか、これが悪かったのかと隨分思い悩みました。ある意味、私もアドラーさんと同じです。優しいアーネスト殿下こそが本來の姿だと思い込んで、殿下が酷い態度を取る原因を他に求めようとしたんです。それさえなんとかできれば、元の優しい殿下に戻って下さると思い込んで……でも私は最近やっと分かったんです。アーネスト殿下がああいう態度を取る原因は、結局のところ殿下ご自にあるんです。単にアーネスト殿下がそういう方だからなんです。それが分かったから、婚約を解消しようとしているんです」
マリアはしばらく無言でじっとビアトリスを見つめていた。何かを言いかけ、ためらうように口を閉ざし、やがて力なくうつむいた。
「帰って下さい。怪我のことは絶対にレオナルドに言わないで」
「マリアさー―」
「お願いです、帰って下さい!」
「分かりました。怪我が早くよくなるようにお祈りしています」
ビアトリスはそう言いおいて、マリアのもとを辭した。
署名りの証言は結局手にらないままだった。
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